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マルチタスクで逆に仕事の効率を上げる方法

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 マルチタスクで逆に創造性を上げる方法
一度にいろんなことをやろうとするな!」ってのがいまの心理学じゃ常識なわけです。人間の脳はいちどにひとつのことしかできないため、マルチタスクをすると効率と創造性が下がるんですよね。


とはいえ1日の作業が多い人だと、そうも言ってらんないでしょう。大量のタスクを一気にこなさなきゃいけない状況は結構ありますからね。


ってことで新しく出た論文(1)では、「マルチタスクで逆に創造性を上げる方法」が提案されてておもしろかったです。


作業の切り替え方で創造性は変わるか?
これはコロンビア大学の研究で、4つの実験から構成されております。どの実験も基本的なデザインは同じで、参加者に以下の3パターンでマルチタスクに取り組んでもらったんだそうな。

  1. 持ち時間の半分をひとつめの作業に割り当て、残り半分をふたつめの作業に使う
  2. あらかじめ決めた間隔で、定期的に2つの作業を切り替える(作業1を10分やったら作業2に移るみたいな)
  3. 自分の意志で自由に2つの作業を切り替える

作業の内容は、いずれも創造性を試されるものばかり(レンガの新しい使い方を考えたりとか)。そのうえで、もっとも良いアイデアが出るテクニックを調べたわけですね。


前もってマルチタスクのタイミングを決めておく
で、結論から言うと「グループ2」の圧勝です。前もってタスクを切り替える時間を決めたほうが、はるかにクリエイティブなアイデアが出たんだそうな。


研究者いわく、

グループ2以外のアプローチが問題なのは、知らないうちに考え方が凝り固まってしまう状態に気づけないからだ。ひとつのタスクにずっと取り組むと、いつの間にか発想は限定されていき、自分では「新しい」と思っても、実は陳腐なアイデアしか出なくなってしまう。

その場合、自分は調子がいいと感じるかもしれないが、現実的には何も進んでいない。

とのこと。要するに、

  1. 決まった時間で強引にタスクから意識を切り離す
  2. 一歩引いた視点で見られるようになる
  3. 凝り固まった発想から抜け出せる
  4. よいアイデアが出る!

みたいな流れです。ひとつの作業に集中してると発想が制限されていくのは有名で、「認知の固着」とか呼ばれてたりしますからね。


ニセの「好調」に気をつけるべし
 さらに研究者いわく、

よいアイデアが必要な場合は、意識的に問題へのアプローチを変えるための時間を作るといい。タイマーなどを使い、定期的な間隔でアプローチを切り替えるのだ。

タイマーが終わったら、違うタスクにとりかかろう。(中略)もしかしたら「今日は調子がいい」という気分になって、目の前の作業から離れるのが惜しくなることもあるだろう。

しかし、そんな時は考え直してみよう。その調子のよさはニセモノかもしれないのだ。

ってことで、あらかじめ計画しておいたマルチタスクなら悪くない!って話でした。確かに、自分で発想が袋小路に入ったのに気づかないよりは、無理やりブレイクを作ったほうがいいでしょうな。
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。