人生100年時代に備えて、今日15分だけ「未来の自分」を考えようぜ!という本を読んだ話
『人生100年時代を生きる(Living the 100-Year Life)』って本(R)を読みました。著者のリンダ・グラットンさんは、ロンドン・ビジネス・スクールの教授で、長寿化が働き方や人生設計に与える影響について研究している先生であります。日本だと『LIFE SHIFT』の著者としても有名っすね。
で、本書が扱うのは「長い人生を、どうやって充実させていけばいいのか?」って問題。「人生100年時代」と聞くと、老後の資金や健康管理に意識が向きがちですけど、本書では、仕事、学び、人間関係、休息などを、そのつど組み直していく必要がある!って考え方が示されております。
というわけで、今回も個人的に勉強になったところをチェックしてみましょうー。
本書の基本的なメッセージは、「寿命が延びれば、人生の組み立て方も変わる」というものである。従来の人生設計では、若いうちに学び、大人になったら働き、60代ぐらいで引退する、という3段階の流れが想定されていた。しかし、90歳や100歳まで生きる可能性を考えると、働く期間が50年、60年に及ぶこともあり、これまでの働き方をそのまま20年延長するだけでは対応しにくくなる。
その間には、技術も変わり、必要とされる能力も変わる。家族や人間関係も変わるし、自分が仕事に求めるものも変わっていく。したがって、長寿化を考える際には、老後だけでなく、人生の途中で学び直す時期や、働き方を変える機会も含めて考える必要がある。
私たちは、仕事の成功を、「どれだけ上に進んだか」で判断しがちである。たとえば、昇進したか、収入が増えたか、責任のある立場になったか、などである。こうした基準はわかりやすく、自分の進む方向も決めやすい。
しかし、これからの仕事人生は50年以上は続くため、上を目指したい時期もあれば、専門分野を深く学びたい時期や、仕事の量を減らしたい時期も出てくるはず。そこで必要になるのが、昇進や収入以外にも、自分の人生を評価する基準を持つことである。
グラットン先生は、長い人生を考えるための要素として、次の8つを挙げている。
1.熟達(Mastery)
2.協力(Cooperation)
3.知ること(Knowing)
4.増幅すること(Amplifying)
5.友情(Friendship)
6.親密さ(Intimacy)
7.穏やかさ(Calm)
8.冒険(Adventure)
この整理では、前半の4つは生産的に活動することに関わり、後半の4つは自分を養うことに関わる。個々の詳しい定義は省くが、ここでのポイントは、長い人生には両方が必要だということである。もちろん、仕事で成果を出すのも大事だが、それと同時に、人間関係を保つこと、学び続けること、新しい経験をすること、落ち着いて過ごせる時間を持つことにも目を向けたい。「今年は昇進できなかった」としても、大事な人との関係が深まったり、関心のある分野を学べたりしたなら、その変化も人生の評価に含めていい。
ただし、博士は「すべての要素を、いつも完璧にバランスよく満たそう」と勧めているわけではない。専門的な能力を伸ばすために多くの時間を使う時期もあれば、友人と会ったり、新しいことを試したりする余裕が少ない時期もある。それ自体は、人生のなかで起きる自然な変化である。
気をつけたいのは、ある要素が長期間にわたって放置されることである。「仕事が落ち着いたら連絡しよう」と思ったまま何年も過ぎれば、友人との関係を戻すのが難しくなるかもしれない。能力を磨く機会を失い続ければ、必要になったときに取り戻す負担も増えてしまう。
そのため、人生のなかで確認しておきたいのは、「長く後回しにしたままになっているものはないか?」という点である。
そこで博士が提案しているのが、ときどき次の3つを自分に問いかける方法である。
1.自分はどんな人か?:これまでの経験から、何が得意で、何を大切にしているとわかったか。
2.いま、どんな状態か?:人生のどの要素が充実し、どの要素が弱くなっているか。何に時間と注意を使っているか。
3.いま、どんな行動を取るか?:未来の自分のために、何を始めたり、続けたりするか。
この問いかけを行うと、人生で何を見直すか考えやすくなる。たとえば、「人とのつながりを大切にしたい」と思っているのに、実際には何か月も仕事の連絡しかしていないなら、そのズレに気づくことが出発点になる。
人生を見直そうとすると、「転職するべきか」「住む場所を変えるべきか」などの、大きな決断に意識が向きやすい。しかし、グラットン博士が勧めるのは、まず15分ほど時間を取り、「いま、何に注意を向ける必要があるか?」を考えることである。
たとえば、穏やかに過ごす時間が減っているなら、明日散歩に行く。泳ぐ。スマホから離れる時間を作る。
友情が気になっているなら、大切な人に電話をして、短く話してみる。
このような小さな行動は、次の行動につながる可能性を生んでくれる。友人に連絡すれば、今度会おうという話になるかもしれない。新しい分野を少し学べば、さらに知りたいことが見つかるかもしれない。
さらに著者は、20年後、30年後の自分について、次の3つを想像することを勧めている。
1.なりたい自分:こんなふうに暮らせていたらうれしい、と思う姿。
2.なりそうな自分:いまの生活を続けた先に予想される姿。
3.なりたくない自分:できれば避けたい、と思う姿。
これについて考えたグラットン博士は、将来、転倒や骨折によって自立した生活が難しくなることを避けたいと考え、週に2〜3回ピラティスをしているとのこと。このように、「未来の自分には元気でいてほしい」と思うなら、現在の生活のなかで何に時間を使うかと考えると、日々の行動を選ぶ理由が具体的になる。
それと同時に、博士は「未来の自分は、いまの自分に何を求めているだろう?」という問いもオススメしている。たとえば、80歳や90歳になったとき、誰と食卓を囲んでいたいか。どんな経験を思い出して話したいか。何に時間を使っておいてよかったと思いたいか、などを考えてみる。これは、未来の自分の立場から、現在の生活を見直すための問いである。未来の自分が暮らす環境や人間関係は、現在の選択によって形づくられるため、ときどき未来の自分を想像しておく必要がある。
ということで、今回はグラットン博士の新著のお話でした。長い人生では自分の希望も周囲の状況も変わるでしょうから、そのつど暮らしを見直していこう!って考え方は、取り入れやすくていいですねー。



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