乳児にアレルゲンを導入すれば食品アレルギーは防げる!はどこまで本当かを調べた実験の話
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食物アレルギーの恐ろしさはご存じのとおりで、だいたい小児の約5〜10%にみられると言われております 。ピーナッツ、牛乳、貝などの食物に重度のアレルギーが出ちゃう症状で、下手すりゃ命の危険がありますんで注意しておきたいところ。
で、過去数十年にわたって言われてきたのが、「生後1年間の暴露療法で食物アレルギーの発症を減らせるのでは?」って話であります。生後4〜6ヵ月の乳児などに卵やピーナッツをさらすと、アレルギー発現のリスクが低下するだろうって考え方ですな。
というわけで近ごろ出た研究(R)は、「生後3カ月の乳児へ食事アレルゲンを導入したらどうなる?」ってとこを調べてくれております。
これは1,333人の乳児を対象にしたテストで、健康体で母乳のみで育てられた子供だけを選んだとのこと。研究では全体を2つのグループに分けていて、
- 早期導入群:母乳で育てられた後、ランダムな順序でアレルギー誘発性食品(牛乳ヨーグルト、ピーナッツ、固ゆで卵、ゴマ、タラ、小麦)順番に導入された乳児から構成されている
- 対照群:生後6ヵ月まで母乳で育てられ、その後6ヵ月後に親の裁量でアレルギー誘発性食品を摂取させた乳児から構成されている
みたいになってます。でもって、定期的に湿疹や血液中のIgEレベルを測定して様子をチェックしたんだそうな。
それでどんな結論が出たのかと言いますと、
- 全体として、卵アレルギーとピーナッツアレルギーについては早期導入の影響は見られなかった
- ただし、サブグループ分析によると、早期導入群は一つ以上の食物アレルギーを発症するリスクが低く(対照群47%、早期導入群23%)、卵アレルギーの発症リスクも低かった(コントロール群43%、早期導入群16%)
- といっても、ピーナッツアレルギーへの影響は見られず、非白人の乳児にも影響は見られなかった
みたいになってます。この結果だけを見ると、そこまで劇的な効果はないものの試す価値はありそうな感じでしょうか。
ただ、この研究には難点がありまして、
- ちゃんと予定どおりアレルギー食品を導入した被験者が35-45%しかいない
ってあたりで解釈が難しくなってたりはします。決められた手順を守ってなければ、そりゃあ効果も出にくいだろうと思うわけです。
実際のところ、別のデータ(R)だと順守率が96%の場合はハッキリと「ピーナツアレルギーの症状が減った!」って感じになってますんで、まだまだハッキリした効果はよくわからんかなーってとこですかね。
まぁとはいえ幼児にアレルゲンを導入する手法はかなり有効そうではありますんで、お医者さんの指導のもとでお試しいただくのが良いのではないかと。どうぞよしなに。