幸福度アップに効くデータいろいろ:学びの幸福効果、旅行の幸福効果、多様の幸福効果
ここんとこ幸福にまつわる研究をまとめて見かけたので、軽くまとめときまーす。
人間は報酬と学習のどちらで幸福になるのか?
「人間に幸福をもたらすものは報酬か?それとも学習か?」って問題を調べたデータ(R)が出ておりました。「どうやら人間はお金じゃそこまで幸せになれないらしい」って話はよく知られてますけど、それじゃあ本当に人間を幸せにしてくれるものはなにか?って話ですね。
これはロンドン大学の調査で、だいたいどんな実験だったかというと、
- 参加者にカーレースに挑んでもらい、自分が勝つと思う車にお金をかけてもらう(報酬額はゲームによって変化する
- 何度か賭けをくり返してもらいつつ、どんな場面で幸福を感じたかをみんなに尋ねる
みたいになってます。カーレースの報酬額はゲーム前に知らされていて、一方でどの車が勝ちやすいかはゲームを繰り返さないとわからないような設定になってたらしい。
で、以下が結論です。
- 報酬額が多くても少なくても、参加者の幸福レベルはそこまで違いがなかった
- 参加者の幸福レベルが上がったのは、「どの車が強いのか」を判別できたときだった
- どの車が強いのかがわからない状況では、多くの人は幸福度が低下した
ってことで、どうやら多くの人は「わかったぞ!」って感覚に大きな幸福を抱いたらしい。これはわかるなぁ。
チームいわく、
驚くべきことに、私たちの幸福は報酬にほとんど依存しない。幸福度は学習に依存するようだ。
とのこと。「幸福度は学習に依存する」ってのはとてもナイスなフレーズなので、覚えておくと良いかもですねー。
旅行は人をちょっとだけ幸せにする
ワシントン州立大学などのチームが、「旅行は人を幸せにする!」ってデータ(R)を出しておりました。
これは500人の台湾人にアンケートを行った調査で、「どれぐらい旅行に出かけてるか?」「自分の生活に満足しているか?」といったポイントを調べたうえで、両者の相関をチェックしたんだそうな。
その結論をざっとまとめると、こんな感じです。
- 旅行の情報に注意を払い、頻繁に旅行計画を立ててる人は、定期的に旅行に行く可能性が高い(これは当たり前っすね)
- 定期的に自宅から少なくとも120km以上は離れた土地を旅行してる人は、ほとんど旅行しない人と比べて約7%幸せ度が高い傾向があった
ってことで、どうも定期的な旅行に行く人は少しだけ幸せかもしれないらしい。私は東京に住んでるので、少なくとも静岡より先の距離まで移動したほうがいいってことでしょうか(もちろん台湾人の距離感覚は日本人と違うかもしれんですが)。
チームいわく、
旅行経験の積み重ねは、人生の満足度に小さいながらも顕著な影響を与えているようだ。ただし、人生の満足度への影響は、仕事、家族生活、友人などがもたらす役割のほうが大きいが。
とのこと。いまは気楽に旅行できる感じじゃなくなっちゃいましたけど、事態がおさまったらまた海外にでも行きたいもんです。それまでは仕事や友人にリソースを注ぐのが良さそうですなー。
「幸せ」には日常生活の多様性が大事
「幸せを感じたいなら日常生活の多様性を増やそう!」みたいな研究(R)が出ておりました。これはニューヨーク大学などの調査で、
- 参加者を3~4ヶ月間GPSで追跡する
- その間に感じた感情をテキストメッセージで報告してもらう
- 日常的な体験とポジティブな感情の相関を調べる
みたいな感じで、日々の行動が幸福度に与える影響を調べたんだそうな。すると、データには明確な傾向が見られまして、
- 1日のうちにいろんな場所に出かけていろんな体験をする人ほど、幸福感、興奮、自信、リラックス、気配りなど、ポジティブな感情をより強く感じていた
- MRIスキャンもしたところ、多様な経験でポジティブな感情が生まれやすい人は、海馬と線条体の脳活動が大きかった
って感じだったそうな。海馬と線条体は、いずれも「新しいもの」や「報酬」の処理に関わってるエリアっすね。
チームいわく、
これらの知見は、環境の豊かさがもたらすメリットと、新鮮で多様な経験とポジティブな感情の間に関連性があることを示している。
とのこと。確かに、毎日おなじような生活をしてたら気分もよどむでしょうからねぇ。とりあえず「なんか毎日目新しいことをやるぞ!」ぐらいに心がけとくといいかもしれません。