このブログを検索

今週半ばの小ネタ:ピクノジェノールが肌を守る? アロマテラピーで乾燥肌が改善? メラトニンで心臓と血管が改善?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

    

 

ピクノジェノールが肌ダメージを守ってくれるかも?

ピクノジェノールってのはマツ樹皮から抽出したエキスで、一部では「飲む美容液」とまで言われている有名な成分であります。昔から日焼けダメージを防ぐのでは?とか、肌の炎症を抑えてくれるのでは?とか言われてまして、美容クラスタで人気が高かったりするんですよ。

 

 

で、新しいテスト(R)もピクノジェノールの話で、だいたい以下のような実験になってます。

 

  1. 中国の北京で働く76名の屋外労働者(平均年齢41.2歳)を対象に、春から秋にかけて1日2回ずつ「ピクノジェノール50mg」または「プラセボ」のいずれかを飲んでもらう

  2. 実験をスタートしてから6週間後と試験の終了時に、肌がどうなったかを調べる

 

屋外で働く人が対象なんで、当然ながら参加者の肌ダメージは大きめ。実験の期間中も、高い湿度、気温、大気汚染(PM2.5)にさらされまして、これが改善してたらいいなーってことですね。

 

 

でもって結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 湿度の高い春には、プラセボとピクノジェノールグループのどちらも肌の水分量が増えたが、ピクノジェノールを飲んだグループのほうが水分量が増加していた

 

  • 秋の乾燥した時期には、プラセボグループは皮膚の水分が大幅に減ったが、ピクノジェノールを摂取したグループはほとんど変化がなかった


  • 経表皮水分損失(TEWL)は、湿度の高い月には両グループとも変化が見られませんでしたが、乾燥した月にはピクノジェノール摂取グループでTEWLの低下が見られた(つまり、ピクノジェノールを飲んだグループは肌の水分の損失が少なく、皮膚バリアが保たれていた)


  • また、ピクノジェノールの摂取は、すべての季節で肌の弾力や回復力を改善した

 

って感じだったそうです。これだけ見ると、結構いいんじゃないか?って気がしますね。まぁ著者の一人が、ピクノジェノールのサプリを販売してる会社のコンサルタントなのが気になるんですが、ここらへんはどう考えていいかが謎。個人的には、見どころがある成分だなーとか思っております。

 

 

 

アロマテラピーで乾燥肌が改善するんじゃないか?説

ドライスキンにお悩みの方は多いかと思いますが、この問題にアロマテラピーが効くんじゃないの?って話(R)が出ておりました。

 


ざっくり研究のデザインをまとめておくと、

 

  • 4週間のRCTは、乾燥肌に悩む60歳以上の男女60名

  • みんなにラベンダーオイルカモミールオイルを使ったアロマセラピーを試してもらう

  • ここで使われたアロマセラピーは、ラベンダーまたはカモミールのオイルを使った10~15分の全身マッサージを週2回

  • 比較のために、オリーブオイルを使って同じマッサージを受けてもらうグループと、マッサージを受けないグループも作る

 

みたいになってます。オイルを焚くタイプのアロマテラピーではなく、オイルマッサージの効果を比べたわけですね。

 

 

でもって、試験の終了時に、腕、脚、背中の皮膚をチェックしてみたら、

 

  • ラベンダーまたはカモミールのオイルでマッサージをしたグループは、すべての部位で肌の水分量が改善された。オリーブオイルのグループは腕と背中の水分量が改善した(何もしないグループは当然変化なし)

  • ラベンダーまたはカモミールのオイルを使ったグループは、他の2つのグループよりも脚と胸のエリアで大きな水分の改善が見られ、その改善量も大きかった

 

という結果だったそうです。うーん、こうしてみるとアロマオイルのマッサージは美肌に効くのかもしんないっすね。

 

ただ、この研究を読んでも、盲検化がされてたかどうかとか、実験が終わった後でも効果が続いたかどうかについては書いてないんで、全体的な結論としてはそこまで信頼度はない感じっすね。まぁオイルが肌の保湿に良いのは間違いないと思いますんで、いろいろ試すのはありでしょうね。

 

 

 

 

メラトニンで心臓と血管は改善するか?

心血管の機能はアンチエイジングの鍵!ということで、新たなテスト(R)では、「メラトニンで心臓と血管の機能が改善するのでは?」って話になってました。

 

 

メラトニンといえば、ご存じのように睡眠の改善に役立つ成分として有名ですが、一方では抗酸化作用や抗炎症作用も知られてまして、動脈硬化やら心疾患のリスクを改善するのでは?と言われてきたんですよ。なにかと見どころが多い成分なんすよね。

 

 

で、この研究は6週間のRCTで、55歳以上の健康な女性38名が対象。睡眠の2時間前に「徐放性メラトニン2mg」か「プラセボ」のいずれかを摂取してもらい、動脈硬化、ミトコンドリアの機能、血圧、インスリン抵抗性などをチェックしたところ、

 

  • メラトニンを飲んだグループにのみ血圧にわずかな改善がみられたが、プラセボではみられなかった

 

だったそうです。うーん、微妙な改善はあったようですが、これぐらいだと血圧の改善を狙ってわざわざ飲むレベルじゃないっすね。

 

 

そんなわけで、心疾患リスクのためにメラトニンを飲むのは特におすすめしませんが、睡眠改善とかのついでにメリットが得られたらいいなーぐらいの感じですかね。

 

 

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。