日本一「長寿の里」、沖縄・大宜味村へ行ってきた話
こないだ抗加齢医学会で発表をしてきたんですけど、それ以外にも沖縄に行く目的があったんすよ。それは「大宜味村に行ってみたい!」というものです。
大宜味村ってのは、世界でも有数の長寿村として知られてまして、「日本のブルーゾーン」と言われてるんですよ。ご存じの方も多いでしょうが、ブルーゾーンってのは90 歳代はもちろん、100 歳を超える人々が多数暮らす地域のことで、もともとはベルギーの人口学者ミシェル・プーランとイタリア人医師ジ ャンニ・ペスが、長寿者が多いイタリア・サルデーニャ島のバルバギア地方に「青色マ ーカー」で印をつけたのが由来。サルデーニャ島については「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」でも書いたのでご参照いただければ幸いであります。
でもって、さらに2004年からアメリカの作家であるダン・ビュイトナーが、ナショナルジオグラフィックと組んで調査を行い、同誌の 2005 年 11 月号で新たに4つの「ブルーゾーン」を加えてその成果が発表したんですよ。具体的には、
- イタリア : サルディニア島 バルバキア
- アメリカ : カリフォルニア州 ロマリンダ
- コスタリカ: ニコヤギ島
- ギリシャ : イカリア島
- 日本 : 沖縄 大宜味村
の5つでして、世界5大ブルーゾーンに大宜味村が入っているわけですな。ビュイトナーによれば、長寿の地域に暮らす人々には共通する健康長寿の秘訣があるんだそうで、いまもブルーゾーンのライフスタイル研究は続いてたりします。さらに詳しくは、「ブルーゾーン 世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ 健康と長寿のルール」をどうぞ………と書こうと思ったら、すでに絶版でAmazonでプレミア価格になってますね。んー、辛い(英語が読める方なら2021に出たナショナルジオグラフィックの特集号を読むのもアリ)。
で、大宜味村ってのは人口3063人の小さな村なんですが、そこに100歳以上の方がなんと18人もいて、90代も156人、80代も255人いらっしゃるんだそうな。平均年齢は男女で52-3歳といったところで、こりゃすごいですな(2021年8月31日時点)。
ってことで、まずは大宜味村を散策してみたわけですが、とりあえず印象的なのは「ザ・自然」。どこを向いてもひたすら大自然で、いつもはほぼ新宿から出ずに暮らしている私としては最高としか言いようがないっすね。
村民の方に話をうかがったところ、「人間は生きてる限り生涯現役。心の中に定年をつくってはいけないさー」とのことで、高齢者でもガンガンに畑仕事や家事をこなし、レクリエーションにも積極的に取り組んでいるそうな。地域の助け合いや家族との関わりも、肉体的・精神的な支えになっているそうで、ここらへんはサルデーニャの報告とそっくりですね。
また、大宜味村はシークワーサーの産地としても有名で、こいつにふくまれるノビレチンが、近ごろは血糖値や高血圧、認知機能の改善などでめちゃ注目されているんですよね。シークワーサーも日常に取り入れてみるかな……。
散歩のあとは大宜味村のカフェ『がじまんろー』にうかがって濃厚なシークワーサージュースをいただき、オーナーさんのご好意でシークワーサー畑で実を取らせていただいたりしました。
山道をのぼった先にあるカフェは木でてきた落ち着いた建物で、縁側から見下ろす眺めが最高。
ちなみに、このオーナーさんがめちゃくちゃオシャレで、バランスの良い色合いのリネンの服をさらっと着こなしていて、高い場所にあるシークワーサーもさっと採取する運動能力を持っててかっこよかったです。 オーナーさんいわく、長寿の秘訣は「明日やることがあるからねー」とのことで、これも渋い答えですね。