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座りっぱなしは命が縮む!では、そのダメージを「相殺」するにはどれぐらい運動すればいいのか?のメタ分析

 
 

「座りっぱなしは体に悪い!」って話は過去に何度も書いてて、

 

 

などの恐ろしげなデータがちょこちょこ出ております。イギリス政府も対策のガイドラインを出してるぐらいですし、心当たりがある方は気をつけるに越したことはない感じ。

 

 

でもって、ここで問題になるのが「座りすぎがよくないのはわかったけど、それをリカバーするにはどれぐらい運動すりゃいいの?」というポイントであります。エクササイズをすれば座りすぎの害も相殺できるのでは?って考え方は昔からあったものの、実際にどれぐらい体を動かせばいいのかはよくわかんないとこも多かったもので。

 

 

が、近ごろ「座りすぎ問題をリカバーする最低ラインは?」って問題を調べてくれた良い研究(R)が出てましたんで、これはぜひ押さえておきたいところですね。

 

 

これはBJSMで発表されたメタ分析で、先行研究から44,370 人の参加者をふくむ9つのデータをまとめてくれたもの。だいたいの調査では参加者にフィットネストラッカーを着けてもらい、1日の運動量と死亡リスクの関係を調べた内容になっております。

 

 

このようなメタ分析だと、だいたい各研究の違いをすり合わせるのが大変なんだけど、ここでは自己申告データじゃなくて、ウェアラブルから得られたわりと客観的なデータを使ってるのが強みですね。

 

 

でもって、分析の結果がどうだったかと申しますと、

 

  • 1日あたり約30~40分の中~強度の身体活動を行うことで、座りっぱなしのダメージを相殺できる!

 

だったそうです。もちろんそれ以下の運動やスタンディングデスクなどでも意味はあるんだけど、死亡リスクを相殺するには1日あたり約30~40分の運動が必要みたい。

 

 

チームいわく、

 

約30~40分間の中から高強度の身体活動を行っている人は、座り時間の少ない人と比べて、座り時間と死亡リスクの相関が変わらない。

 

とのことで、まさにリスクが相殺されてますね。中から高強度の身体活動ってのがどんなもんかと言いますと、

 

  • サイクリング
  • 早めのウォーキング
  • ガーデニング
  • ジョギング

 

などでして、早めのウォーキングを30分ぐらいなら、ちょっと頑張ればどうにか達成できるレベルじゃないでしょうか(通勤までの道のりを速歩してみるとか)。ちなみに、WHOなんかも「毎週75分から150分の中程度の強度の運動をしようぜ!」と昔から言ってますけど、ここらへんの見解とも整合性がありますね。

 

 

まぁそうは言っても運動習慣がない人が1日30分と言われるとビビっちゃうもんですが、BJSMの編集者さんは「どんな身体活動でも運動としてカウントしていいよ! とにかく座りっぱなしよりはマシだから!」とも申しておられます。つまり、

 

  • エレベーターの代わりに階段を駆け上がったり、
  • 通勤の道のりをダッシュしてみたり、
  • いつもよりちょっと遠目の店へランチに出かけたり、

 

といったように、日々の活動で少しずつ運動量を増やすだけでも、座りすぎのダメージは確実に減るんだよーみたいな話です。「この時間にエクササイズする!」と決めるよりはハードルが下がってよろしいのではないでしょうか。

 

 

ただし、この「座りすぎ」の研究はまだまだ発展途上なとこもありまして、

 

  • すべての年齢、性別、体型の人に同じ基準を当てはめていいかはよくわからない
  • そもそも「座りすぎ」の定義が研究ごとに違うケースも多い

 

って問題点などはまだ残ってますんでそこはご注意ください。「1日あたり約30~40分の中~強度の身体活動」はあくまで一般論としてお使いいただければ幸いです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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