プチ断食中にコーヒーを飲むとアンチエイジングの効果は消えちゃうの?問題
結構いただく質問のなかに「プチ断食中のコーヒーはアリですか?」ってのがあります。プチ断食にはいろんな効果があるものの、その間にコーヒーを飲むと、せっかくの断食の効果が薄れてしまうんじゃないの?という疑問ですね。まぁこのブログではつねに「断食中のコーヒーはOKですよー」と言ってるんですが、くわしい理由をまとめたことがなかったので、細かいところを説明しておきます。
で、前提として、プチ断食の一般的な効果といえば、
- 脂肪が燃えてインスリン感受性が改善する
- オートファジーが起きて細胞が若返る
- AMPKが活性する(抗酸化ネットワークを活性化させる酵素)
ってのがありますんで、果たしてコーヒーがこれらの効果を打ち消してしまうのかどうかを見てみましょうー。
1. コーヒーと脂肪とインスリン感受性
プチ断食のあいだは体内にエネルギーがないので、その分だけ体脂肪の分解とインスリン感受性の改善が起きるのは間違いないところ。この問題については、2016年に小規模な試験が行われてまして(R)、その結論だけ抜き出してみると、
- カフェインを飲むと血中のケトーシスが増える!
って感じです。あくまで10人程度の小さな研究なので断言はできないものの、カフェインでケトーシスが増えるんだから、コーヒーで脂肪の燃焼が高まるってのはあるでしょうね。
また、インスリン感受性については、カフェインで長期的に糖の処理能力が上がると考えられてたりします。具体的には7つのRCTを調べたメタ分析(R)が存在してまして、カフェインは短期的にインスリン感受性を低下させちゃうものの(わずかなブドウ糖を脳のために保存するための生理的な措置だと思われる)、長期的にはインスリン感受性と耐糖能が向上するとのこと。
実際、多くの研究で、コーヒーを飲めば飲むほど糖尿病のリスクが低くなることが分かってますんで、この点でもコーヒーは安全だと申せましょう。
2. コーヒーとオートファジー
オートファジーってのは、ひとことで言えば「細胞の大掃除」でして、細胞に溜まったゴミを掃除し、損傷した部分を取り除く働きのことです。プチ断食はオートファジーを誘発する最良の方法のひとつでして、個人的にはこの効果を狙ってプチ断食を行っております。
で、このオートファジーは、カロリーがあるものを摂取するとすぐに機能が下がってしまうんですが、幸いなことに「コーヒーは問題なさそうだなー」と考えられております。といっても、現時点ではマウス実験(R)しかないのが辛いところですけども、とりあえずカフェイン入りのコーヒーもカフェイン抜きのコーヒーも、肝臓、筋肉組織、心臓のオートファジーを誘発するとの結果が出てたりします。
まぁあくまで動物実験の話なので判断が難しいんですけど、個人的にも問題なさそうだなーと思っております。
3. コーヒーとAMPK
AMPK(アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ)は、「不老長寿メソッド」でも取り上げた重要な酵素のひとつ。脂肪の蓄積を抑制し、脂肪の燃焼を促進し、抗酸化ネットワークを活性化し、オートファジーを誘発し、ミトコンドリアの生合成を促進する働きがありまして、アンチエイジングを狙うならぜひ押さえておきたいポイントなんですよ。
AMPKを活性化させる方法としては運動とカロリー制限が基本でして、プチ断食は間違いない手法のひとつだと申せましょう。でもって、幸いなことに、コーヒーはAMPKを阻害しないようでして。それどころか、カフェインはAMPKを介して内皮の修復を向上させるとの報告(R)もありますし、コーヒーの健康成分であるクロロゲン酸もAMPKを誘発するってデータ(R)もありますんで、逆にプチ断食中も積極的に読んだ方がいいのでは?と思うぐらいっすな。
4.その他のポイント
というわけで、コーヒーはプチ断食の効果をまったく邪魔しなそうなんですが、その他のポイントをざっくりまとめておくと以下のようになります。
- 当たり前ながら、ミルクと甘味料を入れたコーヒーだとプチ断食の効果は中断されるので避ける
- おそらく人工甘味料はプチ断食の効果を阻害しないが、個人的にはそこまでお薦めしない(腸内環境に悪いかもなので)
- シナモンはプチ断食の効果を阻害しないと思われる。というか、インスリン抵抗性を抑える傾向がある
- ココアパウダーはなんだかんだで炭水化物、タンパク質、脂質が含まれているので判断が難しい。小さじ1杯以上までなら問題ないかなーとは思う。ココアを入れる場合は、脱脂したココアパウダーを使っておきたい。