1日おき断食(ファスティング)が実は無意味って本当?
ファスティングへのご質問をいただきました。
「1日おき断食ダイエットは通常のカロリー制限とほとんど変わらない」という記事を見かけました。1日おきに断食をする方法は普通のカロリー制限と同じ効果しかないというのですが、1日おきの断食は意味がないのでしょうか?
とのこと。この話のネタ元は2017年5月に出た論文(1)で、肥満体の男女100人を対象にしたものですね。
1日おき断食とカロリー制限をくらべた
どんな実験デザインだったかというと、まずは参加者を2つのグループにわけました。
- 1日おき断食グループ:1日目は必要カロリーの25%に制限、次の日は必要カロリーの125%を食べる。このサイクルをくり返す。
- カロリー制限グループ:必要カロリーの75%の食事をずっと続ける。
実験期間は1年で、みんなにどんな変化があるかを調べたんですね。その結果は、
- 1日おき断食グループ:体重が6%減
- カロリー制限グループ:体重が5.3%減
だったんだとか。両グループとも同じぐらい体重が減ってたんで、「1日おき断食って意味なくね?」的な風潮につながったわけですね。
摂取カロリーが同じなら同じように痩せる
が、お気づきの方も多いでしょうけど、この結果は「そりゃそうでしょう」としか言いようがないんですよ。なにせどちらのグループも、トータルの摂取カロリーが同じになるように調整されてるわけですから。
たとえば、参加者の1日に必要なカロリーが2000calだった場合は、
- 1日おき断食グループ:1日めマイナス1500cal + 2日めプラス500cal = マイナス1,000cal
- カロリー制限グループ:1日めマイナス500cal + 2日めマイナス500cal =マイナス1,000cal
って感じ。そもそもプチ断食がダイエットにいいと言われるのは、
- 軽い断食をする
- 食欲が自然に減る
- 摂取カロリーが減る
- 痩せる!
って仮説にもとづいております。ファスティングは魔法のダイエット法じゃないので、摂取カロリーを合わせたら結果も同じになるのが当然と言いますか。
脱落率で1日おき断食に不利な結果が
じゃあ、なんでこんな実験をしたかと言えば、この研究が「1日おき断食でどれだけ痩せられるか?」を調べたものじゃないから。研究チームのおもな目的は、「肥満体の人にとってプチ断食はツラいの?ちゃんと続けられるの?」をチェックすることなんですよね
で、この視点からみると、今回の実験はプチ断食に不利な結果が出てます。というのも、普通のカロリー制限の脱落率が29%だったのに、1日おき断食は38%だったんだとか。これはかなりの割合でして、その意味では「普通にカロリー制限をしたほうがいいんじゃね?」って感想が出るのも当然かと。
過去のデータでは「プチ断食」のほうが楽って結果が多い
ただし、ここで解釈が難しいのが、過去の研究では「プチ断食のほうが食欲が減るから楽」ってデータも多いとこです。たとえば2015年に出たメタ分析で40件のデータをまとめたら、プチ断食はカロリー制限よりも食欲を減らす効果が高いって結論になってたりとか。全体的にみると、プチ断食のほうが有利な結果が多いんですよ。
実際、今回の実験でも、1日おき断食を完遂できた人は普通のカロリー制限よりもよい結果が出てたりします。具体的には15人が断食をやり抜きまして、その場合は9〜22キロの範囲で体重が減ってたそうな。
こういった食い違いが出た理由は不明ですけども、たぶん新しい実験では「BMIが34以上」っていう超肥満体な人だけを対象にしたのが原因かも。このレベルの肥満だと、おそらく脳の暴走が普通より激しいので、プチ断食は逆効果になる可能性があるんじゃないかなー、と。
まとめ
そんなわけで以上の話をまとめると、
- 摂取カロリーが同じなら、ファスティングもカロリー制限も効果は同じ
- 超肥満体の人には、プチ断食の手法は逆効果になる可能性が高い
- 過体重レベルの体型(BMIが25〜30ぐらい)ならプチ断食は有効だと思われる
って感じです。参考になりましたでしょうかー。