ランニングするより空気イスやプランクのほうが血圧の改善に効くぞ!というメタ分析の話
血圧が高いとヤバい!ってのは当たり前で、この状態が続くと、血管がいつもパンパンの状態になっちゃって、ストレスを与えられ続けた結果、脳から出血が起きたり、脳の血管が詰まったり、動脈がガチガチになったり、心臓が壊れたりと、死につながる問題が激増しちゃうんですよね。
で、この問題を防ぐのに一番いいと言われてきたのが、ご存じ有酸素運動です。だいたいどの国の政府も、「定期的にランニングやサイクリングで高血圧を防ごう!」と言ってるはず。有酸素運動をすれば血管はしなやかに保てるし、血圧が改善するのも当然ですね。
ところが、近ごろ、もうひとつ別の説(R)が出てきまして、まずは結論から申し上げますと、
- 血圧を下げるためには、有酸素運動よりも、アイソメトリック運動がベストなのでは?
みたいになります。アイソメトリック運動ってのは、身体を動かさずに同じ姿勢をキープし続ける運動のことで、ウォールシットやプランクなどが定番ですね。一般には、体幹を鍛えるために使われるトレーニングですけど、こいつが有酸素運動よりも効果的ってのは、ちょっと驚きですな。
これはレスター大学などの研究で、過去に行われた運動の研究から270件をピックアップし、15,827人分のデータをメタ分析した内容になってます。研究チームいわく、
血圧をコントロールするための運動に関する既存のアドバイス(ランニングやサイクリングなどの有酸素運動)は効果的ではあるものの、古い研究にもとづいており、HIITやアイソメトリック運動といった、ここ数年で人気が出始めた運動法は除外されている。
とのこと。「血圧には有酸素運動だ!」って説は、かなり古いデータをベースにしているので、最近の研究を反映していないよーってことですね。
ということで、研究チームは、従来の有酸素運動に加えて、以下のトレーニングの効果をチェックしております。
- HIIT
- アイソメトリック運動
- 筋トレ
- アイソメトリック運動+筋トレ
また、この研究では、健康な安静時の血圧を85以上130未満に設定し、高血圧の予備軍を130/85mmHgから139/89mmHg、高血圧を140/90mmHG以上と定義しております。
でもって、分析の結果がどうだったかと言いますと、こんな感じになります。
- 有酸素運動トレーニングをした後の血圧低下は4.49/2.53mmHg
- 筋トレをした後の血圧低下は4.55/3.04mmHg
- アイソメトリック運動+筋トレをした後の血圧低下は6.04/2.54mmHg
- HIITをした後の血圧低下は4.08/2.50mmHg
- アイソメトリック運動をした後の血圧低下は8.24/4mmHg
ってことで、明らかにアイソメトリック運動の効果が飛び抜けてますね。さらに詳しくデータを見てみると、
- 最高血圧の低下には、ウォール・スクワット(いわゆる空気イス)が最も効果的だった。
- 最低血圧の低下にはランニング(有酸素運動)が最も効果的だったが、全体として見ると、やはりアイソメトリック運動が、最高と最低の血圧を低下させるのに最も適していた。
「実は血圧にはウォール・スクワットが最強!」ってのは、ちょっと新しい知見だったので「へー」って感じですね。いまのところ、アイソメトリック運動が他のトレーニングよりも血圧に効くのかは謎なんですが、ランニングよりはウォール・スクワットのほうが楽な人は多いでしょうな。
ちなみに、この研究をもとにウォール・スクワットをやってみたい方は、以下のガイドラインっを参考にしてください。
- ウォール・スクワットをする際は、壁に背中をつけて立ち、足は肩幅に開いて壁から0.5メートルほど前に出して、そのままヒザを90度に曲げて空気イスの姿勢になる。
- 背中を壁につけたまま腹筋を引き締め、自然な呼吸をしながら、尻が膝より低くならないように、無理のない姿勢をキープする。
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以上のトレーニングを1回2分間、1~4分間の休息を挟みつつ4セット行う
って感じで、以上のメニューを週に3回ほどやっておくといいでしょう。1セット2分ってのは、慣れないうちは面倒かもですが、漫画でも読みながらやってれば割りと一瞬で過ぎますんで、血圧に問題がある方はお試しください。