脳が食事に乗っ取られて肥満をもたらす「フードマインドセット」をどう乗り越えるか?問題
なぜ人は食べ過ぎてしまうのか?ってのは複雑な問題で、
- 食品の選び方
- 個人の育ち方
- 脳が報酬に弱い
みたいな要素がいろいろとからみあってて、「こうすればOK!」って対策が打ち出しにくいところがあるんですよね。
で、新しい研究(1)では、「人間の食欲がいかに簡単に暴走するか?」をチェックしていてためになりました。
これはバーミンガム大学の実験で、肥満に悩む43人と標準体重の男女49人が対象。実験デザインは以下のようになっております。
- ピザやケーキの写真をガンガンに見せる
- PC画面に現れる円をすばやくクリックするゲームをやらせる
- 円と同時に食事の画像が表示されて、プレイヤーの気をそらす(当然、ゲームの点数が低いほど「食事の写真」に弱いと考えられる)
って感じです。これにより、人間がいかに「うまそうな食事の画像」に弱いかをチェックできるわけですな。
これでどんな結果が出たかと言いますと、
- 基本的には、太った体型の人ほどゲームの点数は低い
- ただし、標準体型の人でも食事写真の影響はかなり大きかった
- 1年後の再テストでは、食事の写真に弱い人ほどBMIが増えていた
だったそうです。太った人ほどピザやケーキの画像に影響を受けやすいのは納得ですが、ここでのポイントは「どんな痩せた人でも食事の写真を見ると思考が乗っ取られてしまう」ってとこでしょうね。つまり、人類は食事のイメージにやたらと弱い生き物なのだ、ってことです。
この状態を、研究チームは「フードマインドセット」と呼んでおります。
食べものについて考えると、食べ過ぎてしまう可能性は高くなる。私たちのなかに"フードマインドセット”が生まれ、周囲にある食事により大きく反応してしまうからだ。このような場当たり的な食事が、長期的には肥満をもたらす。
近ごろはSNSを開けばうまそうな食事の画像が表示される時代ですんで、フードマインドセットを抜け出すのは大変そうっすね。
さらに、このダメージが、太った人にほど大きい理由につきましては、
肥満の人は自分の体重を気にかけていることが多いため、そのぶんだけ食事のことを思い浮かべる割合も高くなる。結果的に、逆に食事のイメージを無視できなくなってしまう。
と推測されておりました。太った人は食にだらしないのではなく(そういうケースもあるでしょうが)、体型を気にするせいで逆に食事へ意識が向かってしまうんだ、と。シロクマのリバウンド効果っすな。
まー、「食事に脳を乗っ取られる」ってのは人類にとって普遍的な現象なんで、なかなか振り切るのは難しそうではあります。ざっと思いつくところでは、
なんてあたりが有望かなーとは思われます。個人的には、テトリスみたいに中毒性が高いゲームをやって、脳の乗っ取りから一時的に気をそらすのがもっとも手軽でよいのではないかと。