スタンフォードの「コミュ力改善コース」で教えられてる3つの教え
「Connect(つながり)」って本を読了。現時点の証拠をもとに人間関係を深める方法をまとめた良書でありました。
著者のキャロル・ロビンさんとデビッド・ブラッドフォードさんはスタンフォード大学の先生で、本書の内容は、スタンフォード大学のビジネススクールで教えられている「人間力学コース」の成果をもとにしております。要するに、コミュニケーション能力を高めるコースのことっすね。さすがスタンフォードは、おもしろそうなコースがありますな。
ってことで本書で個人的におもしろかったポイントをまとると、以下のようになります。
ポイント1. 自分を15%開示せよ!
人間関係を深めるには「自己開示」が大事!ってのは基本中の基本で、「最高の体調」でも友人づくりの要点として取り上げております。簡単に言えば、深い関係性を築きたいなら、自分のことを隠さずに伝えなきゃダメだよーみたいな話ですね。そりゃあ、いつもなんか隠してるような態度だったら、相手から信頼されないですもんね。
が、本書でおもしろかったのが、「自己開示の15%ルール」ってのを提案してるとこです。このルールがどういうことかと言いますと、
- 自分のコンフォートゾーンから15%だけ外に出てみよう!
ってことらしい。自分を包み隠さず開示するのはどうしても恐怖心がともなうんで、ついつい無難な会話に落ち着きがちなんですが、そのままだとコミュニケーションが深まらずに終わっちゃうんですよね。
しかし、ここで「これはちょっとしゃべるのが不安だな……」と思ったら、コンフォートゾーンから15%出るぞ!と思った上で話をすると、自分もそこまで怖くないし、もしヤバい発言をしても相手が引かずにすむってことらしい(15%の判断は主観でOK)。この数字がどこまで正しいかは謎ですが、自己開示を後押ししてくれるルールとして覚えとくといいかもですねー。
ポイント2. なぜ?の質問は使うな!
相手との仲を深めようと思ったら、自分のことをしゃべるだけでなく、相手のことも話してもらわねばならないわけです。自分だけベラベラしゃべってたら、今度は逆効果になりかねませんもんね。
では、そのためにどうすればいいのかと言いますと、
- 自分が純粋に相手に興味を持っているって事実を伝えよ!
ってポイントが強調されておりました。とにかく純粋で素朴な好奇心を持たないと、相手の情報開示は進まないぞってことらしい。確かにそんな感じがしますな。
ちなみに、相手への興味を伝える方法としては、
- how、when、where、whatのいずれかで始まる質問をせよ!(「最後にそのように感じたのはいつですか?」とか「どうやってその答えにたどりついたんですか?」みたいな)
- Whyの質問は避けよ!(「なぜそれをしたんですか?」や「なぜそう思ったんですか?」じゃなくて、「何があなたにそれをさせたんですか?」とか「何がそう思わせたんですか」みたいに尋ねる)
ってポイントが強調されておりました。ひとつめは「オープンエンドな質問のほうが話が広がるよ!」って話で、これはよく言われることですね。ふたつめの「Whyを避ける」ってのは、「なぜ?」で尋ねちゃうと、相手に「ちゃんとした説明をしないと!」みたいな要らぬプレッシャーを与えてしまうかららしい。うーん、確かに「なぜ」を使うと詰問っぽくなりますもんね。
ポイント3. 感情だ!感情を付け加えるのだ!
相手に自己開示をする際は、たんに事実を伝えるだけではなく、そこに「自分の感情がどう関わったか?」を必ず付け加えよう!ってポイントです。著者チームいわく、
私たちは幼い頃から「何かをしてはいけない」という教育を受け、特定の感情を認めたり表現しないようになっていく。そうしてしばらくすると、私たちは感情を識別することができなくなってしまう。
とのこと。特にビジネスの世界でありがちですが、「激しい感情を仕事の場で表すべきではない」っていう暗黙のルールがありがちなので、そんな状況で過ごすうちに、多くの人は他人の感情も自分の感情もいまいち分からなくなっていくんだ、と。これはあるかもですね。
では、感情を乗せるためにはどうすればいいかと言いますと、
あなたが「ラフティングに行った」と言えば、それはただの事実にすぎない。しかし、あなたが「ラフティングに行って爽快だった」と付け加えれば、あなたはもっと相手に自分のことを伝えたことになる。同じように、「ラフティングに行って怖かった」と言った場合も、あなたは全く別の角度から自分を相手に伝えたことになる。
ってことで、シンプルに自分の経験に「どんな感情を抱いたか?」を乗せるだけでもだいぶ違うらしい。言われてみれば「そりゃそうだなー」って感じですが、意識してやってる人は少ないかもしんないっすね。
ってことで、ここでは「自己開示」に関する部分だけ取り上げたんですけど、本書は「深い人間関係は後天的に学べるスキルなのだ!」って考え方が一貫していて、なかなか勇気の出る一冊でありました。ほかにも「うまいフィードバックの与え方」とか、いろんなポイントが紹介されてますんで気になる方はどうぞ。おそらく邦訳も出るでしょう。