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筋トレ界で起きてた「ピリオダイゼーション論争」から学ぶ実践的トレーニング法を考えるエントリ


  

筋トレの世界でよく使われるトレーニング法といえば「ピリオダイゼーション」。効率的な成長を促すための長期的なトレーニングプランとして知られてまして、割とガチ勢がよく使っている印象であります。

 

ただし、このピリオダイゼーションには長い論争の歴史がありまして、「そんなもん意味がない!」って先生がいる一方で、「めっちゃ筋肉を肥大させるのだ!」って専門家もいたりして、正味な実力はよくわからないんですよね。そんな状況下、近ごろまたピリオダイゼーションに関するよいオピニオン(R)が出てましたんで、現時点でのピリオダイゼーションの勘所を見ておきましょう。

 

 

 

ピリオダイゼーション論争は何を問題にしているのか?

まずは、ピリオダイゼーションの基本をおさらいしておきましょう。ピリオダイゼーションってのは、トレーニングの量とか強度をコロコロ変えながら行う筋トレ法のことです。普通の筋トレはセット数や負荷を変えずに行うのに対し、ピリオダイゼーションでは、セット数とかダンベルの重さとかを、一定の期間(1週間とか1カ月とか)のなかでいろいろと変えてみるわけですね。

 

この手法については過去に何度も取り上げていて、「「ピリオダイゼーション」って筋トレはどこまで普通の筋トレよりもいいのか?を調べたメタ分析の話」などにいろいろ書いてますんで、こちらも参照してください。細かいところは置いておいて、個人的には「ピリオダイゼーションが夢のトレーニング法ってことはないけど、筋力アップには有効そうだから取り入れてみても良いよなー」とか思っているわけです。実際、私もピリオダイゼーションは使ってますし。

 

ただし、上掲のオピニオンによると、ピリオダイゼーションには激しい論争が巻き起こってまして、その原因として以下のポイントを指摘しております。

 

  1. 定義の曖昧さ:ピリオダイゼーションには、これまでに約87もの定義が提案されており、統一された見解が存在しない。この曖昧さが、理論の評価を困難にしている。

  2. 長期研究の不足:ピリオダイゼーションの研究は短期的なものが多く、長期的な計画がどれほど効果的かを示すデータは限られている。そのため、年単位で計画されたピリオダイゼーションの効果を評価するのが難しい。

  3. 個別性への対応不足:トレーニングの効果には、遺伝的要因、生活環境、精神的状態など、個々の条件が大きく影響する。しかし、ピリオダイゼーションは「一律の計画」を前提としており、個人の体質の差が十分に考慮されていないという批判も多い。

  4. 「神話」か「科学」か問題:最近の研究者の中には、ピリオダイゼーションを「科学的理論」というより「伝統的な経験則」とみなす声も少なくない。たとえば、2023年には、「ピリオダイゼーションの神話」と題されたレビュー(R)が発表され、「ピリオダイゼーションは科学的理論ではなく、むしろ神話に近い」と主張した。

 

ということで、いずれも納得感のある批判でして、まだまだ混迷が続いている状況だなーとか思うわけです。

 

 

 

私たち一般人はピリオダイゼーションにどう向き合うべきか?

それでは、私たちのような一般トレーニーは、ピリオダイゼーションをどのように考えれば良いのかってことで、個人的な意見をまとめてみましょう。

 

第一に重要なのは、この論争をよくチェックすると、批判派も「ピリオダイゼーションには有効な要素がいくつかあるよねー」ってあたりは認めてるとこっすね。批判派もピリオダイゼーションを何でもかんでも否定してるわけじゃないので、その有効なポイントを活かすように考えれば、より効果的なトレーニングが可能になるんじゃないかって話です。

 

では、批判派が認めているポイントがどこなのかと言いますと、ざっくり以下のようになります。

 

 

ポイント1.「線形性」と「バリエーション」が 筋力アップに役立つのは間違いない

「線形性」と「バリエーション」という2点の有効性については、有効性があると見て間違いないんじゃないかと。この2つを簡単に説明すると、

 

  1. 線形性(Linearity):トレーニングを進める中で、徐々に負荷を高めていく考え方のこと。例えば、1セット8〜12回を3セットやるところから始め、数週間かけて1セット4〜6回を3セットで限界が来るような負荷に変え、最終的には1セット2〜4回を3セットで限界が来るレベルまで移行することで、最大筋力を伸ばすようなイメージ。

  2. バリエーション(Variation):負荷やレップ数、休息時間、エクササイズ種目を定期的に変えることで、筋肉や神経系への刺激を維持して適応を促進するって考え方。週単位で負荷を変える「週次アンデュレーティング」や、日ごとに異なる負荷を取り入れる「日次アンデュレーティング」みたいなやり方がある。

 

みたいになります。この2つの考え方については批判派も認めてますんで、どちらも普段のトレーニングに取り入れていきたいところです。

 

 

ポイント2. 筋肥大に役立つ「レップレンジのバリエーション」

「筋肉を増やすぞ!」ってのを目標にした場合は、ピリオダイゼーションにおける「レップレンジのバリエーション」の考え方は有効と見てよさそう。簡単に言うと、

 

  • 高レップ(1セット15〜20回以上):筋持久力やタイプI筋繊維に刺激を与える
  • 中レップ(1セット8〜12回):筋肥大のゴールデンゾーン
  • 低レップ(1セット4〜6回以下):筋力向上とタイプII筋繊維の活性化

 

って感じでして、こういった回数ごとの効果を組み合わせることで、異なる筋繊維を満遍なく刺激し、より大きな筋肥大を目指せそうであります。

 

つまり、ピリオダイゼーションで効果を出すためには、以下のようにトレーニング内容に変化を加えていくのがよさげ。

 

  • セッション内にバリエーションを持たせる:1つのトレーニングセッション内で異なるレップレンジを適用します。たとえば、スクワットを4〜6回の高重量で行った後、レッグプレスを6〜10回の中重量で、最後にカーフレイズを15〜20回の低重量で行うといった形で、同じ日でも種目ごとに異なる刺激を与える方法です。

  • セッション間にバリエーションを持たせる:異なるトレーニング日ごとに、特定のレップレンジを設定します。たとえば、月曜日は高重量・低レップ(4〜6回)の日としてスクワットやデッドリフトをメインにし、水曜日は中重量・中レップ(8〜12回)の日としてマシントレーニングを中心にする、金曜日は低重量・高レップ(15〜20回)でストレッチ種目を重点的に行うという感じです。

  • 週替わりでバリエーションを持たせる:1週間ごとにレップレンジを変化させるアプローチ。たとえば、第1週目は全種目を中レップ(8〜12回)で実施し、第2週目は高レップ(15〜20回)で有酸素効果も意識、第3週目は低レップ(4〜6回)で筋力を鍛えるといったように、週ごとに全体のフォーカスを変える感じです。

  • メソサイクル間でバリエーションを持たせる:メソサイクル(数週間のトレーニング期間)単位でレップレンジを変更します。たとえば、最初の4週間は筋肥大を狙って8〜12回のレップレンジをメインにした後、次の4週間は筋力を向上させるために4〜6回のレップレンジをメインにし、その後の4週間は15〜20回の高レップで筋持久力を鍛えるといった形で、段階的にトレーニングの目的を変えていく感じです。

 

ってことで、ピリオダイゼーションは「万能な理論」じゃないんだけど、かといって「完全な神話」ってわけでもないので、論争から得られた以下のポイントを活かして柔軟に実践するのが良いんじゃないでしょうか。

 

  • 筋力アップには「線形性」と「バリエーション」を取り入れる。
  • 筋肥大には「レップレンジのバリエーション」を活用する。
  • 自分の目標や環境に応じて、変化を持たせる周期を変える。

 

これらを踏まえれば、ピリオダイゼーションを日々のトレーニングに活かすことが可能になるはずであります。どうぞよしなに。

 


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