筋トレをどれぐらい休んだら筋肉は激減しちゃうのか?を考えてみる話
こないだ、「筋トレをどれぐらい休んだら筋力はヤバいのか?」って話を書きました。超ざっくり言うと、「筋トレを1ヶ月休むと筋肉のパフォーマンスが下がっちゃうかなぁ……」ぐらいの結論でして、肩を痛めて筋トレを休んでいる私としては、まことに勇気づけられる内容だったわけです。
ただ、ここで問題になるのが、「筋肉量が減っちゃうのって、筋トレを休んでどれぐらいからなんだろう」ってところです。前回のデータは、あくまで筋肉のパフォーマンスに特化した内容だったので、筋肉量の変化についてはよくわからないんですよね。
残念ながら、現時点では「どれぐらい筋トレを休んだら、どれぐらい筋肉は減るのか?」を調べたメタ分析はなく、この問題については、個別の研究を見ながらなんとなく推測するしかないのが現状だったりします。そこで今回は、筋トレの中止と筋肉量の変化を、なんとなく推測してみようかと思います。
まず参考になるのはオハイオ大学などの調査(R)で、ここでは6人の女性に20週間ほど下半身の筋トレをしてもらい、その後で30~32週間ほど筋トレを休んでもらってから、さらに6週間の再トレーニングを行ったらしい。そして、筋トレを再開する直前に計測を行ったところ、みんなの推定筋肉量、太もものサイズなどは特に変化しなかったとのこと。32週間でも意外と変化しないもんなんですかねぇ(この研究は筋肉量の測り方が雑いので、ちょっと信頼度が下がるんですが)。
さらに、スウェーデン・スポーツ・健康科学大学などの研究(R)では、20代半ばの男性9名、女性10名に太ももを鍛えるトレーニングを10週間ほど指示し、その後で20週間ほど完全に筋トレを休んでもらったそうな。すると、筋トレを休んだあと、筋肉の厚みトレーニング開始前のレベルに向かって徐々に減少ったものの、筋線維横断面積は特に変わらなかったみたい。
もうひとつ、アグデル大学などの研究(R)では、16人の男女に5日間のハードな筋トレをしてもらい、その間に10日間の休養を取ってもらったとのこと。すると、トレーニング後でも筋線維横断面積は増加し続けたものの、太ももの各筋肉のサイズはわずかに減少したらしい(ただし、有意な変化が出ているわけじゃない)。
といった感じで、いずれも小規模な試験ですし、決してデザインが良いとも言えない実験ばかりなんですけど、すべてをもとに雑な結論を引き出すならば、
- 全体として、全身の筋肉量や厚みは、トレーニングを止めてからすぐ少しずつ減っていくっぽい。
- 筋肉のサイズはは、トレーニングを中止してから20日以内には減少をはじめ(減らない人もいるっぽいですが)、トレーニング中止から7~20週間後にはベースラインまで減少するっぽい。
- ただし、筋線維横断面積の増加については、トレーニングを中止した後も、かなりのレベルで維持されるっぽい。
ぐらいの感じになるでしょうか。もちろん、上に並べた実験を見ても、トレーニングを止めたあとに起きる水分の減少とか結合組織の縮小はわからないので、実際のところ、どれぐらい筋肉が減ってしまうのかは判断しづらいところです。
まぁ、いったんトレーニングを中止すると、真っ先に筋グリコーゲンや血流が減ってしまうので、1週間ぐらいでも「うわ!筋肉がめっちゃ減ってる!」って気分になってしまうのは無理からぬところでしょう。ただ、筋線維横断面積はキープされているので、個人的には、「トレーニングを中止してからしばらく過ぎても筋肉はそんなに減らないのかもなー」って気がしますが。
また、基本的には、筋力が下がっていれば、筋肉量も減っているはずだと考えられるんで、前回のメタ分析も参考にはなるはず。つまり、こちらも超ざっくりした推測になっちゃいますが、
- 筋トレを止めてから1ヶ月ぐらいまで、おそらくある程度まで筋肉の量はキープできるはず。
- しかし、そこからさらに休み続けると、筋肉量の低下はハイスピードになってしまうから注意。
ぐらいのことは言えるんじゃないかと。もちろん、筋力の低下は筋肉量だけに依存しないので、例外はいくらでも考えられるんですけどね。
ってことで、ここらへんの話をふまえたうえで、いま2週間ぐらい筋トレを止めている私としては、「まだ肩が痛いからあと2週間は安静にしておくかな……」って結論にいたりました。ケガで筋トレがストップしているような方は、とりあえず1ヶ月を基準にしてみるといいかもしれません。