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良いアイデアがドカドカ浮かぶ「赤い糸思考」とはなんぞや?



赤い糸思考(Red Thread Thinking)」って本を読みました。著者のデブラ・ケイさんはブランド戦略が専門のコンサルで、アメリカン・エキスプレス、マクドナルド、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどに、「いかにイノベーションを起こすか?」を伝えてきた人とのこと。もちろん、本書の内容も、「いかに創造性を高めるか?」に特化しております。

 

 

著者は学者ではないんですが、本書には神経科学、心理学、行動学の最先端の研究が満載でして、細部にまで気を配っている感じがナイス。あくまでデータをもとに良いアイデアの出し方を教えてくれる良い本でした。

 

 

で、本書のタイトルである「赤い糸」ってのは、おなじみの「運命の赤い糸」の言い伝えを、イノベーションの創造になぞらえたものです。「良いアイデアは既存の知識の予期せぬつながりから生まれる」ってのは常識ですが、これを赤い糸の比喩で表現したわけっすね。

 

 

ということで、本書で参考になったところをピックアップしてみましょうー。

 

 

 

創造性に欠かせない4つの要素

  • 人間なら誰でも創造的な能力を持っているが、成長するにつれて他人の目を気にしすぎるようになり、やがて子供の頃よりも創造性が低下しやすい。しかし、脳は筋肉と同じような器官なので、特定の活動やエクササイズによって創造性を強化できる。

 

 

  • 2008年の研究によれば、創造性を発揮するには、4つの核となる要素を満たす必要があることがわかった。その4つの要素とは、「他人の新たな発想に注目すること」「挑戦的な行為に取り組むこと」「知識の幅を広げること」「刺激的な人々や場所と交流すること」である。

    この研究では、これら4つの要素に焦点を当てた参加者は、8ヵ月後に新しいアイデアの創出率が55%向上。コストの削減もうまくなり、350万ドルを節約できた。この研究は、地位やスキルに関係なく、チャンスを与えられれば誰でも創造的になれる可能性を示している。

 

 

 

ブレインストーミングは一人ですべし

  • アイデアを出すために集団でブレインストーミングを行う企業は多いが、これで創造性が高まるケースは少ない。大人数でディスカッションをすると、誰か偉い人の意見に従わなければならなかったり、他人のアイデアに合わせなければならなかったりするため、集団の中では、ユニークなアイデアの数は激減することがわかっている。その一方で、一人で考えたほうがより良いアイデアを生み出せることが多いとの報告も多い。

 

 

  • それでもグループのブレインストーミングに参加しなければならないときは、全員で「あえて奇抜なアイデアを投げかけてみよう!」とうながすのがよい。これは「ランダム・インプット」と呼ばれる技法で、議論しているトピックとはまったく関係のない言葉やアイデアを口を放り込むことで、創造性が刺激される確率が高まる。

 

 

 

データは必ず自分で読む

  • 新たなアイデアを出すために必要な情報は、すでに手元に存在していることが多い。しかし、たいていの場合、身の回りにある情報は当たり前すぎて、新たな視点で見ることができなくなってしまう。

 

 

  • この問題を防ぐには、他人のレポートや結論を読むのではなく、自分でデータを見るのが第一。それと同時に、まわりの人々が抱いている一般的な思い込みを疑ってみるのもよい。その際には、「もしこの製品や資産を本来の目的どおり使えなくなったとしたら、他に何ができるだろうか?」と自問するのが吉。

 

 

  • 例えば、ゲータレードの前社長であるサラ・ロブ・オヘイガンは、産休中にターゲット市場に関する膨大なデータに目を通し、誰が実際にスポーツドリンクを購入しているのかを調べた。すると、これまでマーケティング部門は「ゲータレードのターゲットは18歳から45歳の男性」と言っていたのに、実際にブランドを支えていたのは、高校生アスリート、マラソン選手、その他の週末スポーツ愛好家だった。

    これに気づいた社長は、スポーツ愛好家に向けてゲータレードをブランディングし直し、以前よりもはるかに幅広い市場シェアを獲得できた。

 

 

 

シンプル!シンプル!シンプル!

  • イノベーションを起こす際は、シンプルさを議論の中心に据えねばならない。調査によると、消費者が新製品を買うのは、その商品の特徴をひとことで表現できた場合であることが示されている。マーケティング学の世界では、これを「意思決定の単純化」と呼び、消費者が商品を選ぶ際の手間を省いてあげることを意味する。

 

 

  • 消費者が物を買うときは、自分が求める機能を使うときの手間が最も少ない製品を探す。つまり、製品やサービスをデザインする際には、最も重要で有用なものをシンプルに達成できるようにしなければならない。

 

 

  • 研究によると、製品の機能の多さと顧客の不満の増加には直接的な関係がある。テレビを見るのに何百ものチャンネルを見比べなければならなかったら、「何か他の素晴らしい番組を見逃すかも……」という不安に襲われ、なかなか1つに決められなくなってしまう。

 

 

  • 一方で、ハーマンミラーのアーロンチェアは、とても複雑なテクノロジーを使っているが、デザイナーはその複雑さをユーザーには見せないように設計した結果、高価ながらもオフィスチェアの定番になった。

 

 

  • そこで、自分が製品やサービスをデザインするときは、どうすればできるだけシンプルにできるかを考える。調査によると、最近の消費者の多くは、広告やマーケティングが多すぎると感じており、シンプルさはそれだけで優位性を持つ。

 

 


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