【質問】めちゃくちゃ失敗に打たれ弱いのですが、どうにかなりませんか?
こんなご質問をいただきました。
30代の男です。とにかく打たれ弱いです!失敗をくよくよしてもしょうがないことはわかっていますが、なかなか「ベストを尽くしたからいいや」と思えません。なにかやるべきことはないでしょうか?
とのことで、「失敗は成功の種!ベストを尽くせば問題ない!」とはよく言うものの、なかなか失敗を糧にできなくて困っちゃうんだ、と。まぁ誰でも失敗は嫌なもんですけど、そこからすぐ立ち直れる人と、あとまでひきずってしまう人がいるのは確かですもんね。事実、失敗をひきずってしまう人は、新しいことに挑戦することを避け、消極的になるって報告(R)も多いので、どうにかしておきたいところです。
では、失敗に弱い人はどうすりゃいいのか? 時間が傷を癒してくれるまで待つしかないのか? ってところですが、個人的には、以下のような手法がいいんじゃないかと思っております。というのも、私もダラダラと失敗をひきずりがちな人間だったんですけど、だいたい以下のポイントを心がけてたら、少なくとも、失敗の後で「もう何もする気が起きない!」みたいな状態にハマり続けることはなくなりましたんで。
1. 偉人の過去の失敗について考える
まずはじめは、「自分と同じような失敗をした人について考える」ってやり方です。なんだか趣味が悪い感じもしますが、やっぱ他人様の失敗ってのは、自分の失敗よりも客観的にながめられるんで、そのぶんだけ脅威が薄れた感じになるんですよ。
一例としては、コロンビア大学などのチームが、学生たちに「アインシュタイン博士やキュリー夫人が実験に失敗しながらも粘り強く研究を続けたよ!」みたいなエピソードを読ませた実験(R)がありまして、有名な科学者の失敗談に触れたグループは、科学者の成功例だけを学んだグループよりも、自分の失敗をうまく処理するモチベーションがあがり、有意に成績もアップしたんだそうな。
なので、誰か自分が尊敬できる人の失敗を学んでみるのは、失敗に強くなるための技法として非常にアリではないかと。
2. 自分の失敗履歴書を作る
「失敗履歴書」ってのは、自分の人生でうまくいかなかったことを書き留めたリストのことで、2010年の『ネイチャー』誌の記事でも推奨されてたりします(R)。自分の失敗を書き連ねたら落ち込んでしまいそうな気もしますけど、実際には話は逆でして、
- 自分の失敗をいくつも紙に書き出してみる
- 紙に書き出すおかげで、頭のなかで失敗がグルグルせずにすむ
- 失敗から距離をおける
- 失敗に強くなる!
みたいなメカニズムが働くんですよ。失敗が頭の中でグルグルしているとネガティブ感情がブーストしちゃうけど、文章にすることで問題を論理的にとらえることができるようになるんすよね。これまた良い手法かと思います。
3.成功の追求をやめる
失敗が心にダメージをもたらす大きな原因のひとつは、「自分のスキルアップ」とか「自己学習」じゃなくて、「成功」そのものを目標にするところです。成功を追い求めるのは誰でもやることですけど、そこばっか目指してると、失敗から学ぶモチベーションが失せちゃうんすよ。
失敗が改善のために欠かせないのは間違いない話で、たとえば研究の助成金を申請した人たちのキャリアを調べた研究(R)では、キャリアの初期に失敗した人たちのほうが、初期に成功を収めた人たちよりも長期的には優れた成績を収めていたんだそうな。
ってことで、成功の追求をやめるにあたっては、
- 上記で作った「失敗履歴書」をチェックする
- それぞれの失敗から得た「教訓」を書き加える
みたいな作業を行うのがおすすめです。たとえば、「望んだ仕事に就けなかった」の横に、「おかげで自分が自分の業績を誇るのが苦手なことを知った」と書いておくわけです。この作業をくり返してると、「失敗の中にも意外と進歩があるんだなー」ってのを脳が学習していきますんで。
4.価値ベースで行動
ラストは、「最高の体調」でも推奨した「価値ベースの行動」です。「金がほしい!」とか「認められたい!」みたいな感じではなく、「成長したい!」とか「貢献したい!」みたいに、自分が抱く価値ベースで行動しようぜ!って話ですね。
当たり前の話ですが、「金がほしい!」とか「認められたい!」で行動すると、いざ金が入らなかったり他人から認められなかったりした瞬間に挫折が確定しちゃうますからねぇ。いっぽうで、成長や貢献には明確な終わりがないんで、そのぶんだけ明確な失敗もなくなるわけです。
価値ベースの行動については「最高の体調」に書きましたんで、こちらを参考にしていただくのもいいですし、「ハーバード式:自分の価値観を掘り下げるための36問」「もっとも手軽な「価値観」の探求エクササイズ「アンフィニッシュド・センテンス」でGO!」などを参考にしていただくのも良いかと思います。
いずれにしても、失敗に弱い状態を放置しといて良いことはあんまないので、意図的にトレーニングしてみるのはアリでしょうね。