今週半ばの小ネタ:会話上手になる「43:57の法則」、スマホのマインドフルネス瞑想でストレス撃退、エナジードリンクで睡眠は死ぬのか?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
会話上手になるには「43:57の法則」を守ればいいのでは?説
会話では相手の話を聞くのが大事!ってアドバイスはよく耳にするところですが、いっぽうで相手の話を聞きすぎるのもよくないのは間違いないところです。話ばっか聞いてて自分のことを話さなかったら、向こうに警戒心を抱かせちゃいますからね、
では、聞くと話すのバランスはどれぐらいがいいのか?ってことで、ゴング研究所がおもしろい調査(R)をやってました。これは25,537件のセールスコールを分析したもので、「セールスの成績をマックスにするために、聞くと話すの比率はどれぐらいがベストか?」という疑問について調べてくれております。
非常にシンプルな調査なので、とりあえず結論だけまとめておくと、
- セールスコールで最もコンバージョンが高い(ノルマ120%以上)のは、だいたい全体の43%を話して57%を聞くぐらいの比率だった
- 逆に、最も成績が悪いセールストークは、セールスマンが全体の60%以上を話している場合だった
みたいになります。やっぱり話すより聞く力を増やしたほうが、相手を説得したり、自分の意見に同意させたりするのには役立つってことですね。個人的には、もっと聞く割合が多いほうがいいのかと思ってたんで、ちょっと意外でしたが。
まぁ、これは査読論文ではないし、あくまでもセールス場面での調査なので注意が必要ですが、聞くことが大事なのは間違いないでしょうね。ちなみに、この調査では、
- 女性は男性よりも8%高いノルマ達成率を達成している。
- 平均して、男性の78%がノルマを達成し、女性の86%がノルマを達成しています。
みたいな報告も出てまして、どうも女性のほうがセールストークはうまいのかも。これも女性のほうが他人の話をよく聞くことが多いからかも……ってとこですね。
ストレスにはスマホのマインドフルネス瞑想アプリが効くんじゃない?
その昔、「ヘッドスペース」っていう瞑想アプリを使ってたことがありました。ヘッドスペースは、わりとブームの初期からマインドフルネス瞑想のガイダンスを提供してた会社で、いまや老舗ブランドのひとつと言えましょう。
ただ、ヘッドスペースのガイダンスが実際にどこまで効果的なのかは謎だったんですけど、近ごろ、「ストレスがたまりまくった人の健康サポートに役立つの?」って問題を調べてくれたデータ(R)が出ておりました。マインドフルネス瞑想がストレスに効くのはある程度まで実証されていて、ストレスに対するレジリエンスを促進し、心身の健康を向上させる可能性が指摘されてますが、その効果はアプリでも有効なのか、と。
で、このRCTでは、ペンシルベニア州に住むストレスフルなカスタマーサービス従業員100名(年齢18~60歳、女性67%、男性30%、ノンバイナリーまたはジェンダークィア3%)を集め、
- ヘッドスペースを30日間ほど使って、マインドフルネス瞑想のトレーニングをする
- リチャージという問題解決コントロールプログラム(アプリ)を使う
って感じで2パターンのトレーニングをしてもらったそうな。それと同時に、主観的なストレスのレベルや、炎症にかかわる遺伝子が発現したかどうかを調べたらしい(乾燥血液スポットから解析)。
すると、チームの予想どおり、30日間のマインドフルネス瞑想トレーニングアプリには良い効果が認められまして、
- コントロールアプリと比較して、マインドフルネス瞑想は、炎症性遺伝子発現を減少させた
- 主観的なストレスについては、マインドフルネス瞑想アプリと問題解決アプリの両方で減少が見られた
だったそうです。どちらの方法でも主観的なストレスは減るものの、マインドフルネス瞑想は炎症レベルも下げてくれるかもしれないわけですね。あくまで初歩的な研究ではあるものの、遺伝子発現も変えるってのはちょっと魅力的ですね。
ただ、いまんとこヘッドスペースは日本後に対応してないので、これがどんなプログラムなのかを知りたい方は、創業者のアンディ・プディコムさんが書いた「頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる」か、ネトフリで配信されてる「ヘッドスペースの瞑想ガイド」などをご参照ください。
エナジードリンクで睡眠は死ぬのか?
エナジードリンクが睡眠に悪いのは容易に予想がつきますけど、実際のところ、どれぐらい睡眠の質を下げちゃうのかを調べたデータ(R)が出ておりました。私の周囲でも、睡眠不足による疲れをどうにかしようとしてカフェイン入りのエナジードリンクをがぶ飲みする人がいますが(主に編集者さんに多い)、これを続けてたら、いよいよ眠れなくなってしまうんじゃないかを調べたわけですね。
こちらは、1,353人の青少年参加者(15~16歳)を対象にした横断研究で、
- エナジードリンクの消費量
- 睡眠時間および睡眠潜時(眠りに入るまでの時間)
という2つのポイントをチェック。エナジードリンクの消費量については、「全く飲まない」から「1日に数回飲む」までの範囲で評価しております。
でもって、最後にデータを照らし合わせてみたところ、結果は以下のようになりました。
- エナジードリンクは睡眠に悪く、その消費量と睡眠には用量反応関係があった(要するに、エナジードリンクを飲めば飲むほど睡眠の質は下がる)
- エナジードリンクを摂取しない人に比べ、エナジードリンクを月に1~3回(-19分)、週に1回(-29分)、週に2~3回(-45分)、週に4回以上(-57分)摂取する人は、それぞれ睡眠時間が短くなっていた。
- また、エナジードリンクを週に1回飲む人(+9.9分)、週に2~3回飲む人(+5.8分)、週に4回以上飲む人(+25.4分)では、それぞれ眠りに入るまでの時間が増えていた。
- エナジードリンクを全く飲まない人と比べた場合、エナジードリンクを月に1~3回飲む参加者は1日8時間の睡眠を達成する確率が10%低く、週に1回飲む参加者では24%、週に2~3回と週に4回以上飲む参加者は31%低くなっていた。
予想どおり、やはりエナジードリンクを飲む人は睡眠の質が死んでいるようではあります。まぁこの調査だけだと、言い換えれば、エナジードリンクで睡眠が死ぬのか、それとも睡眠が死んでるからエナジードリンクを飲むのかは謎ですけど、個人的には、その両方が当てはまるんだろうなーとか推測しております。