自分の能力を最大に活かせる人の性格とは?
能力を最大に発揮する「フロー状態」
当ブログでは、定期的に「フロー状態」 の話をしております。
フローってのは目の前の作業へ完璧にのめり込むことで、いったんこの状態に入ると、自分のポテンシャルを最大に発揮できると考えられております。よくスピリチュアル系の人が「宇宙と一体に!」みたいなことを言いますが、あれもフロー状態を感覚的に表したフレーズなのかなー、とか。
ほかにもフローは「人生の質」にも大事でして、たとえば2010年に日本の学生を対象にした実験(1)だと、フロー体験の回数が多いほど自信があり、幸福度が高く、不安は少なく、ものごとへ戦略的に取り組む傾向があったとか。
人間の体はフローに入りにくいように設計されている
つまり、もし自在にフロー状態に入れれば最強なわけですが、これが意外と難しい作業だったりします。というのも、フローってのはかなりのエネルギーを使うんで、できれば発動しないように脳が設計されているんですよ。
それもそのはずで、いつもフロー状態に入っていたら、必要なときに使えるエネルギーが残らない可能性が大きくなりますから。緊急時に備えてエネルギーを温存しておくために、普段はフローのスイッチを切る方向でヒトの体は進化してきたわけです。
フローに入りやすい人は何が違うのか?
もっとも、世の中には「フローに入りやすい人」も一定数いたりします。生まれか育ちなのかはわかりませんけど、とにかく自分の能力をうまく発揮できる人ってのが存在するんですよね。
ってところで、「フローに入りやすい人の特徴」について調べた実験(2)がおもしろかったんでご紹介。著者はチクセントミハイ博士で、「フロー体験入門」などでおなじみの第一人者です。
研究は2539人の双子を対象にしてまして、まずはアンケートで「フロー状態への入りやすさ」をチェック。そのうえで、性格(ビッグファイブ)や知性とどれぐらい関係があるかを調べたんですね。
フローに入りやすい人の性格とは?
それでまずわかったのが、
- 誠実性が高い人ほどフロー状態に入りやすい
- 神経症傾向な人はフロー状態に入りにくい
- その他の性格はフロー状態とは関係がない
とのこと。つまり、マジメで忍耐力があって感情が安定している人はフローに入りやすいんだ、と。
近年の心理学によれば、「誠実性」 は人生においてもっとも大事なポイント。誠実性が高い人ほどお金持ちで寿命が長く、幸福度も高いんだそうで、「人生の万能能力」などとも呼ばれております。
マジメな性格がフロー状態に向かわせる
研究者いわく、
誠実性がある人たちは、勤勉さやモチベーションの高さといった特徴を備えている。この特性が、フロー状態に入りやすい活動を選ばせるのだろう。
とのこと。フローに入るには「そこそこの難易度」を持った作業に挑む必要がありまして、そのために誠実性のマジメさが役に立つんですな。
いっぽうで神経症傾向だと感情が不安定なので、せっかくのフローが途切れちゃうみたい。もともと神経症傾向な人は人生の満足度が低い傾向があるんで、よくわかる話であります。
頭の良さより性格の良さ
さらに、この研究でわかったのが、
- 知性とフロー状態への入りやすさは関係がない
ってことだったんですね。いくらIQが高かろうが、頭の回転が速かろうが、フローには入りやすくならないみたい。ちょっと意外ではありますね。
以上の話をまとめると、
- フローに入るためには頭の良さより性格の良さが大事!
ってことでしょうね。というと「生まれつきの性格なんて変えられないんじゃない?」みたいな疑問もわくでしょうが、そのへんにつきましては、
などをご参照ください。時間はかかりますが、「誠実性」はトレーニングで伸ばせる性質かと思います。どうぞよしなに。