今週半ばの小ネタ:脳の毒物が減る呼吸法、財産が増えやすい性格、TikTokとメンタルヘルス
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
脳の毒物が減る呼吸法が見つかったぞ!
「脳の毒物が減る呼吸法が見つかったぞ!」って研究(R)が出ておりました。一般に、脳の中にアミロイドベータがたまると、アルツハイマーにかかりやすくなると言われるんですが、こいつが呼吸法で減るというんですな。
これは南カリフォルニア大学などの研究で、100人以上の男女にが、呼吸法とバイオフィードバックの両方を用いて心拍数を変化させるように指示したんだそうな。ここで使われた呼吸法がどんなものだったかと言うと、
- 5秒かけて吸い、5秒かけて吐く呼吸を1回とする。
- 以上の呼吸を、1回20分以上、1日2回ずつ、4週間続ける。
みたいになります。1回20分ってのはわりと大変ですが、呼吸法としてはわりと定番な感じですね。
すると、この呼吸法を行ったグループは、老若男女を問わず、血液中に循環するアミロイドベータの量が少なかったんだそうな。それも、ゆっくり呼吸して心拍変動を大きくするように心がけた人ほど、血中のアミロイド濃度が最も低かったらしい。呼吸でアミロイドが減るってのはおもしろいですねぇ。
研究チームいわく、
アミロイドベータの減少は、生産量の減少によるところが大きいと思われる。しかし、それはクリアランスが増える可能性を排除するものではない。
とのこと。要するに、呼吸で全身がリラックスしたおかげで、体内で毒物が生み出される量が減り、それによって血中のアミロイドベータが低下するんじゃないか、と。確かに、いったんアミロイドベータが増えちゃうと、減らすのは難しいと言われてますからねぇ。
ってことで、これから脳の機能を低下させたくない人は、日ごろからゆったりした呼吸を心がけておくといいかもですねー。
財産が増えやすい性格とは?
「財産が増えやすい性格を調べたよー」って研究(R)が出ておりました。これはオープンユニバーシティ・ビジネススクールなどの調査で、3,240人のイギリス人を調べて、みんなのビッグファイブと所有する財産(貯金とか投資資産とか)を比べたんだそうな。
すると、性格と財産にはある程度の関係が見られまして、
-
誠実性が高い人(=まじめにコツコツやれる人)は、不動産、貯金、投資、物的資産(車とか時計とか)のいずれも多い傾向があった。
- 誠実性の高さは、性別や学歴よりも、財産の多さと相関していた。
- 神経症傾向は富と負の相関があり、感情が変わりやすかったり、不安のレベルが高い人ほど、財産が少ない傾向があった。
- また、神経症傾向が高い人は、仕事にも成功しない傾向があった。
- 外向性の高さは収入の多さと少しだけ関係があったが、貯蓄や投資額はわずかながら低くなる傾向があった(外向的な人は衝動的な出費が多く、投資の決断を誤りやすいのかもしれない)。
って感じだったらしい。誠実性が高い人ほど良くて、神経症傾向が高い人ほど悪いという、毎度おなじみの結果ではないでしょうか。
富の蓄積において、教育レベルよりも性格のほうが重要であることが判明した。これはやや驚きの結果だ。
学歴は所得水準と関係があるが、一方で、誠実性の高い性格は、支出を管理し、貯蓄や投資に気を配る上でより役立つのだろう。
ってことで、神経症傾向が高めな人は、どうにか対策しておきたいところですねー。
TikTokってメンタルヘルスにどうなの?
「TikTokの仕組みってユーザーのメンタルへの影響が大きいよねー」って話(R)が出ておりました。まずはこの研究の結論から申し上げますと、
- TikTokのアルゴリズムは、ユーザーメンタルにメリットをもたらす一方で、メンタルを悪化させることもある!
みたいになります。例えば、摂食障害に悩む人がTikTokを使うと、同じ悩みを持つ人たちの情報をゲットできることもあれば、同時にTikTokが過食や自傷行為に関する動画を提示することもあるわけで、その影響がどっちに触れるかはわからないって話ですね。
これはミネソタ大学などの研究で、16人のTikTokユーザーにインタビューしたもの。かなり小規模な試験なので、どうしても精度は低くなりますが、それなりの知見は得られましょう。
で、研究の結果について、チームはこんなことを言っておられます。
私たちの調査によると、TikTokはダンスのプラットフォームであるだけでなく、コミュニティやメンタルヘルスの情報を提供する場として機能している。
しかし、多くのユーザーは、TikTokのアルゴリズムによって、自分にとって有害な情報が提供されている可能性に気を配る必要がある。
TikTokは、いまやメンタルヘルス系のコンテンツの巨大なプラットフォームだ。ユーザーは、自分と同じような境遇の人を見つけるために、ソーシャルメディアに引き寄せられる傾向がある。
そのなかには、TikTokで得られたメンタルヘルスの情報が役に立ったというケースもあるが、サービスの仕組み上、役に立つコンテンツだけでなく、有害なものも次々に提供されてしまう。
ってことで、現在のTikTokってのは、ただのエンタメSNSではなく、メンタルヘルス系のプラットフォームとして機能しているが、その仕組み上、どうしてもユーザーに有害な情報を提供してしまう傾向があるんだってことですね。
個人的には、「それなら最初から使わないほうがいいのでは……」って気もしますけど、TikTokでメンタルヘルス系の情報を摂取している方は、そこらへんにご注意くださいませ。