精神的に強い子を育てるにはどうすればいいの?を脳科学から考えた本を読んだ話
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『精神的に強い子を育てる(Raising Mentally Strong Kids)』って本を読みました。
著者のダニエル・アーメン博士は有名な精神科医で、125,000を超える世界最大の脳スキャンのデータベースを有している先生だそうです。うーん、すごい。
で、本書は、脳科学の視点から「正しい子育ての方法とは?」を考えたもので、いまの時点における子育ての最適解みたいなものがわかって良かったです。それと同時に、人間の脳をうまく使うためのマニュアルとしても使える内容になってるんで、子どもがいない人にも役に立つはずであります。ということで、いつものように、本書から勉強になったところをチェックしてみましょうー。
- 「明確な目標」は、親と子供のどちらにとっても欠かせない。現代の親の多くは、毎日のタスクをこなすだけで精一杯になっており、明確な目標を立てている人は少ない。
しかし、あらかじめ「子供にどうなって欲しいか?」「どのような親でありたいか?」という目標を考えておかないと、人間の脳はどこに向かって良いのかがわからず、行動を変えることができなくなる。ここでいう目標には、「子どもに責任感を持たせる」「親切で思いやりある子どもにする」「臨機応変で回復力がある子どもにする」などである。
そのために、「親としての目標は何?」を考え、答えをリストアップしてみるとよい。また、目標設定の作業をするときは、親として望むことだけではなく、望んでいないことを書き出す作業を組み合わせるとさらに効果が高まる。そして、完成したリストを毎日チェックすることで、脳に目標を覚えさせることができる。
- また、目標設定は子ども自身にもやってもらうのがベターである。子どもの脳は、「自分が何を望んでいるのか?」がはっきりすると、それに向かって行動するモチベーションが高まりやすくなる。そのため、子どもにとって大切なことを、紙に書き出させるタスクもかなり有効である。
- 目標を書き終えたら、その紙を、自分と子どもが毎日目にする場所にセット。そのうえで、「いまの自分の行動は、目標に合っているか? 自分の望みを達成するのに役立っているか? 自分の望みを妨げていないか?」と自問するように心がける。もちろん、子どもにも同じことをするように言っておくとよい。
- 子供のメンタルに強くするためには、まずは脳の健康を維持させるのが第一である。そのために重要な原則は3つあり、第一は、自分の脳を友人のように扱ってやることである。脳は自分の考え方、行動、感情をコントロールするための器官なので、自分の脳を友人のように大切にしてやる必要がある。
- 第二の原則は、子供に自分の脳を友人のように扱い、友人を守るように脳を守るように教えることである。ここで、親が自分の脳を友人のように扱っている姿を見せることで、子供たちも同じように脳を大切にするようになる。このマインドが育つと、子どもは自分の脳を守ろうとしはじめる。
「脳を守る」のは精神的な傷を遠ざけるだけでなく、物理的な傷から身を守るのも非常に重要となる。たとえば自転車から転んだりして頭に軽い傷を負うと、集中力、気分、不安、短気などの問題が起きやすくなる。子どもの脳を守ることは、精神力を高めるために不可欠だと言える。
- 第三の原則は、子供に脳のケアを教えることである。人間の脳はいろんな原因で簡単に傷がつくので、頭部外傷を避けるために自転車に乗るときはヘルメットをかぶらせ、タバコを吸わないように指導し、アルコールを控えるように指示し、野菜をたくさん食べさせ、運動させ、質の高い睡眠をとらせ、新しいことを学ばせ、ネガティブな思考に抵抗することを学ばせる。もちろん、これらのことを子どもに実践させるには、親が率先して見本にならねばならないことは言うまでもない。
- 当然ながら、親が子供との絆を築けなかった場合、子育ては難しくなってしまう。近年の調査によれば、子供と十分なコミュニケーションを取れていない親は非常に多く、40%の親が、子供との会話が通常10分に満たないと答えている。
この問題を解決するために、最低でも1日20分間は、子どもがやりたがっていることを一緒にする時間を作ることを目標にしたい。この時には、親からの命令、質問、指示は一切しないこと。それと同時に、できるだけ子どもがやったポジティブな行動に気づくようにすること。
- 子どもとの関係を改善するためには、「積極的傾聴」も重要である。積極的傾聴とは、子どもが言ったことを、善悪の判断をしないと受け入れてやることを意味する。善悪に目を向けるのではなく、子どもの言葉の背後にある感情を探るように意識するとよい。この練習は、子どもよの関係を強化し、子どもの人生に良い影響を与えるために大いに役立つ。
- さらに精神的に強い子どもを育てたいなら、子どもに間違いを犯させるのも重要である。これをしないと、子どもは失敗から学べず、柔軟なメンタルを鍛えることができない。
実際の研究でも、子どもを助けまくるタイプの親で育った子供は、自分の問題を自分で解決する力を失い、親に依存するようになる傾向が確認されている。過保護な状態で育った子どもは、「自分は弱く、能力がない。だから、親から守られねばならない」とのメッセージを受け取ってしまうからである。
過保護な親でなくとも、軍隊のように厳しすぎる子育ても同じような問題を引き起こす。子供が間違いを犯さないように細かく管理し、悪いことをしたら罰するタイプの親は、怒り、威嚇、恐怖で子どもをコントロールしようとするため、やはり子どもは無力感を抱くようになり、自分で考えようとしないメンタリティを生んでしまう。
- 子どもに適切な失敗をさせるためには、自分が子供のころに犯した過ちと、そこから学んだことをリストアップしてみるとよい。そのうえで、子供に今月してほしい失敗を3つ、今年してほしい失敗を3つ、子供が大人になるまでにしてほしい失敗を3つ書き出してみる。もし子供がその失敗をしてネガティブになったら、毅然とした態度であくまで優しく接してやるのが重要である。
- 子どもの前頭前皮質(PFC)が完全に発達するのは20代半ばになってからなので、それまでは感情のコントロールや意志力の維持などを満足に行うことはできない。そのため、それまでは親が子どものPFCとして行動する必要がある。つまり、親がルールと制限を定めることによって、PFCの発達を促してやらねばならない。
- PFCを育てるためには、親が以下のポイントを意識するのが重要である。
- 親自身が、感情コントロールの模範を示し、良き手本となること。
- 子供たちに経験をさせ、自分の行動の結果と向き合い、自分で問題を解決することを認めること。
- 子どもの失敗に共感してやり、簡単に善悪ではジャッジしないこと。
- 結果が小さいうちに学ばせること(大きな問題が起きる前に、小さな問題をたくさん経験させておく)。
- 自由を与える時は、それにともなう代償と責任を伝えてからにすること。