なんか良いアイデアが欲しいときは、最近の出来事を細かく思い出してみるといいらしいよ
「神は細部に宿る!」などと申しますが、近ごろ出た論文(1)によれば、実際に細部にこだわったほうが良いアイデアが出やすいらしい。
これはハーバード大の実験で、まずは23人の参加者に簡単なショートフィルムを見てもらってから、全体を半分にわけて、
- フィルムに関する一般的な質問をする。全体の印象や意見や流れなど
- フィルムに関する細かな質問をする。登場人物の表情や背景の窓の形など
といった2パターンでインタビューを行ったんですね。
で、その後で全員に「眼鏡やレンガの変わった使い方を考えてください」という大喜利みたいな創造性テストをやってもらったそうな。これは「拡散的思考」のレベルを計るテストで、要は1つの問題に対して複数の解答を思いつく能力を調べております。
その結果は明確で、細かな質問をされたグループのほうが高得点をたたき出したとか。細部の記憶を刺激したほうが、いろんなアイデアを主つきやすくなるみたいっすね。
もう1つの実験では、やはり同じショートフィルムを見てもらい、同じパターンでインタビューを行ったんですが、その後で、今度は「収束的思考」のテストをやってもらったんだとか。これは、「『城、出前、詐欺』の共通点は?」みたいな問題に答えてもらうテストで、複数の問題から1つの解答を導き出す能力を表しております。
すると、今度は細かな質問をされたグループの負け。一般的な質問をされたグループのほうが、「収束的思考」の点数は良くなったんだそうな。
研究者いわく、
細かなイメージを頭に思い描くと、想像と記憶にまつわる認知機能に影響をあたえる。その結果、さまざまな記憶が意識にのぼり、イマジネーションや拡散的思考が活性化する。
とのこと。過去の細かな記憶のイメージにより、脳が連想しやすい環境を作れるわけですね。
そんなわけで、なんか良いアイデアが欲しいときは、最近の出来事を細かな部分まで頭に思い描いてみると吉。そのときの相手の表情やセリフ、室温、環境音など、とにかくありったけのディテールを思い出すことで、拡散的思考が刺激されるはずであります。
ちなみに、拡散的思考を起動させる方法については、以下のエントリもご参照くださいませー。