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ジムに行かなくても自宅の筋トレで総死亡率が23%も下がるんだぞ!という観察研究の話

 

アンチエイジングには運動が必須!ってのは言うまでもないわけですが、意外と「筋トレはどうなの?」ってところはわかってなかったわけです。運動と長生きの関係を示したデータは有酸素系のトレーニングがメインで、実は筋トレのアンチエイジング効果ってそこまでハッキリ確認されてなかったんですよ。

 

 

ただ、新しく出た論文(1)は、「ほんのちょっとの筋トレでも早期の死亡率はガッツリ下がるんだぜ!」って結論になってていい感じでした。

 

軽めの筋トレはどこまでアンチエイジングに効くか

これはシドニー大学の研究で、HSEやらSHSなどのデータセットを使って、80,306人分の死亡リスクと筋トレの関係を調べたコホート研究になっております。研究者いわく、

 

筋トレは、高齢者が身体機能を維持するためのエクササイズとして注目されてきた。しかし、いっぽうでは筋トレが死亡率に与える影響を調べた研究はほとんどない。今回の研究は、筋肉の発達をうながすエクササイズが、ジョギングやサイクリングのような有酸素運動と同じぐらい重要なものかを調べたものだ。

 

とのこと。ここで言う「筋トレ」ってのはジムでガッツリやるようなものだけではなく、自宅で軽く腕立てをするような自重トレーニングもふくまれております。要するに筋力がアップするようなエクササイズはすべて考慮に入ってまして、ここでは「SPE」(筋力促進エクササイズ)と呼ばれてたり。軽めの筋トレの効果も調べてくれてるのがうれしいですねー。

 

 

ジムに行かなくても総死亡率は23%も下がる

それでは、以下に結果です。

 

  • どんな筋トレでも、とりあえず筋肉を鍛えれば総死亡率が23%下がり、癌の死亡率も31%低下する

 

  • ダンベルやバーベルを使わなくても、たとえ自重しか使わないSPEでも、ジムと同じレベルのメリットが得られる

 

  • WHOの筋トレガイドライン(週2回の筋トレをしようね!みたいな)をこなすだけでも、癌に関する死亡率は下がる。ところが、WHOの有酸素運動ガイドライン(週150分の軽いエクササイズをしよう!みたいな)だけでは、意外にも癌の死亡率は低下しない

 

  • WHOの筋トレガイドラインと有酸素運動ガイドラインを同時にこなせば、有酸素運動だけをこなすよりも総死亡率はガッツリと下がる

 

  • ただし、SPEをやっても、心疾患系の病気の発症率は減らない可能性がある

 

ということで、非常によろしい結果ではないでしょうか。なんなら腕立て伏せやスクワットを週に2回ずつやるだけでも、ジムのトレーニングと効果は変わらないってのがおもしろいですねぇ。

 

まとめ

筋トレと聞くと、多くの人はジムでのハードなトレーニングを想像してしまう。しかし、実際はそこまでする必要はない。

 

ジムはコストがかかるし、独特のカルチャーを持っている。そのせいでジムに恐れをなしてしまう人も少なくないだろう。

 

ところが、実際は腕立て伏せや腹筋、ランジのような定番のエクササイズを自宅や公園でするだけでも、はるかに多くのメリットを得ることができる。今回の研究により、その事実がわかったのは吉報だろう。

 

そんなわけで、おもにアンチエイジングのためだけであれば、週2回の筋トレをしとけばいいんじゃないでしょうか。

 

 

ちなみに、WHOのガイドラインだと「おもな筋肉グループを鍛えればOK」ってことなんで、

 

  • スクワット
  • 腕立てふせ
  • 懸垂
  • ショルダープレス
  • ランジ
  • シットアップ

 

ぐらいを週に2回ずつやれば十分って感じですかねー。私はジムが息抜きの場になってるんで今後もバーベルやマシンを使うつもりですが、もっと手軽に行きたい方はご参考までに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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