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今週末の小ネタ:お菓子で脳が暴走! マグネシウムで脳が健康! カフェインでメンタル改善!


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

甘くて脂っこいお菓子で脳が暴走するぞ!

人間が太る理由は食事報酬だ!」って話が昔からあるわけです。簡単に言えば、甘いお菓子やスナック菓子などを食べ続けていると、脳が「もっと甘いものを!脂肪たっぷりなものを!」と暴走をはじめ、それによって食べ過ぎが止まらなくなるって話です。

 

 

では、具体的に、お菓子によって脳はどれだけブーストするのかってことで、新しい研究(R)では、高脂肪・高糖分のスナックを1日2回食べた人の脳派どう変化するのか?を調べてくれておりました。

 

 

これは、平均26歳の男女46名を対象に、8週間の実験を行ったもの。実験では、参加者を2つのグループにわけまして、

 

  1. 高脂肪・高糖質のお菓子を1日2回食べる:1回160キロカロリー(脂質40.8%、糖質45.6%、たんぱく質13%)。

  2. 低脂肪・低糖質のお菓子を1日2回食べる:1回156キロカロリー(脂質17.1%、糖質29.1%、たんぱく質51.9%)。

 

っていう2パターンの食事を続けてもらったんだそうな。 そのうえで、みんなの味覚や脳がどう変わったかを調べたら、結果は以下のようになりました。

 

  • 高脂肪・高糖質のお菓子を食べ続けた人は……
    • 低脂肪・低糖質のお菓子を食べ続けた人と比べて、脂肪や糖質が低いお菓子への欲求が低くなった(つまり、低脂肪低糖質の食品では満足できなくなった)。

    • 砂糖への好みについては、グループ間で差がなかった。

    • ミルクセーキを飲んだあとで、複数の脳領域の活動が増加し、ドーパミンの信号が増加した(つまり、高脂肪な食品への興味がブーストした)。

    • 体組成、インスリン抵抗性、中性脂肪の変化は、グループ間で差がなかった。

 

ということで、不健康な食品を1日2回口にし続けると、脳は高脂肪&低糖質を好むように変化していくらしい。やっぱそうだよなーって感じの結論ですが、1食分160キロカロリーぐらいのお菓子だと、いまも習慣的に食べちゃってる人は少なくないでしょうね。

 

 

ちなみに、今回の試験では、糖質に対する反応には変化が出てませんが、過去の研究では、糖質制限をした人は糖質を好まなくなり、逆に糖質の量を増やした人は糖質を好むようになるって報告が出てますんで、そこはご注意くださいませ。

 

 

 

 

マグネシウムの摂取は脳の健康と関係がある

マグネシウムって重要よねー」って話を定期的にしている当ブログ。マグネシウムは人体の正常な働きに欠かせないミネラルで、脳機能をうまく使うにも必須と言われてるんですよ。

 

 

でもって、新しい横断研究(R)では、「マグネシウムの摂取量が多い人ほど脳が大きい!」って結論になっていて良い感じでした。これは健康な男女6,001名を対象にした研究で、みんなの健康状態やマグネシウム摂取量をアンケートから推測し、さらにMRIで全員の脳を調べたんだそうな。

 

 

すると、結果はこんな感じでした。

 

  • マグネシウムの摂取量が少ない人と比べて、摂取量が多い人は、左右の海馬の脳体積が大きくなっていた。

 

  • 食事から摂取するマグネシウムの量が1日350mgを超え、そこから1mg増えるごとに、灰白質(+0.001%)、左海馬(+0.013%)、右海馬(+0.023%)の体積が増加していた。

 

ということで、いつもマグネシウムをたくさん摂っている人は、脳の体積が大きい傾向があったわけです。当たり前ですけど、脳がの体積は、認知機能の低下やアルツハイマー病と関係してるんで、脳がデカいにこしたことはないわけです。

 

 

まぁ、この研究はあくまで観察研究だし、食事から摂取したマグネシウム量しか推定していないので、果たしてサプリメントでも同じような効果を得られるかどうかは未定であります。サプリでマグネシウムをとりすぎると、一部の人はお腹を壊しやすくなったりもしますんで、このデータを見て「マグネシウムをサプリで死ぬほど摂るぞ!」とは思わないようお願いします。

 

 

 

カフェインでうつ病リスクが下がる?

カフェインについては、ダイエット効果やら運動能力の改善などの効果が言われてまして、個人的にも「使い勝手がよい成分だよなー」とか思ってるわけです。

 

 

で、新しく出たメタ分析(R)もカフェインの効能を調べたもので、まずは結論から申し上げますと、

 

  • カフェインでうつ病のリスクが下がるぜ!

 

みたいになります。カフェインは眠気覚ましに使えるだけでなく、メンタル改善の効果も持つのではないか、と。

 

 

こちらは、18歳~97歳の男女422,586人を対象にした研究で、過去に発表された29件の観察研究をもとにメタ分析を行ったものです。ここには日本人のデータもふくまれてまして、なかなか参考になるんじゃないでしょうか。

 

 

その結果をざっくりまとめると、こんな感じになります。

 

  • コホート研究だと、コーヒーの摂取量が最も多い人たちは、うつ病のリスクが11%低かった

 

  • 用量反応分析によると、コーヒー摂取量が1日あたり240mL増加するごとに、うつ病のリスクが4%低下するっぽい。

 

  • 横断研究においても、コーヒーの摂取量が多い人ほど、うつ病の発症確率が22%低くなるとの結果が出ている。

 

  • 一方で、お茶の摂取量については、うつ病リスクとの関連は見られなかった。ただし、横断研究では、総茶、緑茶、紅茶の摂取量が多い人ほど、うつ病のリスクがそれぞれ27%、16%、42%低くなっていた。

 

というわけで、どうもカフェインの摂取が多い人は、メンタルを病むリスクが下がる傾向が見られたらしい。もちろん、これを見ると「コーヒーやお茶のポリフェノールのおかげでは?」って気もしますけど、いちおうカフェインの摂取量とうつ病リスクのあいだにはバッチリ相関が見られてたりはします。

 

 

まー、全体的にデータの質は低めなだし、それぞれの研究で潜在的な交絡因子の数や種類がバラバラなので、まだ「カフェインでメンタル改善!」と言うには時期尚早な感じもしますが、コーヒーやお茶が苦手でなければ、普段からガッツリ飲んでおいたほうがよさそうに思いますね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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