ディーキン大学流「メンタルの改善にガッツリ効く8つのライフスタイル改善と、実践のポイント」#1運動と職場の問題
うつ病を改善するにはライフスタイルの改善が大事!ってのは間違いない話。食事、運動、睡眠といった日常の過ごし方を変えないと、メンタルの土台が作れませんからね。
といったところで、新しい調査(R)では、「どのようなライフスタイルの改善がメンタルに効くの?」ってところをガッツリ調べてくれていて良い感じでした。
これはディーキン大学の先生方が行ったレビューで、ライフスタイルの改善と大うつ病性障害(MDD)に関する文献をまとめたもの。数千の論文をチェックしたうえで、それぞれのエビデンスを、
- 強い=「絶対にすべき!」ぐらいのイメージ
- 限定的=「効果はあるかも!」ぐらいのイメージ
- 低い=「試すのもあり?」ぐらいのイメージ
- エビデンスなし
という4つのカテゴリーに分類。「どういった改善がメンタルの問題の緩和に役立つのか?」を調べたうえで、具体的に役立ちそうなライフスタイルの改善を8つにまとめたんだそうな。
で、まず大きな結論として注目すべきは、
- 「これは絶対にやるべき!」と言えるほどの強いエビデンスがあるものはなく、ほとんどが「限定的」だった
みたいになります。ライフスタイルの改善がメンタルに効くというデータは多いものの、「これだけはやっておけ!」と言えるものはないって感じですね。まぁメンタルの問題は複雑だから、万人が確かな効果を得られるようなものは少ないんでしょうね。
ってことで、研究チームが選んだ「メンタルに効く(かもしれない)8つのライフスタイル改善」を見てみましょう。
ライフスタイル改善1. 運動(限定的)
うつ病になると運動のレベルが下がるので、エクササイズの量を増やすのは有益かも?と考えられる。運動がメンタルに良いメカニズムは不明だが、BDNFの増加、脳の神の増加、ストレス軽減、炎症の軽減、さまざまな脳領域の刺激などが効いてるんじゃないかなぁ……ぐらいの感じ。
ちなみに、研究チームは、メンタルの改善に運動を使うために、以下のポイントを守るようにおすすめしております。
- とにかく本人が楽しめて、長く続けられるレベルの頻度と強度を守ろう!
- グループクラス、パーソナルトレーナーの利用、チームスポーツなど、参加への強制力があるような運動がいいよ!
- メンタルの問題に身体の問題(心臓疾患、COVID-19など)がある場合は、運動生理学者にちゃんと相談してね!
- エクササイズに楽しいアクティビティを組み合わせて、モチベーションを上げよう! 例えば、運動しつつ音楽を聴く、友人と会話する、パートナーと一緒に運動する、テレビを見るなど。
- エクササイズのルーチンを作るときは、ほとんどの日に実行できて、ちょっと辛いぐらいの負荷で、難しすぎず、疲れすぎないものにする。例えば、強度の高い運動(スプリントや長距離走など)から始めるのではなく、最初は中程度の強度の低い運動(短距離のウォーキングやサイクリングなど)から始める。
- 抗うつ効果を最大にするために、エクササイズの強度を少しずつ高めていく。
- エクササイズを増やすのも大事だが、日常の活動量を増やすのもの超大事。会議を歩きながら行ったり、スタンディングデスクを使ってみて!
ライフスタイル改善2.禁煙(低い)
禁煙が抑うつ症状を緩和する可能性を示唆する研究はいくつかあるが、大うつ病が決定的に改善することを示した証拠はかなり少なめ。とはいえ、禁煙が体に良いのは確実なんで必ずやるべし。
研究チームは、禁煙について、以下のポイントを守るようにおすすめしております。
- まずは、禁煙で得られる身体的、精神的、社会的、経済的なメリットについて学びまくろうぜ!
- 禁煙するときは、他にも禁煙したい人を見つけて、みんなで同時に禁煙するのがおすすめ! 家族や友人、地域の禁煙グループに頼んでサポートしてみるのもいいね!
- 必要に応じて禁煙の専門家を頼って、どんなストレスを感じた時にタバコを吸いたくなるのか調べようぜ!
- タバコを吸いたい!と思ったら、「DEaDS」のステップを使ってみよう! これは、「1.タバコを吸うのを10分遅らせ(Delay)」、「2.環境を変えて別の場所に行く(Escape)」、「3.気をそらす(例:誰かに電話する、体を動かす)(Distract)」、「4.代用する(例:ニコチン代替療法、水)(Substitute)」の頭文字を取ったもので、1番目から順を追って取り組むことで、タバコへの衝動を減らすことができる。
- 「タバコを吸いたい!」って気持ちは、特定の場所(会社とか)で起きるケースが大きいので、自分がどんな場所で吸いたくなるのかモニタリングしようぜ!
- 医師に相談するときは、以下の方法をすすめてくれる人を選ぼうぜ!
- ニコチン置換療法
- 特定の禁煙補助薬(バレニクリンなど)
- ブプロピオンなどの抗うつ薬
- 認知行動療法を含む会話療法
- 禁断症状と再発管理のメンタルケアをしてくれる
ライフスタイル改善3. 仕事環境の改善(限定的)
「仕事場」は、メンタルに大きな影響を持つ場所のひとつ。メンタルが低下した人ほど職場の悪影響を受けやすく、そのせいで失職に追い込まれ、さらに気分が下がってしまうケースは少なくない。
そのため、以下の「職場のストレス源チェックリスト」を使い、自分が仕事場で悩んでいる原因を調べてみると良い(それぞれ100点満点で採点し、点数が高かったものから対策を考えてみる)。
- 仕事の量が多すぎるパターン
- 出席しなければならない会議の数が多く、仕事をこなす能力が妨げられる。
- 仕事の量が多いせで、プライベートの人間関係に悪影響が出ている。
- 仕事のことで頭がいっぱいで、家でくつろぐことが難しい。
- 自分の能力以上の仕事をこなさなければならないと感じる。
- 上から矛盾した仕事が降ってくるせいで、作業を進めづらい。
- 管理がヤバいパターン
- 自分の仕事に対する裁量権のレベルに満足できない。
- 自分の仕事に対する権限の大きさに不満がある。
- 意思決定を行う個人やチームに、それを実行するための適切な権限が与えられていない。
- 自分に影響を与える意思決定の場に参加するチャンスがない。
- 自分の仕事のやり方を、自分で決める選択肢がない 。
- 組織のなかでなんらかの変化があるときも、同僚や私にはなんの相談もない。
- サポートがヤバいパターン
- 仕事が難しくなっても、同僚が助けてくれない。
- 自分の仕事について、フィードバックがない。
- 仕事で困ったことがあっても、上司が助けてくれない。
- 役割分担がヤバいパターン
- 自分の仕事の目標や、私が所属するグループの目標が明確でない。
- 仕事における自分の職務と責任が明確でない。
- 人間関係がヤバいパターン
- 私の職場には、対人間のいさかいが多すぎる。
- 職場で性格的な対立や緊張した人間関係が多いせいで、よい仕事ができない。
- 報酬がヤバいパターン
- 自分の仕事が評価されていると感じられない。
- 自分の努力が報われていると感じられない。
- 同僚から尊敬されていない 。
- 私は上司から相応の尊敬を受けていない。
といったところで、だいぶ長くなったんで今回はこのへんで。次回は、残り5つのライフスタイル改善を見てみましょうー。