「ピリオダイゼーション」って筋トレはどこまで普通の筋トレよりもいいのか?を調べたメタ分析の話
ピリオダイゼーションって筋トレ法がありますな。すごーく簡単に言うと、
- トレーニングの量とか強度をコロコロ変えながら行う筋トレ
って感じになります。普通の筋トレはセット数や負荷を変えずに行うのに対し、ピリオダイゼーションでは、セット数とかダンベルの重さとかを1週間のなかでいろいろと変えてみるわけですね。
この手法は過去に何度も取り上げてまして、
といった具体的な手法を紹介しております。個人的にも定期的に実践している手法で、「まぁ筋力は上がりやすそうでいいよなー」ぐらいの感じで続けております。
で、新しいメタ分析(R)では、24の先行研究をベースにピリオダイゼーションの効果を深掘りしてくれてまして勉強になりました。ここで調べたポイントは何かと言いますと、
- 普通の筋トレとピリオダイゼーションを比べると、どっちが筋力&筋肉量がアップしやすいのか?
- 変動型と直線型ピリオダイゼーションを比べると、どっちが筋力&筋肉量がアップしやすいのか?
みたいになります。変動型と直線型ってなんだか住宅ローンみたいですが、ざっくりいうと以下のような感じになります。
- 変動型ピリオダイゼーション:1週間のなかで負荷やセット数をいろいろ変える。具体的な事例は「タンパ大学式筋肉トレーニング」をご参照ください。
- 直線型ピリオダイゼーション:数週間ぐらいのペースで負荷やセット数などをジリジリと上げていく方法。具体的な事例は「サンパウロ大学式ピリオダイゼーション」をご参照ください。
過去にもピリオダイゼーションの効果を調べたメタ分析はあったんですけど、変動と直線の違いをチェックしてくれたものは少ないので、非常にありがたいところですねー。ちなみに、このメタ分析で扱ったデータの品質は平均すると「中程度」って感じでして、ここで得られる結論もわりと信じて良いのではないかと思っております。
ということで、結果は以下のようになりました。
- 同じトレーニング量で行った場合でも、ピリオダイゼーションは普通の筋トレよりも筋力の増加が大きい
- ピリオダイゼーションの筋力アップ効果は、直線型よりも変動型の方が大きい(d = 0.31; p = 0.04)。ただしI2は70%なので、そこそこ個人差はあるっぽい
- 筋肉量の向上については、ピリオダイゼーションと普通の筋トレのあいだで違いはなかった。ひょっとするとピリオダイゼーションの方が平均1.0%多く筋肉が増えるかもしれないが、この差は有意ではなかった(d = 0.13; p = 0.27)
- また、トレーニングを受けていない人は、ピリオダイゼーションと普通の筋トレのあいだで効果の有意差はなかった(d = 0.06; p = 0.67)
ピリオダイゼーションが筋力に効くってのは前から言われてたので「やっぱりかー」ってところですが、さらに変動型を使った方が効果が高いってのはナイスな知見ですね。変動型ってなかなかプログラムを組むのがめんどうで、近ごろは直線型しか使ってなかったんですけど、変動型もやってみるかな……。
で、後は余談ですが、ちょっと前に出た別のデータ(R)もピリオダイゼーションについて調べてまして、こちらの結論は、
- ピリオダイゼーションを行った持久系アスリートは、普通のトレーニングをしたアスリートに比べて、8週間後のトレーニングに対するモチベーションが高かった
みたいになってたりします。人間ってどうしても単純さを嫌う傾向があるんで、普通の筋トレみたいに一定のルーチンをくりかえすやり方は飽きやすいし、精神的な疲労にもつながりやすいんじゃないか?とも考えられるんですよ。
その点では、今回のメタ分析では「筋トレ初心者には意味がない」って結論ですけど、個人的には「筋トレの飽きを防ぐ」って意味で、初心者もピリオダイゼーションは使った方が長続きして良いのでは?とか思いますかねぇ。