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夜になっても眠れない……は認知行動療法で10年にわたって改善するかもよー

 

『眠れない……』って問題には認知行動療法がよく効くよー」って話はパレオチャンネルにもたくさん書いております。認知行動療法は当ブログでいろいろ取り上げてますんで、ぜひ過去ログを参照していただければと思いますが、簡単に言えば「考え方の歪みを修正していく方法」ぐらいにお考えください。

 

 

で、認知行動療法が不眠に効くのがなぜかと言えば、ざっくり「眠れないのは考え方の歪み」が原因であるケースがよくあるからです。「ここのところずっと眠れてないから今日も眠れないだろうな……」とか「いつも体は疲れてるのに眠れないんだよな……」とか、そういった思い込みに取りつかれてしまい、そのせいでいよいよ眠れなくなってしまうようなパターンですね。

 

 

でもって、新たなテスト(R)も「認知行動療法が不眠にどこまで効くか?」ってとこを掘り下げていておもしろかったです。

 

 

これは、2012年に発表された6週間のRCTにもとづく縦断的研究で、不眠症と診断された133人(平均年齢48歳)を集めて、

 

  1. 認知行動療法を不眠症に使う方法が書かれた本をわたして、6週間ほどトレーニングする
  2. 認知行動療法を不眠症に使う方法が書かれた本をわたし、さらにガイド付きセラピストのサポートをつけて、6週間ほどトレーニングする

 

って2つのグループに分けたんだそうな。ご覧のとおり、未治療の対照群が存在しないのが難点なんですけど、実験そのものは興味深いので良しとしましょう。

 

 

ちなみに、米国精神医学会の定義によると、不眠症ってのは「少なくとも3ヶ月間、週に3晩以上、睡眠を開始または維持できず、その結果、日中の機能不全に陥る状態」だそうです。幸い私は不眠に悩んだことはないんですけど、これは想像するだけでも辛いですねぇ……。

 

 

また、なんの治療もしないと不眠症は持続しやすいこともわかってまして、1~10年ほど患者さんを追跡したコホート研究だと、31~74%の症例で不眠症が長期にわたって残存するんだそうな。なかなか難しい症状なんですな。

 

 

さて、今回の研究では、電話による面接と自己報告式の質問票を使って、治療後1年と10年で参加者たどうなったかを追跡調査したらしい。認知行動療法と不眠の長期的な効果を調べたものは少ないので、10年後の様子まで調べてくれてるのはすばらしいですね。

 

 

その上で、みんなの不眠の症状や睡眠薬の量がどう変わったかと言いますと、

 

  • ベースライン(つまり6週間の介入を行う前)と比べて、治療後1年および10年目にも不眠症の重症度が改善された

 

  • セラピストのガイドがなしグループと比べた場合、ガイド付きグループは治療後1年目に不眠症状がさらに軽減していたが、治療後10年目ではグループ間の差はなかった

 

  • ベースラインと比較して、6週間のトレーニングが終わったあとに約66%の参加者が不眠症が改善し、これは治療後1年と10年でも維持された

 

  • さらに、睡眠薬を「定期的または頻繁に使用する」と答えた参加者の数は、ベースラインと比較して治療後1年で半分に減少したが、治療後10年では差がなかった

 

とのことです。いったん認知行動療法のトレーニングを行えば、10年が過ぎても不眠の改善効果は得られるってのはすばらしいですね。認知行動療法ってわりと身につけやすい考え方なんで、効果が持続しやすいのかもしれんですな。

 

 

ってことで、もし現時点で不眠にお悩みの方は、認知行動療法をお試しいただくのも手でしょう。具体的な方法についてはパレオチャンネルを参照していただきたいところですが、より体系だった知識を知りたい場合は、

 

 

ってあたりをご参照ください。認知行動療法の考え方そのものは難しくないので、とりあえず学んでおいて損はないはず。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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