「なぜ自分は他人よりも友だちがいないのか」の科学
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社会学の世界では、昔から「友だちのパラドックス」って言葉がありまして。
たいていの人は、自分の友人よりも友だちの数が少ない
これは90年代にニューヨーク大のスコット・フレッド博士が見つけた現象(1)で、「たいていの人は、自分の友人よりも友だちの数が少ない」というもの。たくさんの人を集めて友人の数の平均を出すと、その数は、ほとんどの人の友だちの数を上回っちゃうというんですな。といっても、考えてみれば当然の話でして、友だちが2人しかいない人がいる一方で、友だちの数が千人を超す人もいるわけですから、どうしても全体の平均値は上がっちゃうわけですね。要は統計的なバイアスなんですが、多くの人はこの偏りに気づかないので、ついつい「みんなオレより友だちが多い…」とか「オレだけ不幸せだ…」といった思い込みを持ってしまうんだそうな(2)。
似たような現象はSNSでも起きてまして、たとえばTwitterなどでは自然とフォロワーが多いユーザーをフォローしがちになるなので、「オレがフォローしてる人は自分より人気者ばっかりだな…」って印象が生まれて、より劣等感が暴走してしまうという。
友だちが多い人ほど世界観がゆがむ
というと、「やっぱ友だちが多い人はいい!」って結論になりそうですが、近ごろ出た論文(3)によれば、どうも実際はそうでもないらしい。これはダートマス大学の実験で、284人の学生を対象にしたもの。全員に性格テストと社会関係のアンケートを行ったところ、外向的で友だちが多い人ほど「他人のほうが友だちが多い!」と思い込んでたというんですね。
なんともヘンな話のようですが、これまた考えれば当たり前でして、外向的な人は外向的な友人とつるみがちなので、どうしても全体の友人の平均値が上がってしまい、その結果「オレは人より友だちが少ない!」って印象を持っちゃうわけですね。
あなたは自分が思うよりも普通である
研究者いわく、もし、あなたが外向的なキャラなら、他人の外向性に対する考え方はゆがんでいる可能性が高い。しかし、内向的だった場合は、より正確に現実を把握しているかもしれない。
とのこと。人見知りは人見知りと集まりやすいので、「友だちのパラドックス」が起こりにくいわけですね。
とはいえ、「自分は人より友だちが少ない!」って思い込みは、ほぼ万人に共通のメンタリティでもあるらしい。
多くの人たちは、自分がつきあう友人をベースに社会的な基準を決めている。そうだとすれば、社会ネットワークが統計的にバイアスがあることを自覚すべきだろう。
大半の人は人間関係のイメージがゆがんでいるので、それをもとに「オレは不幸だ!」とか「友人が少ない!」とか思わないほうがいいんだ、と。さらに研究者いわく、
わたしたちには、つい「自分はおかしいんだろうか?」と考えてしまう傾向がある。しかし、この研究は、あなたは自分が思うよりも普通だという事実を示している。
とのこと。わたしのように人見知りをこじらせている人間には、まことに心やすらぐ話でありました。