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5年の実験でアンチエイジングの効果が認められた運動法「4×4」(フォー・バイ・フォー)とは?

 


HIITもすっかりメジャーになった昨今。雑誌などでもいろいろなタイプのHIITのやり方を見かけるようになりましたが、ここで問題なのは、

 

  • 実験で効果が検証されているメソッドが紹介されていることって、結構少ないよなー

 

ってポイントじゃないでしょうか。HIITってのは「激しい運動→休憩」をくり返すだけのシンプルなメソッドなので、誰でも簡単にオリジナルのルーチンを組みやすいんですけど、そのぶんだけ「独創的すぎて本当に大丈夫か?」と思っちゃうような手法も出回ってたりするんですよ(特にこれとは言いませんが)。

 

 

そこで今回は、実験で効果が確かめられたHIITルーチンのひとつである「4×4」(フォー・バイ・フォー)をご紹介します。実験で検証されたトレーニングなら、それだけモチベーションも上がるでしょうしね。

 

 

5年の実験で効果が認められたHIIT「4×4」(フォー・バイ・フォー)とは?

これはノルウェー科学技術大学などの研究(R)で、70歳代の成人1,500人以上を集めて、5年間にもわたって運動と死亡率の影響を検証したものです。こりゃあ、かなり大規模な調査ですねー。

 

 

実験では、全体を3つのグループに分けまして、

 

  1. 政府が推奨する運動をする


  2. 中強度連続トレーニング(MICT)


  3. 高強度インターバルトレーニング(HIIT)

 

のいずれかにランダムに振り分けたんだそうな。

 

 

まず最初の「政府が推奨する運動」ってのは、ほぼ毎日30分の中レベルの運動を続けて、1週間を通じて150分の中強度の身体活動(ウォーキングとか)を行うか、1週間を通じて少なくとも75分の強度の身体活動(ランニングとか)を行うというもの。

 

 

2つめの「MICT」ってのは、「政府が推奨する運動」で推奨されている30分の中強度運動5回のうち2回を、最大心拍数の約70%ぐらいの負荷で、50分間ほど続けるというもの。

 

 

 

 

「4×4」ってどうやってやるの?

さらに、最後の「HIIT」が「4×4」で、だいたい以下のような手順を週に2回のペースで行うことになります。

 

  1. まずは軽いジョギングを10分間ほど行ってウォームアップする(最大心拍数の60%ぐらい)。

  2. 最大心拍数の85〜90%で4分間の全力運動を行う。この時には、運動をスタートして1〜2分で目標の心拍数に達するように心がける。

  3. 4分の全力運動が終わったら、その後で3分間のアクティブリカバリーを行う。この時には、軽いジョギングなどを行い、心拍数の約60%を保つように心がける。

  4. 上記の2〜3のサイクルを4回くり返す。

  5. 5分ほど軽いジョギングをしてクールダウン。

 

1セット4分の高負荷運動を4回くり返すから「4×4」と呼ぶわけですね。もちろん、ここで行う運動はなんでもOKで、サイクリングや水泳などの有酸素運動で代用しても構いません(いちばん大事なのは心拍数なんで)。全体の所要時間は40分ぐらいで、実際にやってみるとわかりますが、最大心拍数の85〜90%で4分間の全力運動ってのは、なかなか辛いもんがありますね。

 

 

でもって、この研究では、すべての参加者に対して、それぞれのプロトコルに5年間従うように指示。6週間ごとに専門家が指導を行い、ちゃんと目標の心拍数に達する運動ができているのかをチェック。5年後の経過を確認したところ、結果は以下のようになりました。

 

  • 「政府が推奨する運動」を続けた参加者の5%弱が死亡したのに対し、HIITとMICTを続けた参加者の死亡率はそれぞれ約3%、約6%だった。

 

  • 全死亡率は、HIITに割り当てられた参加者が「政府が推奨する運動」グループと比較して40%近く低く、HIITがMICTと比較された場合は約50%低かった

 

以上のデータをもとに、研究チームは、「HIITを割り当てたグループは、MICTおよび政府が推奨する運動と比較して全死亡率が低い傾向が見られた」と結論づけております。確かに5年の調査で結果が出たのはデカいですね。

 

 

そんなわけで、「4×4」の具体的なやり方は以上です。上記を見ていただければおわかりのとおり、「4×4」を正しく行うには心拍数の計測が命なので、「ポラールH10」のようなガジェットをひとつ持っておくと便利でしょう(もちろんApple Watchでもいいですが)。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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