万病の原因「体内の炎症」をやわらげる食事は週にどれぐらい食べればいいのか?問題
「最高の体調」では「体内の炎症は病気のもと!」ってポイントを強調しております。体内に炎症が起きちゃうと、どんどん血管や内臓のダメージが増えて、慢性病が起きやすくなっちゃうんですよね。
炎症が起きる理由はいろいろあるんだけど、なかでも効果が大きめなのが”食事” で、お菓子や酒のような体に悪そうなものばかり摂取してたら、そりゃあヤバいわけです。ただし、具体的に「どんな食事をどれだけ食べれば炎症対策になるの?」ってのはまだ未知なとこがありまして、はっきりした数字では語れないところも多かったんですよ。
ってことで新しいデータ(R)では、「体に炎症を起こす食事と起こさない食事」について深堀りしてくれてて、非常に参考になりました。
これは、コロンビア大学などの研究で、ギリシャで行われている「HELIAD」って健康調査に参加した1,059人の高齢者のデータを分析したもの。参加者の年齢は平均73.1歳で、みんなに定期的に食事アンケートを行って、そのデータを認知症の発症と比べたんだそうな。
その際にチームが使ったのが「食事の炎症指数スコア」ってやつです。これは、体内の炎症マーカー(IL-4、IL-6、L-10、TNF-α、CRPなど)と関係がある食品に数値を割り振ったもので、このスコアが高いほど体に炎症を起こしやすいと言えるんですな。
この「食事の炎症指数スコア」には各国でいろんなパターンがあったりしますが、だいたいどこでも「野菜が良くて加工食品が悪い」ってとこは同じです。一例として2019年の調査(R)から、炎症指数スコアが高い食品と低い食品をピックアップするとこんな感じです。
- トマト: -0.78
- りんご、ベリー類:-0.65
- 濃い黄色やオレンジ色の野菜:-0.57
- 鶏肉 -0.45
- ナッツ:−0.44
- コーヒーとお茶:-0.25
- フルーツ:-0.16
- 葉物野菜、アブラナ科の野菜:-0.14
- 高脂肪の乳製品:-0.14
- 低脂肪の乳製品:-0.12
- 魚: -0.08
- 豆類:-0.04
- 赤身肉および内臓肉: 0.02
- 大量の酒:0.30
- 砂糖添加物:0.56
- 加工された肉 0.68
- 精製された穀物:0.72
野菜やベリーが良いのは予想どおりながら、トマトが妙に高いのがおもしろいですね。ここらへんはインデックスの仕方で結果がまったく違ってくるので、いちがいにトマト最強!とは言えないものの、思わずトマトを爆食いしたくなりますな。
さて、この試験では「炎症が多い食事をしてる人としてない人」をこんな感じで分類してます。
- 炎症が少ない食事をしてる人:週に平均してフルーツ20食分、野菜19食分、豆類4食分、コーヒーまたは紅茶11食分を摂取している
- 炎症が多い食事をしてる人:週に平均してフルーツ9食分、野菜10食分、豆類2食分、コーヒーまたは紅茶9食分しか摂取していない
ってことで、炎症が多い少ないで考えると、だいぶフルーツと野菜の摂取に差がありますね。個人的に野菜は週に45食分ぐらいは食べてるはずなんで、そこはちょっと安心と申しますか。
でもって、研究では平均3.05年ほどの追跡調査を行いまして、そのうちに認知症と診断されたのが62人。これを「食事の炎症指数スコア」と比べてみると、
- 食事の炎症指数スコアが1単位増加するごとに、3年間で認知症のリスクが21%増加する(HR 1.21、95%CI 1.03-1.42、P=0.023)
- 炎症性食生活のスコアが低い参加者と比べて、スコアが高かった参加者は、認知症を発症する可能性が3倍高かった(HR 3.01、95% CI 1.24-7.26、P=0.014)
だったそうな。炎症が起きにくい食事をしている人は、その後3年以内に認知症を発症するリスクがガッツリ下がるのではないか、と。これは結構な数値が出ましたねー。
もちろん、この研究は追跡期間がちょっと短かいもんで因果関係が逆の可能性もありますが、追加の解析では「ベースライン時の軽度認知障害の有無によって結果は左右されなかった!」って結果でして、やっぱ食事は大事なんだろうなーってとこですね。まー、あくまで食物の摂取頻度はどうしても誤差が出ますし、炎症マーカーの血液検査をしてるわけでもないのですが、とりあえず「週にフルーツと野菜を20食分は食べるぞ!」ってのを目標にしてみるのはいいかもですね(ちなみに、野菜1食分は120グラムぐらい)。