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「他人を利用してくる人」とはどう付き合えば良いのか問題


 「なんだか他人に利用されている気がする!」って問題は、多くの人が一度は経験したことがあるはず。たとえば、

 

  • いつもの家族の集まりで何も持ち寄らず、他人の労力や好意を当たり前のように受け入れている親戚。
  • 何度プレゼントを贈っても、助けを差し伸べても、感謝の一言もない友人。
  • 自分の頼みを聞いてくれるのが当然だと思っている同僚。

 

みたいな感じですな。この手の対人トラブルってイマイチ文句を言いづらいので、対処が難しいんですよねー。

 

ということで、ノースカロライナ大学などの研究チームが、「他人に利用されちゃう問題」への対処法を研究(R)してくれてて面白かったです。

 

この研究で、「なぜ一部の人は他人の優しさにつけ込むのか?」って疑問を探ったもので、「他人を利用する人」のことを「他人を犠牲にして自分の利益を最大化しようとする行動を取る人」と定義しておられます。わかりやすいですね。

 

ここらへんを調べるために、チームは以下のような実験を行っております。

 

  1. 長期的な恋愛関係にあるカップルを対象に、パートナーの自己中心的な行動を調査。たとえば、「今までパートナーを操作して利益を得たことがある」といった質問に回答してもらう。ついでに、みんなの性格特性も調べ、パートナーへの態度と比較する。

  2. 参加者に仮想のパートナーとペアを組んでもらい、いくつかのゲームをやってもらう。その際に、みんなが相手を助ける行動を取るのかどうかをチェックし、状況によって他人を助ける行動に変化がでるのかを調べる。

 

こんな感じで、「どのような性格の人が、どのような相手に対して、どのように相手を利用しようとするのか?」ってのを調べたわけですね。

 

すると、実験の結果には一定の傾向がありまして、

 

  • 自己中心的な人々が他人の優しさにつけ込む際には、相手の「コミットメント(自分への関係の本気度)」を察知して行動を変える。

 

  • ビッグファイブにおける協調性が低い人は、相手のコミットメントが高いと感じるほど、「相手を利用する行動」が顕著になった。

 

って感じだったそうな。ここで研究チームが考えるポイントをまとめておくと、

 

  • 他人を利用しやすい人には、「ナルシシスト(自己愛が強い人)」が多い(これは当然でしょうな)。

  • 中でも、他人を利用するナルシシストには「協調性が低い」という共通点がある。これは、他人と協力したり、相手を思いやったりする能力が乏しいことを意味する。

  • 協調性が低い人は、以下のような特徴を持つことが多い。
    • 皮肉的:他人の意図を疑う傾向がある。
    • 自己利益優先:自分の得になる行動を最優先する。
    • 攻撃的:他人を犠牲にすることにあまり抵抗がない。

 

どうやら、こうした性格を持つ人々ってのは、「相手が自分にどれだけ尽くしてくれるのか?」ってのを常にモニタリングしており、その高低によって相手を搾取するかどうかを決めてるらしいんですな。これは非常によくわかる話っすね。

 

でもって、こうした調査を踏まえると、「他人を利用しやすい人」には、相手に優しさを「見せすぎない」ことがいかに重要かがわかるわけです。当たり前っちゃ当たり前の話ですが、良い人ほど「コミットメントを控える」のってしんどいもんですからねぇ。私の場合は、“良い人”というよりは単に“気弱”な人間なので、その難しさはよくわかります。

 

その点を考えた上で、今回の研究から教訓を引き出すならば、こんな感じになるんじゃないでしょうか。

 

  1.  コミットメントを控えめに見せる:相手に対して「助けるぞ!」って態度を前面に出すとエラいことになるので、頼みごとに対して即答せず、「少し考えてから返事しますわー」ぐらいの時間は取っておきたい。


  2.  関係のルールを明確にする:家族や友人との関係においては、ある程度の「ルール」を設定しておきたい。たとえば、「次回はみんなで料理を持ち寄るルールにしようぜ!」みたいな決めを作っておくことで、「この人は搾取しづらい!」って印象を与えることができる。


  3. 距離を保つ:自己中心的な人とは一定の心理的な距離を保つのも大事。たとえば、普段のコミュニケーションの頻度を調整したり、接触を減らすことで、相手に「つけ込む隙」を与えないようにするのも大事だったりする。

 

いずれも当然の対策ではありますが、とにかく「世の中にはこちらの出方を見て搾取しようとしてくるタイプの人間がいる!それは仕方ない!」って知識を念頭に置いておくだけでも、こちらの反応が違ってくるんじゃないかと思った次第です。

 

また、搾取を防ぐためには、相手への優しさを完全に放棄するんじゃなくて、「優しさを“見せる量”をコントロールするのが大事だよー」ってのも大事なところでしょう。他人を搾取するタイプの人間は、こちらのコミットメントレベルに応じて搾取の度合いを変えてくるので、こちらが「優しさの総量」を調整すれば、相手との関係性を健全なレベルにキープできるようになるはずですんで。どうぞよしなにー。


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