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今週の小ネタ:ダークチョコで持久力UP、筋トレ後は入浴が効果的、恋愛依存は男性の方が深刻だった件


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 


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ダークチョコで肉体のパフォーマンスが上がる

ダークチョコが体に良いって話は何度もしていて、有料ブロマガでも定期的に推奨される商品を紹介してたりするわけです。

 

で、新たな研究(R)によれば、「ダークチョコでランナーのパフォーマンスが改善!」って結論になってて良い感じでした。有酸素運動をやってる方には非常にナイスなデータですね。

 

この研究は、22〜55歳のアマチュア男性ランナー46名を対象にしたもので、

 

  1. 50g摂取のダークチョコレート(カカオ70%)を、2週間毎日食べてもらう
  2. その前後で、血管の柔軟性や心肺機能、パフォーマンス指標をチェック

 

みたいなデザインになっております。使われたチョコの総ポリフェノール量は1,222mgほどでして、こいつが「一酸化窒素(NO)」を生み出して血管を拡張し、動脈硬化を防いだり、血圧を下げたり、運動中の酸素効率をアップさせたりといったメリットを得られると考えられるんですな。

 

では、結果がどうだったのかと言いますと、ダークチョコレートを食べた後は、

 

  • 血管の柔らかさが改善!:脈波伝播速度(cfPWV)が11.8%低下した。つまり、血管が柔らかくなったと思われる。ついでに増大係数(AIx)も19.5%低下していて、これは動脈の弾力性がアップしたのだと考えられる。

 

  • 血圧&安静時心拍数が低下!:上腕血圧&中心動脈圧が有意に低下して、逆に心拍数は運動時の最大値が上昇した。つまり、運動に対して心臓がしっかり動いてくれてる

 

  • VO₂max&ATも向上!:最大酸素摂取量についても、運動前は52.2から運動後に753.4に!って、おそらく……これは単位ミスでしょうが(mL/kg/分で+3.4前後だと思われる)、とにかくVO₂maxにも改善が見られたみたいですな。ちなみに、AT-VO₂max比も78.6% → 84.0%だったとのこと。

 

って変化が見られたらしい。つまり、ダークチョコレートによって酸素を使う能力が向上し、持久力が上がったってことですね。ちなみに、実験の後でみんなに「ダークチョコの効果どうだった?」と聞いたら、87%が肯定的な回答をしてまして、体感としてもパフォーマンス向上があったみたいですね。

 

まあ、この研究にはプラセボ群がないし、女性は含まれていないし、介入期間はたった2週間なので、データとしての信憑性はゆるいとお考えください。また、1日50gものダークチョコレートを毎日食べてたら、プラス300kcalぐらいになっちゃうんで、同じことをしたら体脂肪が増加するリスクが大きいあたりもご注意あれ。

 

とはいえ、運動の1〜2時間前に20〜30gのダークチョコ(70%以上)を摂取すると運動効率が高まる可能性はありますんで、食べ過ぎにさえ注意すればアリって感じでしょうな。

 

 

 

筋トレ後は風呂が良い説

筋トレのあとは風呂だ!」って研究(R)が出ておりました。なんでも、筋トレ後に40°Cのお風呂に浸かると、筋力アップと回復感の向上にちょっと役立つかもしれないって感じでして、トレーニーには参考になりそうであります。

 

これは中京大学の先生方が行った実験で、筋トレ未経験の若い男性31名を集めて、みんなに足の筋トレを2週間で5回やるように指示。強度はマックス筋力の60%でやってもらい、その後で3パターンのグループに分けて比較しております。

 

  1. シャワーだけ浴びる
  2. 36°Cの湯船につかる
  3. 40°Cの湯船につかる

 

いずれも入浴は10分間で、その後に筋力や筋機能、心血管指標、主観的な回復感などを測定したところ、

 

  • 「筋力(MVICトルク)」の変化については、統計的な有意差はなかったものの、40°Cグループの“効果量”が一番大きかった。つまり、明確な勝者はないものの、傾向としては適温入浴が良さげってことですな。

 

  • 「筋力アップ」に関しては、シャワー < 36°C入浴 < 40°C入浴って順番で効果が大きかった。

 

  • 「筋機能(電気刺激による不随意収縮)」に関しては、なぜかシャワー浴のみで有意な向上が見られた。

 

という結果だったらしいんですな。全体的に見ると、温浴によって筋の炎症やダメージが軽減されたのがうかがえるわけです。

 

また、ここでは心理面の評価もしてまして、こんな結果になってます。

 

  • 快適さのスコア
    • シャワー:0.25
    • 36°C:-1.17(やや不快寄り)
    • 40°C:1.55(かなり快適)

 

  • 筋トレ後の主観的な回復
    • シャワー:0.75
    • 36°C:0.67
    • 40°C:1.36

 

というわけで、こちらに関しては40°C入浴が圧勝っすね。そりゃそうだろって結論ではありますが。

 

個人的には、今回のデータをふまえて入浴と筋トレの関係について実用的なポイントをまとめてみると、

 

  1. 「筋力アップ+気持ちいい」を狙うなら、40°C風呂がベスト:筋トレ後に10分の温浴で、筋力アップをサポートしつつ、回復感も向上する。
  2. 「筋機能の適応」を狙うなら、あえてシャワーもアリ:筋肉に微細なダメージを残すほうが、適応反応が強く出る可能性があるので、試合期や成長期のトレーニングではシャワー浴も戦略的に使えるかも。

 

みたいになるでしょうね。「40°C × 10分」ってシンプルな方法でパフォーマンスの底上げが期待できるなら、筋トレの後に軽く風呂で汗を流すのも良さそうであります。自分でもやってみるか……。

 

 

 

恋愛に依存してるのは男のほうだった

「男のほうが元カノをひきずりやすい」などと言いますが、そこらへんを調べた包括的な研究レビュー(R)が出ておりました。研究チームいわく、

 

過去の文化や研究の中では、“女性のほうが恋愛に重きを置く”という考え方が過剰に強調されてきた。

 

とのこと。一般的には「女性のほうが恋愛好き」みたいに思われやすいものの、実際には逆なんじゃないの?ってのが、この研究の問題意識であります。

 

研究チームは、過去のデータをレビューしたうえで、以下の4つのポイントを指摘しておられます。

 

  1.  男性のほうが「恋愛に夢を見がち」だぞ!:男性と女性を比較すると、男性のほうが恋愛関係に対してより多くの満足感や恩恵を期待し、「恋愛は人生の幸福にとって重要な要素だ!」と感じる度合いが高いんだそうな。たとえば、男性は“一目惚れ”や“運命の恋”を信じる傾向が強いし、恋に落ちるのも女性より早いし、告白も男性のほうが早いらしい。わかる気がする……。つまり、恋愛にロマンを感じ、感情的に入り込みやすいのはむしろ男性側ってことですな。


  2.  男性のほうが恋愛から得られるメリット大きいぞ!:これまでの研究によれば、パートナーがいる男性は、うつやストレス、孤独感が大幅に低下するし、血圧・炎症マーカー・死亡率などの健康指標でも優良であるケースが多いらしい。一方で女性は、友人や家族などの支援ネットワークを持っている人が多いので恋愛関係に依存しすぎず、パートナーの有無による健康効果の差がやや小さいらしい。


  3. 男性ほど別れられない!:複数の調査を見てみると、離婚の約70%は女性から切り出されているし、非婚カップルの別れも女性主導が多いしで、男性は恋愛関係の終わりに対して非常に慎重で消極的な傾向があるとのこと。これは、男性ほど「別れたら孤独になる!」と感じやすいかららしい。


  4.  男性は「失恋後のダメージ」が大きい:一般的に、男性は女性よりも失恋によって鬱になりやすく、生活満足度も低下しやすい。パートナーを失った後の死亡リスクも女性より高いし、自殺率の上昇も男性のほうが高い。これは、女性は「別れたら友人や家族に頼る」ことが自然にできるのに対して、男性は恋愛関係が終わったら感情サポートから切り離されがちだからだと考えられる。

 

ってことで、全体としては「男性は社会関係を作るのが下手であり、それゆえに恋愛への依存度が高い」って傾向が見て取れまして、なんか納得の内容でありました。男性ってのは文化的に「感情を表に出すな」「自立しろ」と育てられやすかったんで、結果として、友人や家族との“感情的なつながり”を築く練習がおざなりになりがちですからねぇ。

 

もちろん、これはあくまで平均的な傾向の話で、すべての人に当てはまるわけではありませんが、「男こそ恋愛に依存しがちだ」みたいに考えておくと、イメージのズレが解消されてよいのかもしれませんな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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