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この「脱フュージョン」がすごい! 2016年版

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ストレスに対処する方法はいろいろありますが、わたしが気に入ってるのが「脱フュージョン」であります。

 

 

第三世代の認知行動療法でよく使われる方法で、超カンタンに言うと「感情と距離を置く方法」のひとつ。その代表例は「4つの『脱フュージョン』テクニック」に書いたとおりでして、イメージのなかでネガティブな思考や感情と自分を切り離すのがポイントになっております。

 

 

脱フュージョンにはいろんなパターンがありまして、わたしのように理屈っぽい人に向いたものから、直感で動くのが好きな方に適したものまでさまざま。というわけで、以下にメジャーな脱フュージョン法をならべておきますので、自分に合ったものをひとつ選んで、ツラい気分になったときなどに試してみるとよいかと思います。

 

 



 

この「脱フュージョン」がすごい!

1.思考と感情の採点

自分の思考や感情に点数をつけていく方法。具体的には、「いまは落ち込み度が100点満点で70点ぐらいだな…。悲しさが50点で、怒りが20点ぐらいで…、とか考えてたら、落ち込み度が50点まで下がってきたな…」といった感じです。

 

現在の感情に名前をつけたうえで、その強度に点数をつけていくのがポイント。感情の度合いが変化したら、そのたびに点数を変えていくといい感じです。わたしがもっとも「使いやすいなー」と思っている方法でして、イメージ系の技法が苦手な人にはよいのではないかと。

 

2.感情の擬人化

怒りや悲しみなどを「ヒト」としてとらえる方法。「あー、いま『怒り』さんが暴れていて、やや『悲しみ』が活動してるな…」みたいな感じ。映画「インサイドヘッド」を見ておくと、それだけで脱フュージョンのコツがつかめるので、激しくオススメであります。

 

3.「おつかれさん、思考!」法

ネガティブな思考がわいて来たら、その思考に対して、とりあえず「おつかれさん!」と言ってみる方法。「オレはダメな人間だ…と考えている思考、今日もおつかれさん!」みたいな感じ。ネガティブな考えが文章や言葉として浮かんでくるタイプの方に向いてますね。

 

4.思考をゆっくり口に出す法

ネガティブな思考がわいて来たら、その思考を、戦場カメラマンばりにスローペースで言葉にしてみる方法。「オ〜レ〜は〜ダ〜メ〜な〜人〜間〜だ〜」みたいな感じ。最後まで言い終わるあいだに、どうでもいい気分になること請け合いです(笑)

 

5.思考を歌ってみる法

思考をゆっくり口に出す方法の別バージョン。なんでもいいので、テンポが良い曲にあわせて「オっレ〜は〜ダメっな〜人間だっ♪」みたいに歌ってみる。これまた一気にバカバカしい気分になるため、ネガティブな思考からは離脱しやすくなるでしょう。

 

.「なぜ?」法

嫌な感情や思考の原因を、ひたすら「なぜ?」と問い詰めていく方法。「オレはダメな人間だ?」「なぜ?」「仕事でミスをした?」「なぜ仕事でミスをするとダメなのか?」「……そう思っちゃうんだからしょうがない」「なぜそう思うのか?」「えーと…」みたいな感じで、ひたすら原因を詰めていくイメージです。これも、シンプルで使いやすい良い方法かと。

 

.雲のイメージ法

雲が浮かんでいるイメージを想像し、そこに嫌な感情や思考を乗せてしまう方法。たとえば、怒りがわいてきたら「怒り」を雲の上にポンと置き、嫌いなヤツの顔が出てきたら、その顔も雲の上に置いてみる感じ。あとは、その雲をぼーっ見上げて続ければOKであります。

 

個人的には、「思考」や「怒り」を雲に置くイメージがうまくつかめないんですが、この方法が一番しっくりくるという方も多いみたい。

 

.列車のイメージ法

雲のイメージの別パターン。自分がプラットフォームにいると想像したうえで、駅に入ってきた貨物列車に、嫌な感情や思考を投げ込んでいく方法であります。

 

具体的には、「あーイライラする」って気持ちを貨物列車に乗せて、そのまま通り過ぎていく様子をイメージ。それでもイライラが収まらないときは、次の貨物列車に再び放り投げていく感じで。

 

.箱に入れる法

あらかじめ現実の箱を用意しておき、そのなかに嫌な感情や思考を流し込んでいく方法。「オレはダメだ!」と思ったら箱を開き、その感情を箱に注ぎ込むイメージであります。

 

「すべて思考が入ったかな…」と思ったら、箱を閉めて放っておけばOK。「なんか実際のオブジェを使ったほうがイメージしやすいなー」という方に良いかと思います。

 

 

まとめ

そんなわけで、有名な脱フュージョンを9つほど紹介してみましたが、要は思考と感情を他人事のようにながめられれば、どれを使っても構いません。

 

 

わたしのようにイメージ系の技法が苦手な場合は「なぜ?法」や「思考の採点」がオススメですし、とにかく激しい感情を沈めたければ「歌ってみる法」が効きやすいんじゃないかと思います。あくまで経験則ですが。

 

 

ちなみに、たまに「脱フュージョンってどんな感覚なんですか?」みたいな質問を受けるんですけど、決して特殊な精神状態に入るわけじゃないのでご注意ください。マインドフルネスもそうですが、思考を観察できるかどうかがポイントなんで、「この状態が正しい!」みたいな正解は存在しておりません。どうぞよしなに。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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