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今週半ばの小ネタ:目標の達成率をガッツリ高める『目標に矛盾する行動』とは? TikTok、メンタルによろしくない? 頭が良い人ほど他人を信頼する?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

 

 

 貯金をしたけりゃ「浪費をする日」を決めておこうぞ

目標を達成したいときは、前もって『目標に矛盾する行動』を決めようぜ!」ってデータ(R)が出ておりました。どういうことかと言うと、

 

  • お金を貯めたいときは、「浪費をする日」を決めておく
  • 体重を減らしたいときは、「贅沢をする日」を決めておく

 

 みたいに、前もって、自分の目標とは食い違う行動をやる日を決めておこうって話です。

 

 

これはポルトガル・カトリック大学の研究で、複数の実験を行ったうえで、『目標に矛盾する行動』の効果をチェックしてくれてます。ざっと概要だけまとめてみると、以下のような感じ。

 

  • 59人の学生にダイエット中のロールプレイを指示。そのうち半数は毎日1500キロカロリーに制限する伝統的なダイエット、残りの半数は「間欠的ダイエット」で、週に6日は1300キロカロリーに制限しなければならないが、7日目には2700キロカロリーを摂取できるように設定したところ、1週間に1回ドカ食いできるグループは、より自制心が残っていると感じ、その後の誘惑を避けるための戦略をより多く思いつくことができた

 

  • 36人の参加者に2週間のダイエットを行ってもらったところ、週に1回だけドカ食いを設定したグループは、ダイエット期間中、自制心を強く感じ、「ダイエットが楽しい」と感じられ、モチベーションをより持続させることができた。

 

  • 特定の目標(貯金とか運動とか)を持っている64人を対象に行った調査では、そのうち半分に「目標とは矛盾する行動を定期的に持つといいよー」というアドバイスを指示。すると、『目標に矛盾する行動』を実施した人は、よりモチベーションが上がり、計画を遂行しやすくなった。

 

ってことで、全体的に「定期的(週1か2週間に1回ぐらい)は『目標に矛盾する行動』を持つといいね!」って傾向が見て取れますね。これをお読みの方の中には、「漏れのない計画を作るのがよいのだ!」という考えをお持ちの方もいるでしょうが、やっぱ目標は柔軟さをもたせたほうがよさそうっすねー。

 

 

 

TikTok、メンタルによろしくない説

その昔「メンタルに悪いSNSランキングのトップ5」なんて話がありましたが、これはもう5年前の話。新しいデータ(R)では、「TikTokもメンタルによろしくないかもねー」みたいな報告が出ていて、興味深かったです。

 

 

これは778人の女子大生をサンプルにしたテストで、参加者の年齢は18歳から29歳ぐらい。みんなにTikTokの利用と自分の身体への満足度などを尋ねて、すべてのデータを分析したんだそうな。

 

 

その結果をざっくりまとめると、

 

  • TikTokを見る人ほどボディイメージが低下している(つまり、自分の体に不満を抱いていることが多い)
  • TikTokを見る人ほど、自分よりもルックスが上の人と自分の見た目を比べている

 

だったそうです。簡単に言えば、TikTokを見ると「この人は自分よりもルックスが良い!キー!」って状態にハマりやすく、そのせいで自分の肉体への自信を失ってしまうってことです。このブログでも過去に書いたとおり、ボディイメージってのはメンタルの安定を左右する大きなポイントですから、この結果はなかなか切ないんですよね。

 

 

まー、今回のテストで示されたような、「SNSは比較を生み出すから良くないよねー」ってのはフェイスブック全盛期から言われてることだし、それがいまはTikTokに移っているだけってことなんでしょう。が、過去にも書いたとおり、だからといってSNSが悪いわけでもないので、あくまで「比較の罠」に注意して使いましょうねーってとこですね。

 

 

 

頭が良い人ほど他人を信頼する!

頭が良い人ほど他人を信頼する!」なんてデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはオックスフォード大学が「一般社会調査」というデータセットを分析したものでして、大量のアメリカ人の意識や特性について調べた内容になってます。ここで調べたのは参加者のIQと信頼度で、

 

  • 「一般的に言って、ほとんどの人は信頼できると思えるか? それとも人との付き合いには注意が必要だと思うか?」

 

みたいな質問をすることで、みんなの信頼レベルをチェックしてます。要するに、親しい友人や家族に対する信頼ではなく、それ以外の未知の他人に対する信頼のレベルを調べてるわけですね。

 

 

なんで「信頼」をテーマにしたのかと言いますと、これまでの研究で、信頼感が強い人には以下の傾向があることがわかっているからです。

 

  • 起業して成功する可能性が高い

  • ボランティア活動をする傾向が強い

  • 自分の人生をより幸せにする

  • 身体の調子が良い人が多い

 

他人を信頼できる人ほどメンタルが安定し、そのおかげで人生がうまくいくケースが多いわけですね。ついでに、信頼が高い人が集まる社会は、

 

  • 公的機関がより効率よく働いている

  • ソーシャルキャピタルのレベルも高い

  • 経済成長のレベルも大きい

 

なんて話もありまして、わりと良いことだらけなんですよ。まぁみんなが信頼しあってるほうが良いのは間違いないですもんね。

 

 

でもって、上述のデータを分析した結果について、研究チームいわく、

 

配偶者の有無、教育、収入などの要素を調整した後でも、「知能」は、他人への信頼と相関することが示された。この発見は、他の研究者が主張してきたこと、すなわち、他人の性格をうまくジャッジすることは、自然淘汰によって進化した人間の知能の明確な一部であることを支持するものだ。

 

とのこと。要するに、知性が高い人ほど他人を信頼するケースが多く、これは「頭がよい人は他人の性格を判断するのがうまい」って特性があるからではないかって話です。もちろん、だからといって「他人を信頼すれば頭が良くなるかも!」みたいな話じゃないんですけど、「信頼」ってのは、知性の指標になりそうっすね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。