サイコパスよりも危険かもしれない「社会的ナルシシスト」に注意しようぜーという話
「ダークトライアド」よりも危険な「社会的ナルシシスト」とは?
私たちの身の周りによくいる「ヤバい人たち」といえば、「ダークトライアド(Dark Triad)」であります。これはマキャヴェリアニズム(他者を操る性質)、ナルシシズム(自己愛の強さ)、サイコパシー(共感や罪悪感の欠如)という3つの性格の組み合わせを指す言葉で、ダークトライアドを持つ人は、日々の生活や職場で壊滅的なダメージをもたらすことが多く、心理学の研究でも「危険な性格」として知られているんですな。
が、最近の研究(R)では、「ダークトライアドよりもさらにヤバいキャラがいるぞ!」って結論が出てて面白かったです。研究チームが主張する“ダークトライアドよりヤバい人”は「社会的ナルシシスト」と呼ばれてまして、だいたい以下のような性質を持っております。
- 一見すると親切で協力的に見えるのに、実は自己中心的で 他人を操作するのが好き
ってことで、ダークトライアドと違って表面は善人に見えるのに、実際にはこちらを搾取しようと狙っているような人物を「社会的ナルシシスト」と呼んでいるわけですね。確かにこれはヤバそうですねぇ。
これはアムステルダム大学などが行った研究で、約800名の男女を集めてHEXACOモデルをもとに参加者の性格特性を測定。さらにみんなに「職場で同僚を妨害することがありますか?」「他人の視点を考慮して行動することがありますか?」みたいな質問を行い、さらには実験を通じて参加者の行動を直に観察したんだそうな。
その結果、多くの人の「性格の全体像(プロファイル)」は以下の5つに分類できたらしい。
- ダークな社会的孤立者(27%):
- 特徴:内向的で他者と距離を置きがちだが、職場での逸脱行動が多い。
- 行動:報酬を独占しようとしたり、資源分配で不正を働くことが多い。
- 社会的ナルシシスト(23%):
- 特徴:表面的には親切で社交的だが、実際には自己中心的で、他人を操ろうとする。
- 行動:協力的に見せかけながらも、裏では不正を働くことが多い。
- 社会的な配慮者(20%):
- 特徴:温かく協力的で、他人を助ける行動を多くとる。
- 行動:逸脱行動はほとんど見られず、最も安心できるタイプ。
- 全方位悪党(16%):
- 特徴:社交的でありながら、極端に自己中心的で、他人を操ろうとする。ヤバい行動が最も多い。
- 行動:最も逸脱行動が多く、危険性が高い。
- 情緒不安定型(15%):
- 特徴:不安やストレスを抱えやすく、感情的に不安定。
- 行動:逸脱行動は少ないが、他人のために役立つ行動の量も少ない。
「社会的な配慮者」以外はいずれもヤバいんだけど、研究チームは「社会的ナルシシストが最もたちが悪い!」と言っておられます。というのも、「全方位悪党」や「ダークな社会的孤立者」のような人は明らかに「こいつはヤバい!」ってのがわかるので、知り合ってから早い段階で本性が露呈することが多いんだけど、「社会的ナルシシスト」は、本性を隠すのがうまいため、周囲の人々に気づかれにくいんですよね。このような人々が職場の同僚や友人たちの中にいると、知らないうちに大きな被害を受ける可能性があるわけですな。
では、「社会的ナルシシスト」がどのような特徴を持っているのかと言いますと、
- 表面的な協力性:見た目や態度は親切で協力的に見えるが、裏では自分の利益だけを考えて行動する。
- 機会主義的な行動:競争や不正行為が可能な場面では、躊躇なくそれを利用する。
- 欺瞞的な自己報告:自分を良く見せるために、調査や評価では「協力的な人間」を装う。
みたいな感じです。いずれもめっちゃ怖い特性でして、これらのパーソナリティが働いた結果として、以下のような行動を取るようになるんだそうな。
- チームでの仕事を積極的に引き受けるように見せかけるが、実際には他人に作業を押し付ける。
- プロジェクトが成功すると、自分が貢献したかのように振る舞い、成果を独り占めする。
- 表面的には協力しているように見えて、裏で他人を批判したり、悪い噂を広める。
- 過去の成功や業績を誇張して話し、実際よりも自分を有能に見せる。
みたいな感じです。言われてみれば、まだ会社員だった時代にそんな人がいた気がする……(というかいた)。
「社会的ナルシシスト」から身を守るのはなかなか大変なんですけど、この研究を見る限り、だいたい以下のような対策が良いのかなーって感じがしております。
- 行動の一貫性を観察する:社会的ナルシシストは、表面上は魅力的で協力的に見えるが、実際には約束を守らない、些細な嘘をつく、利益が絡むと態度が変わるなどの行動が見られたら要注意。
- 小さな不正を見逃さない:社会的ナルシシストは、最初は些細な嘘や軽微な不正を行うことが多め。たとえば、仕事上のミスを他人のせいにする、自分の手柄を過剰にアピールする、といった行動は、社会的ナルシシストの典型的な兆候なので注意。
- 文書化と記録を徹底する:職場やプロジェクトで社会的ナルシシストっぽい人と関わる場合、合意事項やタスク分担などを必ず文書化しておく。口約束ではなく、メールやチャットなどで記録を残すことで、後から責任を曖昧にされるのを防ぐのが基本。
とにかく「社会的ナルシシスト」ってのは見た目が協力的で親切そうな割には、簡単に他人を裏切っちゃう傾向があるので、言葉や外見に惑わされず、行動を冷静に観察するしかないんだろうなーって感じですね。とりあえず「社会的ナルシシスト」って概念を念頭に置いたうえで、周囲を観察してみるのが最初の一歩だと思いますんで、まずはそこから手をつけてみちゃいかがでしょうか。どうぞよしなにー。