今週末の小ネタ:日本人の98%がビタミンD不足、地中海食のグリーン版で頭が良くなる、運動で子供の学力がアップ
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
日本人の98%がビタミンD不足!という衝撃の報告
このブログで最頻出のサプリといえばビタミンD。それぐらい個人的に重要視しているビタミンですが、新たに東京慈恵会医科大学などの先生方が試験(R)を行ってくれまして、
- 日本人の98%がビタミンD不足!
- ビタミンDサプリメントで癌の死亡率が12%下がるかも!
みたいな結論になっていて、あらためて「ビタミンDすご!」って気分になりました。
これは、最新の検査法で5,518人の日本人を調べたもので、みんなの血中のビタミンD濃度を調べたんだそうな。その結果、健康的な日本人でも、98%がビタミンDの基準値を満たしていなかったらしく、特に食事から摂取できるビタミンD2の量が少なかったらしい。98%ってのはかなり衝撃的な結論っすね。
で、ここでは10万人のデータを使ったメタ分析も行ってまして、以下のような結論を出してます。
- ビタミンDのサプリを飲んでいる人は、どんなタイプの癌でも、死亡率が12%減った。
- 特に高齢者ほどビタミンDのサプリで癌による死亡率が減りやすい。
- この効果は、毎日ちゃんとサプリを飲まないと得られないっぽい。
もちろん、この研究だけだと、ビタミンDサプリで癌死をガッツリ予防できるとは言えないんだけど、このデータを見ると、やっぱサプリを飲むかなーって気になりますね。研究チームは、「ビタミンDのサプリは安くてどこでも手に入るから、1日2,000IUぐらい飲み続けるのもいいかも?」ぐらいに指摘しておられます。これは大事だ……。
運動で子供の学力がアップするぞ!というメタ分析
「子供がスポーツをすると成績が上がるのでは?」ってメタ分析(R)が出ておりました。こちらは運動と学校の成績に関する過去の研究から19件をピックアップしたもので、
- 参加者が6~14歳のデータだけを使用
- 参加者の合計は6,788人
- アジアの研究は台湾と中国のみで、日本人のデータはなし
といった内訳になります。そのうえで、日ごろのエクササイズが学力に与える影響をチェックしたら、結果はこんな感じになりました。
- 「運動で子供の学力が上がるよー」と結論づけた研究は、9件中2件だった。ただし、その他5件は、条件により結果が変わった。
- 「運動で子供の頭が良くなるよー」と結論づけた研究は、14件中6件だった。ただし、その他4件は、条件により結果が変わった。
- もとの成績が悪い子供ほど、運動によるメリットが大きいかもしれない。
- 研究のなかには「負荷が強い運動ほど頭に良い」とするものもあったが、「そこそこの負荷の運動でも頭が良くなる」というものもあって、ここらへんはよくわからない。
ってことで、「運動で子供の成績が上がる!」と言い切るには、やや心もとない結果ではあるんですが、研究チームは以下のように言っておられます。
子どもたちの身体活動と学業成績との関連は、主にポジティブな結果を示すが、ときに有意でないケースも見かけられた。
この分析で重要なのは、少なくとも運動で学力が下がることはなく、むしろ改善させる可能性がある点だ。
運動による学力アップの効果は、強度が強い運動のほうが高い、1回あたりの運動は30~60分ぐらいがベストである可能性がある。ただし、あらゆるスポーツは、学力にプラスの効果をもたらすだろう。
ってことなんで、運動の負荷、時間、種類にはこだわらず、とにかくなんでもいいから体を動かしておけば、子供の成績が上がる可能性は高いと言えましょう。
地中海食のグリーン版で頭が良くなる?
このブログでは地中海式の食事法をよく取り上げてまして、複数の研究で、かなり健康効果が高い食事法として知られております。
で、新しいデータ(R)もまた地中海食に関する内容で、まず結論から申し上げますと、
- 地中海食の「グリーンバージョン」で、脳の機能がアップするよ!
みたいになります。地中海食の「グリーンバージョン」については、過去にも「さらに体に良い地中海食の改良版」として取り上げたことがありましたが、簡単におさらいしておきましょう。
- おなじみの地中海食は、全粒穀物、果物、野菜、豆類、健康的な脂肪をたっぷり摂取するのがポイント。
- 地中海食の「グリーンバージョン」では、さらにレッドミート(牛肉や豚肉)と加工肉を完全に避け、さらに以下の食材を毎日食べる。
- クルミ28g
- 緑茶3~4杯
- マンカイのシェイク1杯(マンカイは水草の一種で、高タンパクで、ビタミンとミネラルが豊富で、肉の代用品として注目されている)
実験では、100人以上の肥満者を集め、上記のような食事を続けてもらったんだそうな。
すると、18ヶ月後には、みんな体重が1%減少し、脳年齢が9ヶ月近くの若返りに成功。肝脂肪と肝酵素も大きく減少したんだそうな。
研究チームいわく、
私たちが行った研究は、加工食品、甘いもの、飲料の摂取を減らすことにより、脳の健康を維持できる事実をあらためて強調している。
また、体重が1%減少するだけでも、脳の健康に影響を与え、脳年齢を9ヶ月減少させるのに十分であることもわかった。これは勇気づけられる結果だ。
とのことで、いかに健康的なライフスタイルが脳の働きに欠かせないのかってところが強調されておりました。
このチームは、どちらかというと「ポリフェノールが多い食品を食べる」とか「レッドミートや加工肉をほとんど食べない」といった改善よりも、「お菓子や飲料を含む加工食品全体の摂取量を減らす」ほうが重要だと考えているようで、ここらへんは私も賛成するポイントですね。
ちなみに、近年は地中海食の「グリーンバージョン」に関する研究が増えてまして、2022年に行われた別のデータ(R)でも、
- グリーンバージョンは、伝統的な地中海食より2倍のスピードで脂肪が減るかもよ!
- 「悪玉」コレステロール、血圧、インスリン抵抗性、炎症マーカーなどを改善する効果も、グリーンバージョンのほうが従来の地中海食よりも優秀だよ!
といった結論が出ております。個人的にも、最近はどんどん肉の消費を減らしてまして、グリーンバージョンよりの食事に近づいてますねぇ。