瞑想は「呼吸に集中するだけ」でも十分メンタルが改善するのか? を調べた研究の話
「瞑想は、ただ呼吸に集中するだけでも効果があるのか?」ってのを調べた研究(R)が、瞑想好きには参考になりそうな内容になっておりました。
瞑想といえば、呼吸に意識を向けて、注意がそれたら元に戻すって方法が最もメジャーなはず。私も長いこと瞑想を続けてますが、結局は呼吸瞑想を一番長く続けてますね。
ただ、瞑想にもいろんな種類がありまして、なかには「自分とは何か?」とか「この思考はどこから生まれてきたのか?」みたいな質問を自分に投げかけて、自己分析を深める方法もあるんですよね。となると、ここで気になるのが、
- 呼吸に集中するだけの瞑想でも、メンタルは改善するのか?
- 自分の思考や感情を深く掘り下げる瞑想のほうが、効果は大きかったりするのか?
- そもそも、両者は同じような仕組みでメンタルに作用するのか?
ってあたりでしょう。シンプルな瞑想と、自己分析を深める瞑想では、どっちがメンタルに良いのか?って問題っすね。
そこで今回の研究では、204人の参加者をランダムに3つのグループに分類。具体的には、
- 注意集中型瞑想グループ:呼吸や体の感覚に注意を向けて、気がそれたら元に戻す練習をする。
- 自己探究型瞑想グループ:自分の思考や感情がどこから生まれるのか、それが自分の認識にどう影響するのかを観察して問い直す。
- 待機グループ:研究期間中は瞑想のトレーニングを受けず、比較対象になってもらう。
みたいにわけて、それぞれの効果の違いをチェックしております。
2パターンの瞑想法を、もう少しくわしく説明しておくと、
- 注意集中型瞑想:いわゆるマインドフルネスの基本的な練習。呼吸を観察して、仕事のことを考え始めたら「あ、考えがそれたな」と気づき、また呼吸に戻るの繰り返し。
- 自己探究型瞑想:注意集中よりもう少し踏み込んだ方法で、たとえば仕事でミスをして「自分はダメな人間だ」と思ったときに、
・この考えは、どこから生まれたのか?
・なぜ私は、仕事の失敗を自分の価値と結びつけているのか?
・この思考は、本当に自分自身を表しているのか?
みたいな問いを通して、思考と自分自身の関係を見直していく。
といった感じになります。どちらのグループも、4週間にわたって計5回のオンライン講座を受け、さらに自宅でも1日20分、週5日の瞑想に取り組んでもらったそうな。
で、すべてのデータを分析し、抑うつ症状や考え方の変化をチェックしたところ、こんな結果になりました。
- 2種類の瞑想を行ったグループは、どちらも待機グループより抑うつ症状が改善していた。
- 注意集中型と自己探究型のあいだには、抑うつ症状の改善に有意な差がなかった。
ということで、少なくとも4週間の実践では、自分の心を深く掘り下げるタイプの瞑想のほうが、シンプルな呼吸への注意集中より優れているとは言えなかったわけですな。
でもって、個人的に興味深かったのは、「非機能的な態度」と呼ばれる考え方への影響であります。これは、極端で硬直した考え方を意味していて、たとえば「仕事で失敗したら、自分は人間として失格だ」とか「好きな人に愛されなければ、自分には価値がない」みたいな思考が典型例っすね。
こうした思考パターンは、当然ながらメンタルに悪いわけですが、今回の実験では、注意集中型瞑想のほうが、自己探究型瞑想よりも、非機能的な態度が改善してたというんですな。自己を分析する瞑想よりも、呼吸に集中する瞑想のほうが、硬直した考え方の改善につながったというわけで、これはちょっと面白い結果ですねぇ。
ちなみに、なぜ呼吸に集中するだけでメンタルが改善するのかと言いますと、おそらく「脱中心化(デセンタリング)」って心理が働くんでしょうな。これは、自分の思考や感情を、少し距離を置いて観察する能力のことでして、これが得意な人は、仕事でミスをして「自分は無能だ!」と考えたとしても、「ああ、いま自分は『無能だ』という考えを持っているんだな」みたいに、一歩引いて思考を眺められるんですな。これは確かに持っておきたいスキルですねぇ。
今回の実験によれば、2種類の瞑想のどちらでも脱中心化の能力が改善してたんですけど、特に注意集中型の瞑想では、脱中心化のスキルの成長がメンタルの改善に効いてる可能性が示されたんですよ。
まぁ考えてみれば、呼吸瞑想でやっているのは、
- 呼吸に注意を向ける。
- いつの間にか別のことを考えていると気づく。
- その考えを追いかけず、呼吸に注意を戻す。
という作業の繰り返しですからね。おそらく、このときに私たちの脳は「頭に浮かんだ考えは無視してもOK!」と学んでいるのかもですな。
ということで、この研究を見る限り、
- 瞑想を始めるなら、まずは呼吸に注意を戻す練習で十分かもなー
と言えるでしょうね。もうちょい詳しく説明してみると、
- ステップ1:呼吸に注意を向ける:目を閉じても開けたままでもいいので、自分の自然な呼吸を観察してみる。鼻を空気が通る感覚でも、お腹が膨らむ感覚でもOK。
- ステップ2:注意がそれたことに気づく:途中で仕事の予定を考えたり、昔の失敗を思い出したりしても問題なし。「いま、別のことを考えていたな」と気づくだけでOK。
- ステップ3:評価せず、呼吸に戻る:注意がそれたと気づいたら、そのまま呼吸に戻ればOK。「また集中できなかった!」と自分を責める必要はなし。
みたいな感じになります。ちなみに、今回の研究では、正式な瞑想とは別に、日常生活のなかで30秒〜3分ほど呼吸に注意を向ける練習や、考えがそれた際に10〜15秒ほど呼吸に戻る練習も取り入れられてますんで、これをマネしてみるのもいいでしょう。
もちろん、この研究だけで「メンタル改善には呼吸瞑想で十分だ」と結論づけることはできませんが、「自分の心を深く理解しなければいけない!」とか思わなくてもよさそうってのは、瞑想の初心者には良いニュースかもしれませんなぁ。



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