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自制心を高めるカギは「メタ認知」だ!という最新研究の話

 


「自制心を鍛えたい……」って人は多いはず。誘惑に負けない能力があれば、長期的な目標は達成しやすくなるし、そのおかげで健康的な生活を送れるだろうし、より良い人間関係を築きやすくなるだろうし、実際に学業や仕事で成功しやすいって報告も多いんですよね。

 

ただし、このスキルを鍛える方法はまだ完全には解明されていないんですが、新しい研究(R)では「自制心は本質的にメタ認知なのだ!」って考え方を提示してくれていて勉強になりました。

 

ご存じのとおり、「メタ認知」ってのは、自分の思考や行動を客観的に見つめ直し、それを調整する能力のこと。この視点を取り入れることで「新しい自制心の育て方が見えてくるぞ!」ってのが、この研究の主張のキモであります。

 

この研究は、過去に発表された「自制心」と「メタ認知」の文献をレビューしたもので、大まかな主張の流れをまとめておくと以下のようになります。

 

  1. そもそも自制心とは、「短期的な欲求を抑え、長期的な目標達成のために行動する能力」を指す。この能力が必要になる場面は、「ダイエット中にチョコレートの誘惑を断つ」「テレビやゲームの誘惑を抑え、勉強に集中する」などである。

  2. 自制心が必要な状況に共通するのは、目の前の誘惑と長期的な目標の間で葛藤が生じているというところである。

  3. この葛藤をうまく乗り越えるためには、自分の行動や考え方を冷静に見つめ直す能力が必須であり、それこそが「メタ認知」である。

 

ってことで、結局のところセルフコントロールの問題ってのは短期と長期の欲求のぶつかりあいなんだから、その葛藤を客観的に見つめることが最も重要だって指摘は、割と納得しやすいんじゃないでしょうか。

 

そこで、メタ認知的な視点から自制心を高めるために、研究チームは以下の3つの知識を重要視しておられます。

 

 

1. 戦略的知識(Strategic Knowledge)

戦略的知識ってのは、自制心をサポートするための具体的な戦略や方法を知っていることを意味してまして、これには以下の3つの要素が含まれます。

 

  1. 宣言的知識(Declarative Knowledge):自分が使える戦略のリストを持っていることで、たとえば以下のような戦略がある。
    1. 誘惑を遠ざける:ダイエット中なら、お菓子を家に置かないようにする。
    2. ご褒美を設定する:勉強を1時間頑張ったら、好きなドラマを観る。
    3. タスクを楽しくする:掃除中に音楽を聴いて気分を上げる。

  2. 条件的知識(Conditional Knowledge):どの戦略がどの状況で効果的かを理解する能力。たとえば、「タスクを楽しくする」戦略は単純な作業には効果的だが、集中力を要する勉強や仕事では逆効果になることがある。このような状況に応じた戦略選びも大事。

  3. 手続き的知識(Procedural Knowledge):戦略を実際にどう実行するかを知っていること。たとえば、「運動が面倒」と感じたときに、「運動後の爽快感」を思い浮かべる方法や、「運動しなければ健康を損ねる」と考える方法を使い分けるといった具体的な行動を意味する。

 

この3つの要素が揃うことで、自制心を効果的に発揮できるようになるよーってことで、これはちょっと意識しておくと良さそうですね。ちなみに、ここらへんの意識を高めるためには、何らかのタスクを行う前に、以下の質問を自分に投げてみるのがよさげです。

 

  • これまで試した自制心を高める戦略で、特に効果があったものは何か?
  • 失敗したとき、どの戦略を使えば別の結果を得られたか?
  • 同じ目標に取り組む他の人は、どのような方法を使っているか?
  • 複数の戦略を同時に組み合わせると、効果が上がる状況はあるか?
  • どの戦略が短期的な効果を発揮し、どの戦略が長期的な成果につながるか?

 

 

2. タスク知識(Task Knowledge)

タスク知識ってのは、自制心が必要なタスクの特性や難易度を理解する能力です。この能力がないと、タスクの性質に応じた対策を取れなくなっちゃいますからね。

 

タスク知識を鍛えるためには、以下のような質問で特性を分析してみると吉。

 

  • このタスクはどのくらい難しいのか?
  • 退屈な単調作業か?それとも複雑で集中力を要する作業か?
  • 心理的・身体的な負荷はどれくらいかかるのか?
  • このタスクを完了するために必要な時間はどれくらいか?
  • このタスクにおいて、一番つらい部分はどこにあるか?
  • このタスクをやりやすくするために、何か前準備が必要か?
  • このタスクに対する自分のモチベーションはどの程度か?(10点満点で評価する)
  • 他の人がこのタスクを取り組むとしたら、どのような問題に直面しそうか?

 

この質問を考えておくと、たとえば「これは単調な作業だから音楽を聴いてみるか…」「複雑な仕事だから作業を細分化してスケジュールを立てるか…」みたいな対策を立てられるわけですな。

 

 

3. パーソナル知識(Person Knowledge)

パーソナル知識ってのは、自分自身の自制心の強みや弱みを理解する能力です。自己認識を深めないと、より効果的な対策は立てられないですからね。

 

そのためには、以下のような質問の答えを考えてみるのが吉であります。

 

  • 自分はどんな状況で誘惑に負けやすいのか?
  • 朝と夜、どちらのほうが意志力が強いのか?
  • 他人と比べて、自分の自制心はどの程度か?
  • 自分が最も意志力を発揮しやすい時間帯はいつか?
  • ストレスがかかるとき、自分はどのように行動が変化するか?
  • 自分が誘惑に負けやすい具体的な場面はどんな時か?
  • これまでの経験から、自分にとって最も効果的なモチベーションの源泉は何か?
  • 自分が自制心を発揮できた成功体験を振り返り、それをどう再現できるか?

 

これらを日記や記録アプリで追跡することで、自分の弱点を特定し、それに応じた対策が可能になります。たとえば、自分が夜になると間食をしたくなると分かっている場合は、「夜間はキッチンに行かないルールを作ろう」「健康的なスナックをあらかじめ用意しておこう」みたいな対策を立てられるわけですな。

 

 

ってことで、今回のレビューを見て、あらためて「メタ認知系の質問って有効だよなぁ……」ってのを思いましたね。わかってるけど意外と忘れちゃうんだよなぁ。

 


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