家族療法の専門家「仲が悪い家族って4つのコミュニケーションスタイルを取ってるよねー」
「気分の本(The Book of Moods)」ってのを読んでたら、中盤で出てきた「サティアの家族役割理論」ってのがおもしろかったのでメモっておきます。
この理論を開発したヴァージニア・サティアさんは有名な家族療法士で、「家族のなかでケンカが起きるのは、みんなが独自のコミュニケーションスタイルを取り続けちゃうからじゃない?」と提案。このコミュニケーションスタイルを意識して変えることで、家庭に平和が訪れるのではないかと考えたんだそうな。
ってことで、サテイァさんは、
- 家族に破壊をもたらす4タイプのコミュニケーションスタイル
- 家族に平和をもたらす1つのコミュニケーションスタイル
ってのを分類し、良いコミュニケーションスタイルを取るようにがんばろうぜ!と推奨したらしい。
その5タイプのコミュニケーションスタイルってのは、以下のようなものです。
- タイプ1. 批判屋:自分では決して責任を取らず、常に誰かや何かのせいにして、「これはお前のせいだ!」と言ってくるタイプ。強くて自己満足的な態度を取るが、その裏にはつねに疎外感と孤独感が隠されており、裏切られた、軽視された、軽蔑されたと感じると、まっさきにこちらにつっかかってくる。当然、対立を引き起こしやすい。
- タイプ2. 懐柔屋:このタイプは、自己主張せず、決して家族の意見に反対せず、みんなが争わないようにする。しかし、実際には常に他人からの承認を求めているし、自分の感情や欲求を否定し続けるので、不満を抱え込むことが多い。また、表面的な争いをすぐに避けようとするあまり、問題の根本的な解決が遅れることが多い。
- タイプ3. 気取り屋:感情を表に出さず、つねに理性的にふるまおうとするタイプ。そのため、外から見ると非常に冷静で超合理的に見えるが、実際には弱さを隠しており、内面では感情が煮えたぎっている。個別の問題にふみこまず、一般論で丸め込もうとすることも多い。
- タイプ4. 茶化し屋:深い話になると冗談で逃げたり、相手の罪悪感をかき立てたりして、問題を回避しようとする。その裏には、孤独感や不全感が強く、問題に真正面から取り組む強さがないケースが多い。
- タイプ5. バランス屋:感情のバランスが取れており、あらゆる人と関わることができるタイプ。感情的にオープンで、成熟しており、相互の問題解決を最終目標とし、相手の話をしっかり聞きつつ、こちらの主張も伝えるのがうまい。
ということで、当然ながら、家族に平和をもたらすのは「バランス屋」だけで、あとの4つは問題を先送りにするか、悪化させるかだけに終わってしまうわけです。というか、これを見てると、家族だけでなく、会社やサークルなどすべての組織に当てはまりそうな気もしますが。
で、最終的にはみんなが「バランス屋」を目指すのが良いわけですけど、ここで最も重要なのは、自分がどんな場面でどんなスタイルを取りがちなのかを理解することです。まぁ、この5つの分類が完璧に正しいってわけでもないでしょうが、いざというときに「自分のスタイルは何タイプだろう?」「父親のスタイルは?」と考えると、ケンカの原因が分析しいやすくなり、それによって個別の対策もスムーズに進むんじゃないでしょうか。
ちなみに、ここで誰に対してもつねに同じスタイルを取れる人はめずらしいのでご注意を。ある人は妻の前では茶化し屋なのに、子どもに対してはバランス屋になるかもしれないし、小さな問題についてはバランス屋でいられるけど、大きなトラブルでは急に批判屋になっちゃうケースもあるでしょう。私の場合は、小さな問題ならバランス屋ですが、逆境レベルが強くなると懐柔屋になりがちだなーとか、これを見てて思いました。
でもって、自分のコミュニケーションを常にモニタリングしておき、「あ!いま自分が批判屋モードに入った!」と思ったら、意識して「バランス屋」モードに切り替えてみると吉。バランス屋になる方法はいくつもありますが、
あたりが参考になるでしょう。また、ここでいう「バランス屋」ってのは、アサーティブの考え方に近いところがあるので、
あたの本も参考になるかもしれません。どうぞよしなに。