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人生が辛すぎる『回避型』の愛着スタイルを改善するための簡単なワークがあるぞ!という話

 
 

回避型の愛着スタイルを改善する方法」を調べた研究(R)が出ておりました。

 

愛着スタイルについては、このブログで過去に何度も取り上げてますが、あらためておさらいしておきましょう。愛着スタイルってのは、発達心理学者のジョン・ボウルビー博士が開発した概念で、もとは子どもと親の関係を探るために開発されたフレームワークのひとつ。これをコーネル大学のチームが「大人の恋愛を理解するのにも使えるよね!」と提案してから、世界に広まったんですよ。

 

その内容がどんなもんかと言いますと、

 

  • 私たちは、自分の欲求を満たしてくれる人と、どのように付き合おうとするのだろうか?
  • 幼少期の両親との関係は、大人になってからの恋愛にどのような影響を与えているるのだろうか?

 

ってあたりを示すフレームワークになります。一般的には、私たちは4つの愛着スタイルのいずれかに当てはまるとされてまして、

 

  1. 安全型:幼少期に感情的な欲求が満たされたおかげで、大人になっても他人を信頼できるようになった状態(安心して弱音を吐けたりとか)。


  2. 不安型:幼少期に養育者が反応してくれなかったせいで、大人になってからも他人に安全を求めまくる状態。


  3. 回避型:幼少期に養育者から自分のニーズを無視されたり、応えてくれなかったりしたせいで、他者を遠ざけて自分を守ろうとする衝動に駆られる状態。


  4. 無秩序型:養育者が予測できない行動を取ったり、虐待系の人だったりしたせいで、他人の存在が恐怖の源となり、不安型と回避型の両方の要素が備わった状態。

 

みたいになります。性格診断というよりは、私たちの現在の人間関係のパターンと、そのパターンが生まれた過去の経験を理解するのに役立つフレームワークぐらいにお考えください。おそらく、たいていの人は、上記の説明を読むだけでも「自分は〇〇型だ!」と判断できるんじゃないでしょうか。

 

でもって、この中で、今のところ最も有害なパターンと呼ばれるのが「回避型」です。上の説明のとおり、人間関係に深入りするのを避けるタイプで、相手との交際を避けようとしたり、親密が増すのを避けようとしたりする愛着スタイルで、およそ4分の1の人が回避型だと言われております。

 

多くの場合、回避型の人は、「ストイックで自分自身をしっかり持っている!」と思われがちなんですが、実際には、心の奥底では人間関係に対する恐怖心が強いのが特徴。そのせいで他人に感情を表現するのが美味くないんですな。

 

かくいう私もゴリゴリの回避型で、こないだも「鈴木さんは回避型の王道です」と言われたばかりだったりします。このタイプはどうしても人間関係が広がらず、親密な関係性も築けないので、わりと人生がハードモードになりがちなんですよ。確かに、私の人生を振り返っても、そのへんは心当たりしかないのが辛いところです(回避型が役に立ったところも、あるっちゃありますが)。

 

では、私のような回避型はどうすればいいのかってことで、新しい研究は「簡単なエクササイズで他人と親密さを築けるようになるよ!」と言ってまして参考になりました。ここでは複数の実験をしてるんですが、なかでも取り入れやすい研究を紹介しておくと、

 

  1. 70組のカップルを招き、互いに「誰とでも最速で親密な関係になれる36の質問」をお互いにぶつけあい、15分ほどトークをしてもらう。

     

  2. その後で、みんなに人間関係へのネガティブな感情や、人間関係へのモチベーションを尋ねる。

 

ここで使われた質問は、ニューヨーク州立大のアーサー・アーロン博士が開発した質問集で、こいつを使って会話を進めると、親密度が一気に高まると言うんですな。具体的には、

 

  • あなたにとって「完璧な1日」とは?
  • 最後に1人で歌をうたったのはいつですか?最後に誰かに歌をうたったのはいつですか?
  • 90才まで生きられるとしたら、「死ぬまで30才の精神」と「死ぬまで30才の肉体」のどちらを選びますか?
  • 自分がどんな死に方をするか、ひそかに考えていることはありますか?
  • あなたは、私とどんな共通点があると思いますか?3つあげてください。

 

みたいな文章で構成されてまして、これをカップル同士で投げかけ合ったわけです。すべての質問を知りたい方は、「誰とでも最速で親密な関係になれる36の質問」をご参照ください。

 

で、結果としては、このワークを行った場合、回避型の人ほど人間関係へのネガティブな感情が減り、「相手から信頼されている!」みたいな気分になったとのこと。もともと回避型ってのは自分のことを語るのが超苦手なので、こういったエクササイズによって、回避傾向がやわらぐのは理解できるところです。

 

研究チームいわく、

 

回避的な愛着が強い人は、親密さを避け、人間関係において否定的な経験しやすい。しかし、最近の研究では、ポジティブな人間関係につながる体験を積み重ねれば、回避的な人でも親密さをより心地よく感じ、人間関係によりよい結果をもたらせるようになる。

今回の研究で示すように、ポジティブで親密さを促進するようなワークは、回避傾向が強い人にとって、短期的にも長期的にも効果があった。

 

とのこと。私もがんばろう……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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