制汗スプレーによる乳がんとアルツハイマーのリスクにはどこまでビビればいいのか?
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暑くなってきたので制汗スプレーの話でも。以前にも「アルミニウム入りの制汗スプレーは逆に体臭がキツくなるよ!」って論文を紹介したんですが、今回はネットでよく見かける「アルミニウムは乳がんとアルツハイマーの原因に!」についてです。
軽くおさらいしますと、アルミニウムは資生堂のエージープラスや花王の8X4(エイトフォー)など、メジャーな制汗スプレーにはたいてい入っている成分。アルミには肌の炎症を引き起こす作用がありまして、わざと汗腺にダメージを与えて臭気をブロックさせるために入っております。
この時点ですでに体に良くないのはあきらかなんですが、わりと昔から「汗腺から入ったアルミがアルツハイマーと乳がんを引き起こす!」って説まであるんですよね。
アルミニウムと乳がんの関連はそこまで確かでもない
で、まずは乳がんのほうから見てみますと、現時点ではそこまでハッキリ言えるデータはないのが現状かと。確かに、制汗スプレーと乳がんの関連を指摘した研究者はチラホラといるんですが(1,2)、いずれも「脇の下にアルミをふきかけるのはマズいんじゃない?」ぐらいの内容にとどまってまして、かなり根拠としてはアヤフヤではあります。直近では2014年のレビュー(3)がありまして、ある研究では、若いころにアルミ入りの制汗スプレーを使ってた人ほど、年をとってから乳がんを発症するケースが多かったそうですが、別の研究では「まったく関係なし」との結果が出たそうな。まったく真逆の結論ですが、疫学研究ではよくある話ですからねぇ。
また、「アルミって汗腺から吸収されるの?」って点も難しいところ。2001年の研究(4)では、皮膚から吸収されるアルミよりも食事からとるアルミのほうが全然多いから心配するな!って感じなのに、2004年のケーススタディ(5)だと、制汗スプレーを4年使った女性は血中のアルミ濃度が危険なレベルまで上がってた!って報告になってて、これまた判断がつきかねております。
この他にも、アルミが胸組織に酸化ダメージをあたえるだとか(6)、DNAを損傷させるのでは?とか(7)、探そうと思えば怖いデータもいろいろ見つかるんですが、全体で見れば「いますぐアルミ入りの制汗スプレーを捨てなさい!」といったレベルではなさそうであります。「とりあえず悪いという証拠はない!」ぐらいの感じと言いますか。
アルミニウムとアルツハイマーの関連は
続いて、アルミとアルツハイマーの関連についてですが、これも印象としては乳がんと同じです。アルミと痴呆症の関係は昔から言われてきたことですけども、5年間の追跡調査(8)では制酸剤のアルミと脳機能には関係がなかったとか。そもそも、制汗スプレーに使われる酸化アルミニウムは吸収率が0.01%ぐらいしかないんで、脳には影響がないんじゃない?って話も多いんですね(9)。が、いっぽうでは2011年のレビュー(9)を見てみますと、「かなり少量のアルミでもアルツハイマーの原因になる」とか書いてあって思わずビビってしまいます。なんでもアルミは脳組織たまってダメージをあたえていき、ほんの少しでもアルツハイマーを引き起こすには十分なんだとか。うーん、悩ましい。
まとめ
というわけで、現時点での結論としては「かなり安全とみて良さそうだけど、一抹の不安もあるよねー」ぐらいの感じ。べつに過度に心配しなくてもよさそうですが、アルミ入りの制汗スプレーが肌の良い菌を殺しているのは間違いなく、ワキの下に無理やり炎症を起こしているのも確かなんで、そこまでムリして使う必要があるのかなーとは思います。いまではミョウバン系の安全なデオドラントがいろいろと手に入りますんで、個人的にはこちらを使っていく予定。コアなパレオダイエッターのなかには、重曹やレモン汁をすり込む強者もいるそうですけどね(笑)