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最強ストレス対策テク「リアプレイザル」で良いアイデアがガンガンに出るぞ!

 

 

このブログでは、感情コントロールの定番テクニックとして「リアプレイザル」をよく紹介しております。過去には「神経科学が教える最強の『怒り』コントロール法」として取り上げた手法で、簡単におさらいすると、

 

  • ネガティブな感情がわき上がったら、その原因に対する考え方を変えようぜ!

 

みたいなやりかたです。たとえば、仕事で緊張するような場面があったら、

 

  • このプレゼンは自分の能力を判断される場ではなく、企画を前に進めるためのワンステップだ
  • この面接は相手がこちらを見極めるのではなく、こちらが会社の質を確かめる場なのだ

 

のように、目の前の状況をポジティブな角度から見直してみるわけです。その他にも、「誰かに怒られたら『この人は嫌なことでもあったのだろう』と考える」「仕事でミスをしたら『これは新しい失敗パターンを学んだな』と考える」みたいなやりかたが考えられましょう。

 

 

子供だましみたいな手法ながら、その効果はかなり複数の試験で証明されてますんで、日々のストレスが多い方は、お試しいただければと思うわけです。

 

で、新しいデータ(R)もまた「リアプレイザル」の効能を調べたもので、その結論をざっくりまとめると、

 

  • 「リアプレイザル」で新しいアイデアがどんどん出るようになるぞ!

 

みたいになります。リアプレイザルといえば、通常はメンタルの健康を保つための手法として使われるんですが、実は創造性アップにも使えるんじゃないかって話ですな。

 

 

これはカーソンカレッジ・オブ・ビジネスなどの実験で、最初の実験では279人の男女を集めたうえで、

 

  • みんなの創造性レベルをチェック

  • みんなが普段どれぐらいリアプレイザルを使っているのかをチェック

 

って調査を行ったところ、創造性テストで高い点数を取った人ほど、日常生活でリアプレイザルを使う回数が多い傾向があったんだそうな。これにより、創造性とリアプレイザルのあいだに関係があるっぽいことがわかったわけですな。

 

 

そこでチームは、続いて「リアプレイザルを訓練すれば創造性を上げられるんじゃないの?」ってポイントも調査。2つの新しいサンプル(合計512名)の男女を集めまして、こんな実験をしております。

 

  1. みんなに、思わず怒りを覚えるような動画を見てもらうか、または過去に自分が怒りを覚えた体験を書き出してもらう。

  2. 動画を見ているあいだ、または自分の怒り体験を書き出すあいだに、「怒りを抑える」「他のことを考えて気を紛らわす」「リアプレイザルで怒りの解釈を変える」という3つの手法のいずれかを実践してもらう。

  3. 上記の作業が見終わったら、みんなに「ビルの空きスペースをうまく使う新しい方法を考えてね!」と頼み、クリエイティブなアイデアを自由に出してもらう。

 

すると、どちら場合でも、リアプレイザルを試した参加者は、「感情の抑制」や「気をそらす」などのテクニックを使ったグループに比べて、より創造的なアイデアを思いつくことができたんだそうな。

 

 

こうなると、なんでリアプレイザルが創造性アップに効くのかが気になりますが、だいたい以下のようなメカニズムになります。

 

  1. 「怒り」や「悲しみ」などのネガティブな感情がわきあがる。

  2. ネガティブな感情のせいで、思考がガチガチに固まってしまう(「あいつが悪いんだ!」とか「こんな辛いのは自分だけだ!」みたいな)。

  3. しかし、ここでリアプレイザルを使い、いまのネガティブな感情をとらえなおしてみる。
  4. 目の前の状態を新たに解釈することで、既存の思い込みから抜け出すことが可能になる。ついでに、ネガティブな感情がしずまることで、落ち着いて物事を考えられるようになる。

 

簡単に言えば、リアプレイザルのおかげで脳の柔軟性がもどり、それによって新しい考え方ができるようになるわけですな。言われてみればそうだよなぁ。

 

 

研究チームいわく、

 

仕事や生活において、ネガティブな感情は避けられない。しかし、多くの人は、しばしば自分のネガティブな感情を隠したり、イライラを考えないように気晴らしをしたりする。

 

その意味で、今回の結果は、会社のマネージャーが従業員の能力を最大限に活用する上で示唆に富む。一般的な会社のマネージャーたちは、部下が良いアイデアを出す能力があるかどうかをチェックし、そのうえで従業員をクリエイティブ仕事とそうでない仕事に振り分けるものだ。

 

しかし、このようなマネジメントは、パフォーマンスの予測因子として不確かであるだけでなく、従業員が創造的な成果を生み出す能力を制限してしまう可能性もある。

 

とのこと。いまの会社は、従業員のクリエイティビティを決め打ちするけど、そのせいでかなりの人たちの創造性が十分に活用されていないかもしれないよーってことですね。しかし、今回の実験からわかったとおり、ぱっと見は創造性がなさそうな人でも、リアプレイザルをトレーニングすれば、実は隠された創造性を引き出せるかもしれないんだ、と。希望がある話ですねぇ。

 

 

ちなみに、「そう言われても、自分はもともと創造性が高いほうじゃないしなぁ……」と思う人もいるかもですが、研究チームはこうも言っておられます。

 

(アイデアが出ないと思うのは)、私たちの創造性が脳の中でどのように起きているのかを見落としている。創造的な思考は、あなたが気づいているかどうかにかかわらず、実は毎日行っていることだ。

 

そのため、クリエイティビティは誰にとっても強化できるスキルと言える。これは、自分をクリエイティブだと思わない人や、クリエイティブな分野にいない人にも言えることだ。

 

ってことなんで、創造性に自信がない方も、安心してリアプレイザルを使いまくって、ご自分の隠された創造性を高めていただければと思うわけです。日々の暮らしでなにか嫌なことがあったら、すかさず「これをリアプレイザルできないか?」と考えて見るだけでも、良いトレーニングになると思いますんでー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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