基礎代謝より低いカロリーしか食べてないのに太るのはなぜ?
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/04/blog-post_97.html
カロリー制限ダイエットに関するご質問をいただきました。
30代後半の女性です。体脂肪が30パーセントを超えたので、ちょっとまずいと思って1カ月前にダイエットを始めました。体脂肪を25%以下にするのが目標なのですが、基礎代謝(1100ぐらいです)よりも低いカロリーしか食べていないのにやせません。少し太ったような気もします。なにかアドバイスをいただけますでしょうか?
とのこと。ぜんぜん食べてないのに痩せない!という悩みはダイエットの定番でして、ネットの質問サイトでも同様の書き込みを見かけます。
「食べてないのに痩せない!」に対するありがちな3つの答えは正しいのか?
その際には、以下の回答がつくケースが多いようです。- 脂肪は落ちているが筋肉もついているので体重が変わらない
- カロリー制限で体が飢餓モード(脂肪が減らない状態)に入っている
- 水分の摂取量が足りない(脱水気味で脂肪が燃えない)
このうち1番の「筋肉のせいで体重が変わらない」説は、個人的にはかなり疑問だったりします。よほどの例外をのぞいて、カロリー制限中には必ず脂肪と筋肉は両方とも減っていくものでして、脂肪だけ減らして筋肉を増やすのはまず不可能なんですよ。脂肪の分解と筋肉量のアップは、体内ではまったく真逆のプロセスなので、まず両立しないんですね(1)。
次に、飢餓モードですが、こちらは以前に「食べなくても太り続ける『飢餓モード』は本当に存在するのか?」でご紹介したとおり。確かにカロリー制限が続けば代謝は下がるものの、完全に脂肪の減りが止まることはないことがわかっております。
で、3番めの脱水で痩せないパターンについては、これは一理あるかと思います。実際、脂肪の代謝には水分が必要ですし、2003年の論文(2)によれば、脱水が続くと脂肪の燃焼度が落ちまして、逆にグラス2杯の水をのむだけで代謝が3割もアップしたとか。
ただし、これもあくまで「脱水はダイエットの効率を下げる」って話でして、決して完全に脂肪の減少を止めるわけじゃございません。「カロリーを減らせば脂肪も減る!」 って話は熱力学の第一法則にもとづいているので、基礎代謝より下の食事量でも痩せないってケースは考えにくいんですね。
人間は摂取カロリーを把握するのが苦手
というわけで前置きが長くなっちゃいましたが、ご質問に対する結論を申し上げますと、- 実は思ったより食べてる
のが原因ではないかと思います。
なんともシンプルな答えで恐縮ですが、個人的な経験では「食べてないのに痩せない!」という話をよく聞くと、意外とカロリーを摂ってるケースがほとんどなんですよ。もちろん、これはわたしだけの意見ではありませんで、実証研究もございます。
有名なのは2012年にセントルークス・ルーズベルト病院が行った実験(3)で、ダイエットに失敗した経験を持つ人を対象にしたもの。みんな「自分は1日に1,200kcalも食べてない」と思ってまして、代謝やホルモンバランスの異常を疑ってたんだそうな。
ところが、実験室で厳密に摂取カロリーを出してみたところ、
- 思ってたより平均で47%も摂取カロリーが多かった
- 平均で51%も運動の消費カロリーを多めに見積もっていた
との結果が出たんだそうな。研究者いわく、
「食べてないのに痩せない」という主張は、本質的にカロリーの摂取量と運動量を間違って把握しているのが原因だと考えられる。
とのこと。どうも、たいていの人は、摂取カロリーに対してかなり甘い見積もりを持ってしまうようです。この問題をふせぐには、こまめに食事日記をつけるしかないかなーという感じ。
まとめ
そんなわけで、自分のカロリー計算を簡単に信じてはいけないというお話でした。もっとも、「なぜカロリー制限ダイエットの95%は失敗に終わるのか?」でご紹介したとおり、当ブログでは意識的なカロリー制限をすすめておりません。
体脂肪が30%ぐらいとのことなので、おそらくは脳の食事報酬にやや狂いが出ている状態だと思いますので、個人的には「苦しまずに体脂肪を減らすための『脳の再トレーニング』ガイド」を参考に、刺激の強い食品を減らしていくほうが長い目でみて体型を維持しやすいかと思います。ご一考くださいませ〜。