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間違った情報を信じ込んでいる人とうまくやりとりするには?

GMO

その昔、「遺伝子組み換え食品って安全だよなぁ」みたいな話を書いたことがありまして。どういう話かと言いますと、

  • マウス実験では問題が出ることもあるけど、ヒトを対象にしたデータではほぼ遺伝子組み換えの安全性が確立されてる
  • というか、遺伝子組み換えは農薬の量も減らせるし環境にもいいしで、かなり素晴らしいテクノロジーだ

みたいな話です。もちろん一部には反論もあるものの、これがおおよそのコンセンサスだと考えていいんじゃないでしょうか。パレオダイエットを推奨してるせいか、よく「遺伝子組み替えに反対ですよね?」や「オーガニック好きですよね?」とか思われがちなんすけど、そんなことはまったくないです。


が、いっぽうでは、いまだに遺伝子組み換えを激しく嫌う人たちが大いのも確かな話。上記のエントリをあげた直後も、「いやいやモンサントが…」とか「アメリカ政府のねつ造が…」といった意見をいくつかいただいたものです。遺伝子組み換えについては、ワクチンなみに否定的な反応が出やすい印象ですね。


とか思ってたら、「遺伝子組み換えに反対する人ってどんな人?」を調べたデータ(1)がおもしろうございました。これはコロラド大学の研究で、「知ってるつもり――無知の科学」で有名なフィリップ・ファーンバック博士が主筆をつとめております。


どんな調査だったかと言いますと、

  1. 2,500人超の男女に「遺伝子組み換えどう思ってます?」と聞く
  2. 科学のリテラシーを調べるテストを行う(大気中の酸素は何から排出されている?みたいな)

って手順で、遺伝子組み換えに反対する人がどんな特徴を持っているかを調べたんですな。


その結果について研究チームいわく、

遺伝子組み換えへの反対レベルが高くなればなるほど、客観的な知識の量は減った。しかし、その一方で自分の知識量への自信は大きくなった。

だそうな。つまり、遺伝子組み換えが嫌いな人ってのは、本当は何の知識もないのに自分は他の人より物知りだと思ってたわけですな。


もっとも、たん自信満々なだけならいいんですが、遺伝子組み換えの反対派にはさらに以下の傾向も見られたみたい。

  1. 積極的に正しい情報を探さないように行動する
  2. もし正しい情報を伝えられた場合は、さらに否定的な態度が強くなる

ってことで、正しい情報を知れば知るほど「やはり遺伝子組み換えは危険だ!」と思い込んでいくそうなんですな。超ダニング・クルーガー効果とでも言いますか。

このようなバックファイア効果は、アメリカ、フランス、ドイツなどでも確認された。ところが、このパターンは「気候変動」のようなトピックにおいては確認されなかった。

だそうで、どうやら話題によって過激派が生まれる可能性は変わるっぽい。この違いがなぜ起きるかは謎ですけど、遺伝子組み換えのほうが自分の健康に直結しそうなネタだからですかねぇ。

これは過激派に特有の心理だ。コンセンサスが取れている情報に反対し続けるには、「無知」の力を借りるしかない。

過激派は「この内容はすでに知っている」と考えるため、新たな情報を学ぼうとしなくなる。この問題をクリアするには、彼らに知識のギャップを伝えるしかないだろう。

とのことで、極端な否定派とやりとりする際は、

  • 「正しい情報の伝達」よりも「意外と知識がないよねー」って事実を知らしめるほうがよい!

って視点が強調されておりました。なるほどねぇ。

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