平凡な日常の記録で毎日の幸福度をアップさせる「タイムカプセル法」とは?
みんなSNSには刺激的な日常を記録したがるもんです。「こんな美味いものを食べた!」とか「こんなプレゼントをもらった!」とか、こういった投稿がやがてキラキラ合戦につながっていく様子はもはやSNSの華ですな。
が、ハーバード・ビジネススクールから「記録するなら平凡なことを書き残そう!」と提案する論文(R)が出てまして、なるほどねーとか思いました。
まずは実験の概要をざっとまとめておくと、
- 135人の大学生を集めて、夏の初めに「タイムカプセル」を作るように指示する(ここにまとめる記録は、「最近友だちとした会話」とか「最近聞いた曲」とか、どんな平凡なものでもいい)
- タイムカプセルに残した記憶について、「後から読みかえしたらどれぐらい楽しいと思いますか?」や「どの記録が有意義なものになると思いますか?」かといったポイントを予測するように指示
- 3カ月後にタイムカプセルを開封して、どの情報をどれぐらい楽しんだかを評価する
みたいな感じです。とにかくいろんな情報を記録してみて、後から読み直した際にどれぐらい幸せを感じられるかをチェックしたわけっすね。
それで何がわかったかと言いますと、
- たいていの人は、珍しい体験を「後から読み返したら楽しいぞ!」と評価する
- しかし実際には、「友人と交わしたなにげない会話」や「自分がふと考えたこと」のような小さなことのほうが後から読んだときの喜びは大きい
みたいな話です。数分もしたら忘れちゃうような極小イベントの方が、実は書き残しておくに値するのではないか?ってことですね。
また、ここでは似たような調査をいくつか行ってるんですが、そこでわかったのは、
- 恋人との「よくある日常」と「記念日の体験」を比べた場合は、みんな「いつもの経験」の記録を読む価値を過小評価していた。一方で、「記念日の体験」から得られる喜びについては、正確に予想していた
- ほとんどの人(73%)は「平凡な会話の記録なんて読まない」と予想したが、実際には半数以上(58%)が後から「平凡な会話を読みたい!」と答えた
といったことです。まぁ平凡な体験の記録を「どうでもいいこと」と考えちゃうのは、よくわかる話っすね。
研究チームいわく、
私たちは一般的に、今日の平凡な記録が将来に価値を持つとは考えない。しかし、今回の研究では、そのような考え方は間違いだ。いまは普通のことでも、将来的には特別なものになるかもしれない。
ってことで、意識して平凡な記録を残してみると、日常の幸福度がアップする可能性は大きそうであります。
数ヶ月前に聞いた音楽のプレイリストや隣人とのジョークを読み直すと、多くの人々は多大な喜びを感じる。現在の瞬間を当たり前と思わず、日常生活のありふれた瞬間を記録して、それを再発見する喜びを未来の自分に与えるのは重要だ。
といっても、日常の些事をなんでもかんでも記録するのは現実的じゃないんで、例えば「4カ月に1回」とか「半年に1回」とかタイミングを明確にした上で、
- 友人と交わしたちょっとしたおもしろ話
- その日に聞いたお気に入りの曲
- 内輪受けのどうでもいい会話
- その日のペットの様子を写した写真
- ちょっとした良いこと(誰かに感謝された、とか)
といった小さなことを書いてみるといいかもしれません。でもって、それから3カ月後ぐらいに記録を読み直して、グフグフと楽しむと思いのほか幸福度がアップするんじゃないでしょうか。ちょっと自分でもやってみるか…‥。