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ストレス研究の専門家「マイクロストレスは知らずに人生を破壊するぞ!」

 


マイクロストレス効果The Microstress Effect)」って本を読みました。著者のロブ・クロス博士はバブソン大学の教授さんで、リーダーシップ研究をしている先生らしい。

 

 

本書の内容は、タイトルどおり「マイクロストレス」の考え方についてまとめたもの。これがどういうことを指しているのかと言いますと、

 

マイクロストレスは、私たちが日常的に遭遇する小さな嫌なことが積み重なったもの。

 

ってことらしい。たいていの人は、毎日のふとした瞬間に起きるような小さなストレスを心のなかにためこんでおり、その事実に気づいていないケースが多いんだって主張であります。なんか怖い話ですねぇ。

 

 

では、本書から個人的に勉強になったポイントを見てみましょうー。

 

  • クロス博士は、ずっと高い業績を上げているハイパフォーマーたちの調査をしており、その中で、かなり多くの人がマイクロストレスがたまりまくってヤバいことになっていた。しかし、その多くはストレスに気づいていなかった。

 

 

  • マイクロストレスはあらゆる場面で発生する。同僚とのプロジェクトでズレを感じたり、部下が前にも言ったことを聞き返してきたり、職場で家族から緊急メールが来たが後で何でもないことがわかったり、プロジェクトの優先順位が変わったり、意図がよくわからないメールを受け取ったりと、個々のストレスはとても小さなものだが、これが積み重なっていくと大きな負担となってしまう。

 

 

  • 特に現代では、誰もが簡単にメッセージで会話ができるため、24時間365日にわたって、つねにマイクロストレスの脅威にさらされやすい環境だと言える。

 

 

  • 通常、私たちが強いストレスを感じると、脳内の認知システムは「アロスタシス」と呼ばれるプロセスで対応し、身体の闘争・逃走反応を発動させて脅威を取り除こうとする。しかし、マイクロストレスは一瞬の出来事なので、脳のストレス検知レーダーの目をかいくぐってしまう。

    その結果、私たちの身体にはストレスがたまっているにも関わらず、脳は対処システムを起動させないことになる。その結果、私たちは、無意識のうちにストレスのダメージを受けることになる。

 

 

  • このようなマイクロストレスが私たちに与える影響は、数時間から数日間にもおよぶ

 

 

  • しかし、一部の中には、マイクロストレスをうまくコントロールしている人たちがおり、そうした人たちを、博士は「テンパーセンター」と呼んでいる(全体の10%しかいないから)。

 

 

  • テンパーセンターのほとんどは、博士が「多次元生活」と呼ぶライフスタイルを送っている。

 

 

  • 多次元な生活とは、仕事のような一つの活動にアイデンティティを預けすぎないことを意味する。仕事ばかりに集中するのではなく、他者とつながり、どうでもいい会話をし、いろいろな趣味を持ち、別の視点から世界を見るという行為をくり返すだけでも、日々のマイクロストレスに対する強力な解毒剤になる。このような行為は、私たちがレジリエンスを築き、身体の健康を優先し続け、小さな瞬間にも目的を見出すのに役立つ。

 

 

  • たとえば、あるハイパフォーマーは、仕事で高い業績をあげながらも、豊かで多面的な人生を送るための時間を確保している。この人物は、自分と妻にとって大切な人生のさまざまな領域で優先順位を決め、明確な人生の目標を設定し、その優先順位を忠実にこなしているかどうかを確認するために、毎週日記を書いている。

 

 

  • また、ある有名な脳神経外科医は、週末に集まる地元のバンドに参加して、かつてあった音楽への情熱を再び取り戻すことを意識している。そのおかげで、この外科医は、自分よりずっと若いアマチュアミュージシャンと一緒に演奏し、これによって人生に新しい次元を加えている。

 

  • また、テンパーセンターは、たとえ小さな時間であっても、他者とのつながりを築くための時間を見つけていた。これは、週末に近所の人と道端で会話するような簡単なことでもよい。

 

 

  • マイクロストレスに立ち向かうには、「2-2-2」と呼ばれる方法も有効である。これは、まずは自分にとって日常的なマイクロストレスを2つ選び(例えば、信頼できないチームメイトをいつもかばっている、上司が優柔不断でプロジェクトの方向性に迷うことが多い、など)、それらを改善するための解決策を探す。

    それが終わったら、自分が他の人に与えているかもしれない小さなストレスを2つ探す。私たちが引き起こすマイクロストレスは、ブーメランのような働きを持っており、自分が発したマイクロストレスは、やがて自分に返ってくる。たとえば、同僚に対していつもマイクロストレスを与えていたら、やがてチームメイトから共同作業を避けられるようになってしまうような場面である。

    これら2つの作業が終わったら、最後に自分がもっとお手放したいと思うマイクロストレスを2つ選び、その対策を考える。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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