SNSは本当に役に立つのか?問題の現時点で一番まとまった答えとか
「SNSは善か悪か?」って問題は昔からあって、いまも議論が続いてるとこであります。「SNSは悪い!メンタルを悪化させる!」って報告が多いいっぽうで、「意外とメリットもありますけどねぇ」みたいな報告もありまして、善とも悪とも決められない感じなんですよ。
じゃあ、これらのデータを全体的に見たら何が言えるのか?ってことで、コーネル大学などの先生が良い感じの系統的レビュー(R)を出してくれておりました。
これは11歳から20歳までの若者を対象とした19の研究を検討したもので、SNSと幸福の問題を4つの主要なテーマにわけて、ツイッターやらTikTokやらがメンタルにどんな影響を与えるのかを確認してくれてます。著者チームが分類したテーマごとに、そのポイントをチェックしてみましょうー。
テーマ1:つながり
ソーシャルメディアが若者の仲間や家族との関係をどのようにサポートしたり、妨げたりするのかを示したテーマ。
- このレビューでは、7つの論文が「ソーシャルメディアは社会的なサポートや安心感の改善に役立った!」と報告している。「ソーシャルメディアが友人との親密な関係を作るのに役立った!」や「自分はシャイだがソーシャルメディアで簡単に友達を作ることができた!」といった報告はとても多い。
- 一方で13の論文では、ソーシャルメディアが他者とのつながりを損なうとも報告している。ソーシャルメディアでイジメ、脅し、批判、否定、コミュニケーションの齟齬が起こり、拒絶や仲間外れにされたと感じた若者の報告例も多い。また、そのせいで拒絶の不安や孤独に陥ったりするケースもあった。
テーマ2:アイデンティティ
ソーシャルメディアがアイデンティティの確立に役立つかを示したテーマ。
- 多くの論文で、「ソーシャルメディアは自分の殻を破り、本当の自分を表現するのに役立った!」と報告されている。また、ソーシャルメディアで得たフィードバックが自信につながり、アイデンティティの変化を楽しめたとする報告も多い。
- ただし、8つの論文では、ソーシャルメディアがアイデンティティの不自然な表現につながることを指摘している。具体的には、写真やプロフィールの編集によるアイデンティティの偽造、自撮り写真による自意識の悪化などが指摘されている。
テーマ3:学習
ソーシャルメディアの利用が教育に役立つのかを表すテーマ。
- 多くの論文では、ソーシャルメディアが若者の視野を広げ、新しいアイデアやトピックに触れるのに役立つと指摘。「Black Lives Matter」のように、政治的・社会的な動きに触れることがたことを具体的に挙げるケースが多かった。
- 一方で、5つの論文では、ソーシャルメディアが教育のジャマになったと報告している。スマホの通知やソーシャルメディアをチェックしなければならないプレッシャーにより勉強が進まないとの報告もめちゃくちゃ多い。ソーシャルメディアの影響で夜遅くまで起きていて、次の日に学校に行くのが困難になったという報告もあった。
テーマ4:感情
ソーシャルメディアが若者の感情的な経験に与える影響を調べたテーマ。
- 11の論文では、ソーシャルメディアが若者の感情にプラスの影響を与えたと報告。イライラ、怒り、退屈などのネガティブな気分を和らげるのに役立ったという報告も少なくない。一部の若者は、ソーシャルメディアにログインすることをストレス管理の一種に使っている。
- しかし、今回の調査対象となったほぼすべての論文で、参加者はソーシャルメディアが悩みやプレッシャーの原因になっていると述べている。多くの若者は仲間からの評価を気にし、画像に写っている自分の姿を恥ずかしいと感じることが大方。ソーシャルメディアへの依存を心配する若者も多かった。
ってことで、どのテーマにおいても「SNSにはメリットとデメリットが同じぐらいあるよねー」って結論でして、やっぱ使い方次第として言いようがない感じっすね。研究チームいわく、
大人は常に、最新のテクノロジーが子どもにどのような害を及ぼすかを懸念してきた。ソーシャルメディアでも事態は変わらず、確かにSNSには潜在的なリスクや有害性がたくさんある。
しかし、潜在的なメリットがあるのも事実であり、重要なのはリスクを最小限に抑えながら、これらのメリットを最大限に享受できるようにすることだ。
とのことで、実に平凡ながら「それしかないですよねー」って結論ですね。個人的には、ここで挙げられた4つのテーマは「別にSNSで補完しなくてもいいや……」ってものばっかなので、今後もSNSは告知用にしか使わないでしょうが。