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頭が良くなる植物系サプリは存在するのか?の系統的レビュー


 

サプリメントの世界には、「ヌートロピック」ってジャンルがあるわけです。日本語だと「向知性薬」みたいな意味でして、頭を良くしてくれるサプリの総称です。アメリカとかだとかなりメジャーなジャンルで、試験勉強のために使う学生さんもいるらしいんですな。

 

 

で、新しく出た系統的レビュー(R)もヌートロピックの話で、「植物由来の向知性薬」(PDN)の効果をチェックしてくれておりました。例えば、日本でも「イチョウ葉が記憶力に良い!」みたいなことが言われますけど、果たしてこれらの植物ベースなPDNの効果を調べたんだそうな。

 

 

この 系統的レビューは、合計256件のヒト試験および系統的レビューを対象にしてまして、

 

  1. 知覚・運動機能
  2. 言語
  3. 学習・記憶
  4. 社会的認知
  5. 複合注意
  6. 実行機能

 

という6つの知性に植物系のヌートロピックが役に立つのかをチェックしてくれております。この6つは、最新の「精神障害の診断と統計マニュアル」による分類でして、「植物系のヌートロピックで頭は良くなるか?」って問題を扱うには適切な感じじゃないでしょうか。

 

 

でもって、細かな部分は置いておいて、まずは研究チームがどんな報告をしているかを見てみましょう。



  1. イチョウ葉:最もよく使われるヌートロピックであり、知性を構成する6つの要素すべてに関わっていると思われ、なかでも知覚-運動機能の改善を改善する可能性がある(6件の研究)

  2. バコパ:言語(3件の研究)および学習と記憶の改善(10件の研究)が報告されており、イチョウの次によく使われるヌートロピックだった

  3. アシュワガンダ:社会的認知(不安やストレス;7件の研究)の改善が報告されている。

  4. カフェイン:注意(4件の研究)および実行機能(4件の研究)の改善が報告されている。

  5. フラボノイド:実行機能を除くすべての知性の構成要素に対し、わずかな効果が得られるかもしれない。特に、高麗人参、サルビア、茶、カバは、いくつかの知性の構成要素に何らかの改善が報告されている。

  6. セントジョーンズワート:抗うつ薬や気分を安定させるヌートロピックとして知られているが、知性には否定的な影響がある可能性が報告されている。

 

 

ということで、この結果だけを見てみると、「おっ!イチョウ葉は良さそうじゃない?」って印象があるわけですが、個人的にはこの系統的レビューを見て、「まぁ現時点では植物系のヌートロピックを買うことはないな……」とか思ったりしました。

 


というのも、データを見てますと、いまんとこ植物系のヌートロピックの研究バラつきが大きすぎる感じでして、サプリの製造法がまったく違ってたり、研究ごとに投与量の差が大きすぎたり、実験の期間もバラバラすぎだったり、参加者のタイプも全然違ってたり、結果の測定方法も違いがデカすぎたりしてまして、どの研究をどこまで信じていいか謎なんですよねー。

 

 

さらに言えば、それぞれの植物系のヌートロピックが脳に効くメカニズムが解明されてないところも多かったりしまして、「頭が良くなるサプリ」について期待を持つにはまだ早いかなーってとこです。結局、いまんとこは運動食事ぐらいしか脳をちゃんと鍛える方法はないってのが現状なんで、そこんとこよろしいくお願いしまーす。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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