年を取るとタンパク質を吸収しにくくなる問題をどうにかしたい!なんせ自分が50代なので!
「高齢者は若者よりもタンパク質を多めに取ったほうがいい!」ってのはよく聞く話。人間は年齢を重ねるほど、タンパク質を食べたあとの筋タンパク質合成が起こりにくくなるので、若い頃より積極的にプロテインを摂る必要があるんですよ。この現象は「アナボリック・レジスタンス」と呼ばれてまして、ざっくり言えば、若いころと同じ量のタンパク質を食べても、筋肉が反応しにくくなる状態を意味しております。なので、私も40代後半あたりから、日々のタンパク質により気を使うようになりました。
では、なぜ高齢者はタンパク質への反応が悪くなるのか? これまでは、筋肉の合成シグナルが弱くなる、筋肉への血流が落ちる、アミノ酸が内臓に多く取り込まれる、運動量が減る……みたいな理由が考えられてきたんですが、ここでもうひとつ気になるのが、
そもそも高齢者は、食べたタンパク質をうまく消化・吸収できていないのでは?
という問題であります。年をとると、どうしても歯や噛む力が衰えたり、胃から腸へ食べ物を送るスピードが落ちたり、膵臓が作る消化酵素が減ったりする可能性があるので、食べたタンパク質が若いころと同じようにアミノ酸が吸収されなくなっちゃう可能性はめっちゃ高いんですよ。
そんなわけで、新しく出た研究(R)では、若者と高齢者でタンパク質の消化率がどれぐらい違うのかを調べてくれてて参考になりました。
実験では若者10人(平均22歳)と高齢者10人(平均72歳)を集めて、みんなに別々の日に、
- 牛乳
- ソルガム
- 黒豆
という3種類の食品から、それぞれ20gのタンパク質を取ってもらったんだそうな。ソルガムは日本じゃなじみがないですが、アフリカやアジアでよく食べられているイネ科の穀物であります。つまり、この実験では、動物性タンパク質、穀物、豆類の違いを比べたわけですね。
さらに研究チームは、摂取後8時間にわたって血液をチェックし、必須アミノ酸のうち、特にリジンとスレオニンがどれぐらい消化・吸収されたかを測定したとのこと。タンパク質を摂取したあとで、どれぐらい血液中にアミノ酸が現れたかを追跡したわけですな。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
- ソルガムでは、高齢者のリジンとスレオニンの消化指標が、若者より19%低かった
- ところが、牛乳と黒豆では、若者と高齢者のあいだに統計的に明確な差は確認されなかった。
みたいな感じだったというんですな。つまり、「年を取ると、あらゆるタンパク質の消化率が一律に落ちる」って単純な話ではなく、加齢の影響はタンパク源によって変わるかもしれないってことですね。うーん、人体って複雑。
でもって、ここでやはりおもしろいのは、植物性タンパク質のなかでも、ソルガムでは年齢差が出たのに、黒豆では出なかったところですね。この結果を見ると、「動物性なら吸収できる」「植物性は吸収しにくい」といった大ざっぱな分類だけでは現実をうまく説明できず、食品の構造、加工法、食物繊維、抗栄養素などの違いも関係しているのかもしれないんで。
では、高齢者はタンパク質の消化率が落ちる可能性をふまえて、どのように対策すればいいのか? この文献から得られる教えをざっくりまとめると、こんな感じになるでしょう。
- まずは1日の総量を確保!:健康な高齢者については、一般的に体重1kgあたり1.0~1.2g程度のタンパク質がひとつの目安として提案されております。体重60kgなら、1日60~72gぐらいですね。ただし、筋トレをしている人、減量中の人、病気や入院などで筋肉が減りやすい人については、体重1kgあたり1.2~1.6g程度が候補でして、私も1.6gを目指してやっております。実際、65歳以上を対象にしたメタ分析でも、1日1.2~1.59g/kgの範囲で除脂肪量へのメリットが確認されてますんで(R)。
- 一食にまとめず、複数回に分ける!:夕食で肉を大量に食べたとしても、朝食がパンとコーヒーだけでは、筋肉に十分な刺激を与えにくい可能性があったりします。高齢者は若者よりも一食あたりのタンパク質への反応が鈍いんで、ひとつの目安として、一食あたり体重1kgにつき0.4g前後を狙うってのが手でしょう(R)。体重60kgなら、一食24g前後っすね。
この時は、たとえば朝に卵とヨーグルト、昼に魚や鶏肉、夜に肉や豆腐を食べるみたいに、3食に分散させるのが基本。食事だけで足りない場合は、間食に牛乳、ギリシャヨーグルト、チーズ、プロテインなどを加えるのもアリっすね。 - 消化しやすいタンパク質を使う!:高齢になると、消化能力だけでなく、食欲、かむ力、調理する体力なども低下しやすくなるのが難点。なので、「理想的な食品か?」だけでなく、無理なく食べ続けられるかも重要になるでしょう。具体的には、卵、牛乳、ヨーグルト、チーズ、ホエイやソイのプロテインなどを組み合わせるといいっすね。複数のタンパク源を使うことで、特定のアミノ酸や消化率の問題も補いやすくなるはず。
- 年をとるほど筋トレもマスト!:いくらタンパク質を増やしても、筋肉に刺激を送らなければ無意味。筋トレは、年をってタンパク質が吸収されない問題を解決するためにも必須なので、マシンでも自重でも何でもいいんで、無理のない範囲で定期的に負荷をかけ、少しずつ回数や重量を増やすのが吉。
ってことで、今回のデータを見る限り、高齢者のタンパク質消化能力がすべての食品で一律に低下するとは言えなそうなので、特定の食品を避けるより、十分な総量を確保し、複数回に分けて、さまざまな食品から取り、筋トレを組み合わせるのが基本であります。高齢者になると、いろいろ考えることが増えて面倒ですなぁ。



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