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今週末の小ネタ:筋肉を減らさない食事法、「エリスリトール」で死亡率が上がる説、男性のアレが長くなってる説


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 

カロリー制限で筋肉を減らさないための食事法

カロリーを減らせば体脂肪が減るけど筋肉も減ってしまう!ってのは絶対の真実。ブロマガでも書いたとおり、減量するときに体脂肪だけを減らすのは難しく、絶対に筋肉は減るものなんですよ。

 

 

では、カロリー制限のときに筋肉を維持するにはどうすればいいのか?ってことで、そこらへんを調べたデータ(R)が出ておりました。これは33人の若い女性を対象にしたもので、週に6時間以上をして、体脂肪率が16~25%の人だけを選んだそうな。すでに健康な人ばかりを選んだんですね。

 


メインの実験は4週間で、参加者を3つのグループに分けております。

 

  1. タンパク質増やすグループ:1日に体重1kgあたり2.0~2.2gのタンパク質を摂る

  2. ケトン体グループ:タンパク質は1日に体重1kgあたり0.8~1.0gまで。これに加えて、1回20gのケトン体エステルを3回

  3. プラセボグループ:タンパク質は1日に体重1kgあたり0.8~1.0gまでで、他には何もしない。

 

ケトン体エステルは知らない人も多そうですが、マウス実験などでは「ミトコンドリアで熱を発生させて脂肪が燃えやすくなるのでは?」と言われてる物質であります。ガッツリと糖質制限をしたときに体内で作られる物質ですな。

 


で、4週間にどんな変化があったのかと言いますと、以下のようになります。

 

  • タンパク質増加グループとケトン体グループは同じように体重が減ったが、筋肉の量はタンパク質を増やしたグループでのみ保った(タンパク質グループが2.4±0.2kg、ケトン体グループが3.2±0.3kg)。体脂肪量の減り方も、どのグループでも同じぐらいだった(平均2.6±0.1kg)。

 

  • 運動の疲れ具合や主観的なストレスについては、どのグループにも目立った差がなかった。

 

ってことで、やはり筋肉を維持するにはタンパク質をガッツリ増やすしかないんだなぁって印象で、糖質制限をしたところでアレなのかなぁって感じですね。やっぱ減量期はプロテインだな……。

 

 

 

 

「エリスリトール」で死亡率が上がるんじゃないか説

エリスリトールが体に悪いかも?ってデータ(R)が出ておりました。エリスリトールといえば、砂糖の代用として人気の甘味料ですが、こいつが死亡リスクを増やすのでは?というんですな。

 

 

これはクリーブランド・クリニックなどの研究で、アメリカ人2,149人とヨーロッパ人833人を3年ほど追跡調査。血中のエリスリトールの濃度と、脳卒中や心臓発作を起こす確率を比べたところ、

 

  • 体内のエリスリトールが多い人は、少ない人と比べて、心血管の病気の発症率が2倍だった

 

って結果だったんだそうな。シンプルにエリスリトールが多い人は、心臓発作や脳卒中を起こしたり、死亡したりする可能性が高かったわけですね。

 

 

というと、「エリスリトールはヤバい!買ってはいけない!」みたいに思ってしまいそうですが、個人的な見解としては、

 

  • エリスリトールをたくさん摂取するから心臓病にかかりやすいのではなく、エリスリトールをたくさん摂取するような人は太りすぎなケースが多いから、心血管疾患のリスクが高いのでは?

 

  • 血液中のエリスリトール濃度が高い人は、普段の食事で糖分を摂りすぎているからでは? (体内で余分なグルコースはエリスリトールに変換されるので)

 

ってところがありますね。特に今回の研究は、参加者の食生活をコントロールしていないので、「この研究って、たんに砂糖の摂取量が多い人の心臓発作や脳卒中の発症率が高いだけでは?」という気がするんですよねぇ。

 

 

なので、私としては、この研究だけで「エリスリトールは体に悪い!」とか言うのは危険だなーと思ってますが、気になる方は控えてみるのもいいかも?ぐらいのは話ですね。

 

 

 

 

男性のアレが30年間で24%長くなってる説

この30年で男性のアレが長くなってるぞ!ってデータ(R)が、スタンフォード大学などから出ておりました。

 

 

これは、過去に世界中で行われた、男性のアレのサイズを測定した研究から75件をピックアップ。55,761人の男性のデータをもとに、固くなっているときのアレのサイズを集計したんだそうな。

 

 

そこで何がわかったかと言いますと、

 

  • 成人の平均的なアレの長さは、1992年は12.27cmだったのに、2021年には15.23cmに増加していた

 

  • 特にアジアとヨーロッパの男性が最もサイズが大きくなっており、北米の男性はわずかに小さくなっていた

 

って感じです。スタンフォードのチームがこういうことを調べてくれてるのがおもしろいですねぇ。

 

 

いまのところ、なぜこのような現象が起きたのかは不明ですが、研究チームは、わりと怖い推測をしておられます。

 

このシステムは人間の生物学で最も重要な部分のひとつなので、発育に全体的な変化があれば、それは注意すべきだ。これほど早い変化が見られるということは、私たちの体に何か大きなことが起こっているということだろう。農薬や衛生用品などの化学物質への曝露が、私たちのホルモン系と相互作用しているのかもしれない。

 

ってことで、ここ30年で男性のホルモンバランスに問題が出たのではないか、と。怖いですなぁ。

 

 

一方で、めっちゃ安心できる仮説も出てまして、

 

過去数十年の間に、ヨーロッパとアジアの多くの地域で栄養状態が改善され、そこに住む人々は身長を伸ばし、体格が大きくなった。そのため、男性のアレも比例して大きくなっていったのだろう。

 

一方、北米の男性は、栄養の摂りすぎによる問題が起きているのかもしれない。過去数十年の間に、北米の男性は、ますます肥満と運動不足が重なり、下半身に問題が出ているのだろう。

 

みたいな話がなされておりました。個人的にはこっちが正しそうだなーと思ってますが、おもしろいデータですなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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