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ペンシルベニア大学の専門家「運動を習慣にするために一番大事なことはこれだ!」

 


10年前に、「21日間続ければ何でも習慣になるわけじゃない」なんて話を書いたことがありました。かつては「習慣を作るには21日が必要」とか言われたもんですが、あらためて調べなおしたら、特定の行動が習慣になるまでは平均66日かかることがわかったって話ですね。まぁ、「起きたら水を飲む」みたいに簡単な習慣はすぐに身につくし、「勉強を続ける」みたいに難しい習慣は時間がかかるという、実に常識的な話であります。

 

 

でもって、そんな状況下、新たに「ジムで運動する習慣を身につけるにはどれぐらいかかるの?」ってところを深堀りした研究(R)が出ていたので、内容をメモっておきましょう。

 

 

この研究を手がけたのは、「自分を変える方法」のケイティ・ミルクマン先生と、「やり抜く力 GRIT(グリット)」のアンジェラ・ダックワース先生のおふたり。その筋ではめっちゃ有名な学者さんのタッグですね。

 

 

で、ここでチームがどんな調査をしたのかと言いますと、だいたいこんな感じです。

 

  1. 24時間のフィットネスジムと提携して、約3万人のジム会員からデータを収集。4年間にわたって1200万回分のジム訪問データをチェックする。

  2. 病院の手洗いを監視するためにRFID技術を使っている会社と提携。病院に勤務する3,000人の医療従事者から収集した合計4000万回の手洗いデータもチェック。

  3. 上のデータを機械学習にかけて、行動の実行を予測する可能性のある何百もの変数を観察。

 

ってことで、これまでも習慣化の研究はたくさんありましたが、機械学習を使っているのが新しいポイント。このやり方だと、特定の変数に関する仮説を立てなくてもいいし、現実世界の人たちの行動を直に追えるしで、「これは研究の効率と精度が爆上がりですなぁ……」とか思った次第です。

 

 

そこで、どんな結果が出たかと言いますと、こんな感じです。

 

  • ジムの運動が習慣化するには4~7カ月の期間が必要だったが、手洗いを習慣化するにはほんの数週間で十分だった。

 

  • ジムに通う時間帯は、ジムの習慣化に影響を及ぼさなかった。しかし、ジムに通う人の69%は、同じ曜日にジムに通うことにこだわる傾向があった。

 

  • ジムに通う習慣をもっとも左右するのは、「最後にジムへ行ってから、次にまたジムに行くまでの時間」だった。最後のジムから次のジムまでの期間が空くほど、運動の習慣化は難しくなる。

 

ということで、「運動の習慣化はうまくいっても4ヶ月はかかる!」「運動を習慣化するには、1回運動をサボった後から、いかにスピーディに復帰するかが大事!」って感じですね。こうしてみると、運動をサボっちゃうのは前提にしつつ、サボったあとのモチベーション対策に心を砕くのがベストかもしれないですね。

 

 

ちなみに、その対策については「自分を変える方法」を読んでいただくのがベストですが、著者のミルクマン先生は、過去にも習慣化に関する大規模な研究(R)をやってまして、運動のモチベーションを高めるためにもっとも良い方法を、以下のように結論づけております。

 

ワークアウトを休んだ後にジムに戻った参加者に0.09ドルのボーナスを与えると、何も与えられないグループと比較して、参加者1人当たり推定0.40回の週間ジム訪問が増加した(27%の運動量の増加)。



また、より大きなインセンティブを参加者に提供した場合(1.75ドル)は、何も与えられないグループと比較して、参加者1人当たり推定0.37週間分のジム訪問をもたらした(運動量の25%増加)。

 

要するに、運動を習慣化するのに最も有効なのは、いったん運動をサボったあとで、どんだけ少額でもいいから金銭をもらえることなのだろう、と。9セントぐらいの報酬でもジム通いが格段に増えるんだから、これは試してみたいところです。

 

 

以上をふまえたうえで、定期的に運動する習慣を身につけたいのであれば、

 

  1. まずは無理のないエクササイズのスケジュールを立てる

  2. 1回エクササイズをサボったら、そこから「どれぐらい期間が過ぎたか?」を把握するために、次のスケジュールのリマインダーをスマホや運動仲間にお願いしておく

  3. サボりから無事に復活できたら、自分に小さなご褒美をあげる方法を考えておく。例えば、友人に頼んで100円をもらってもいいし、運動するたびに500円貯金をしてお金がたまっていく様子を見るだけでも効果があるかもしれない。

 

といった感じになるでしょうね。ミルクマン博士いわく、

 

この研究データが示すように、最も重要なことは、私たちが「1回以上ワークアウトを休まないようにすること」だ。一回エクササイズを休んだとしても、またジムやプール、ウォーキング、サイクリングに行くようにすれば、次のワークアウトやその次のワークアウトに復帰しやすくなるかもしれない。

 

とのこと。とにかく、人間は運動をサボるのが当たり前なんだから、サボりからの復帰を早くせよってことですな。気をつけよう……。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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